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小说:第九章『这次绝不会再让你逃掉』
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2025-11-03更新
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更新日期:2025-11-03
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第九章|『这次绝不会再让你逃掉/今度こそにがしはしない』
前言 4年前的皇历2018年。靠近欧洲·不列颠尼亚边境的拉彭兰塔[1]市遭到神圣不列颠尼亚帝国萨瑟兰不对的蹂躏。年幼的觉也被卷入其中……描绘觉悲伤过去的第九话,开幕。
皇历2018年。 欧洲共和国联盟(E.U.) 芬兰州。 靠近欧洲·不列颠尼亚边境的拉彭兰塔市内,多台萨瑟兰侵入。这些萨瑟兰病服隶属于负责进攻欧洲的欧洲·不列颠尼亚,而是神圣不列颠尼亚帝国“本国”的部队。拥有压倒性力量的萨瑟兰蹂躏着城市,建筑因炮火而崩塌,居民因枪击而死亡。指挥这一切的是约瑟夫·格拉纳达“上校”的部队。 “他们是欧洲人,抵抗者格杀勿论” 接到格拉纳达命令的士兵们,肆意的驱赶市镇上的人群,躲在离市中心稍远的独栋房屋里年幼的觉也未能幸免。她遵循父亲“不要出声”的嘱咐,藏在家中的床下,却被粗暴闯入的不列颠尼亚士兵发现。 “再闹就杀了你” 被不列颠尼亚士兵发现的觉被带到购物中心的停车场。环顾四周,被不列颠尼亚的士兵和萨瑟兰团团围住,与自己一同被带来的女性和孩子们因恐惧挤在一起。 “不是说欧洲·不列颠尼亚要发布避难劝告……” “仔细看,他们不是欧洲·不列颠尼亚的,而是不列颠尼亚本国的军队” 附近老人的谈话传入耳中,看向眼前部队所挂着的军旗,确实不是欧洲·不列颠尼亚的,而是不列颠尼亚本国的军旗。觉无法理解眼下正在发生的事态。 “我们,会怎么样?” 另一个方向传来孩子不安的声音。 “没事的,利西留市长一定会想办法的” 旁边的母亲安慰着不安的孩子。觉也是同样的心情。如果是利西留市长,如果是身为市长的父亲,一定会有办法的。 “停止这种暴行!” 如觉所愿,从市政厅赶来的父亲塞维里·利西留推开不列颠尼亚士兵,挡在被聚集的市民面前。 “你想干什么?” 带着眼罩的男人约瑟夫·格拉纳达问道。 “不许对镇上的人出手,立刻离开这个城市” “哼,没有武器和力量的人能做什么?弱者只能被强者掠夺,什么也做不了” “说什么强者,仗着别人给予的武器耀武扬威的人真是可笑” “你说什么?” 格拉纳达对塞维里的话显出怒意。 “我说强大的只是你们被给予的武器,你自身没有任何值得夸耀的力量” 话音刚落,格拉纳达就朝着塞维里的脸上打了一拳。 “呃!” 父亲遭受的暴行让觉几乎叫出声,但是,觉遵从父亲的嘱托闭紧了嘴。因为被殴打的父亲依然站在原地。 “唔……瞧,就这点程度” “什么?” “我说无名的侵略者不过如此” “你……别太得意了!” 格拉纳达再次殴打塞维里,但塞维里扔一步也不退让。 “我是格拉纳达!约瑟夫·格拉纳达,身为平民的你竟敢愚弄历史悠久的名门格拉纳达家的我!” 无论被怎么殴打都不倒下的塞维里,市民们纷纷担心起来,但觉依然沉默着。只是死死瞪着殴打父亲的格拉纳达。 “哈啊……哈啊……” 格拉纳达打的累了,大口喘着粗气。而塞维里虽然脸肿了,流着血,却依然站立着。 “啧。够了,去死吧” 格拉纳达掏出枪,对准了塞维里的额头。 “爸……” 觉几乎要叫出来,但塞维里的脸上却浮现出微笑。 “绝不会让你们对市民出手,绝对” “哼,死人还能做什么” 格拉纳达无情的射穿了塞维里的头部。四处响起悲鸣。 “爸爸!” 觉忍不住奔向无力倒下的塞维里。 “爸爸!爸爸!” 觉一次一次的呼喊着,但塞维里已经断气了。觉死死瞪着射杀了自己最爱父亲的格拉纳达。 “这家伙的女儿啊,马上你也” 格拉纳达将枪口对准觉,手指扣在扳机上。就在那一瞬间,包围市民的一台萨瑟兰爆炸四散。 “什么!?” 望向升起爆炸火焰的萨瑟兰,只见欧洲·不列颠尼亚的萨瑟兰包围了格拉纳达的部队。 “圣米迦勒骑士团[2]?为什么……” 在萨瑟兰的后方,装饰着欧洲·不列颠尼亚风格纹章的格洛斯特·剑士[3]来到格拉纳达面前。 “暴行到此为止了” 从驾驶舱现身的是卡斯特拉尼·布里德隆[4],曾是令人畏惧的圣米迦勒骑士团三剑豪之一的男人。 “你们是欧洲·不列颠尼亚的……” “我是卡斯特拉尼·布里德隆,应塞维里市长的救援请求前来” “你说什么?” 格拉纳达终于明白塞维里的意图,塞维里是为了拖延时间,直到布里德隆感到,不让士兵对市民动手。 “这座拉彭兰塔市,处于我欧洲·不列颠尼亚的管辖之下。就算是本国的人,也决不允许此等暴行” 布里德隆的部下一齐将枪口对准格拉纳达。 “唔……” 死心的格拉纳达放下枪,瞥了一眼他的身影,从驾驶舱下来的布里德隆向觉跪下致歉。 “对不起,如果我们来得再早些,就不会让您失去父亲了” 虽然因城镇得救而涌起安心的感觉,但同时感受着挚爱父亲身体逐渐变冷的悲伤,觉瘫坐在原地,放声大哭。 父亲去世的4年后。 在远离故乡的合众国中华之地,觉讲述了格拉纳达犯下的暴行。包括伊万在内的所有人都在听她讲述。 “格拉纳达把觉的父亲……” 与多库浮现出沉痛表情相反,白马则思考着这次任务重遭遇的一系列袭击。 “那个叫格拉纳达的男人在追捕Pure Elements G吗,这样的话,也就能解释在镰仓和火奴鲁鲁袭击我们的家伙都是不列颠尼亚人的原因了” “那家伙在追Pure Elements G……原来如此,如果是这样……” “这样啊,如果那家伙在追Pure Elements G的话……” 觉思考着别的事情。 “喂,觉。你没在打什么奇怪的主意吧?” “奇怪的主意指什么?” “意思就是,你没想着借任务之名,去报杀父之仇吧?” “为什么不能这么想?” “觉,你……” “格拉纳达就是在我眼前杀了我爸爸的人啊!我怎么可能放过那种家伙!” “冷静点,我们的使命是排除威胁人们和平的隐患,不该掺杂私情” “私情?这种事你有资格说我吗?” 觉的目光看向白马左臂上缠着的可爱图案布条。 “你做这份工作本身不就一种复仇吗!像你这样的人……” “觉!” 多库打断了觉对白马的话。 “不行,如果你还要说下去,我就不能再和你一起共事了。我不能和一个肆意践踏别人重要内心的人合作” “呃!” 多库的话让觉回过神,他冷静下来看着白马的脸,他的表情没有变化,虽然没有变化,但眼眸深处确实藏着悲伤。 “对,对不起……我,都说了些什么啊……” “没事,别在意,觉。我……” 白马的温柔反而加剧了觉的自责。 “我,去冷静一下头脑……” 觉像是逃跑般冲出了房间。白马正想追上去,却被奥尔菲斯拦住了。 “你还是别去比较好吧” “没事,交给我吧” 玛丽贝尔露出温柔的微笑,代替白马走出了房间。 在菲律宾海航行的潜艇,操作员向格拉纳达报告即将抵达广州。 “格拉纳达将军,即将抵达目标地点” “那么,在上浮的同时放出高速艇。我也驾驶调整完的普罗夫迪夫[5]出击” “Yes, My Lord.” “白马先生,从刚才的情况看,你似乎也失去了重要的人吧?” “……啊,我也在大战中失去的,妻子和女儿……” 白马轻轻触摸着自己缠在左臂上的领巾(scarf)。 “那么,你应该理解她的心情吧。失去重要的人,就像失去了自己的半身一样” “我明白的。那种自己必需之物被彻底夺走的感觉,无论做什么都无法填补的感觉,因此而挣扎、痛苦、甚至想放任自己沉溺于复仇怒火之中的心情,我也能理解。所以,我并非否定复仇本身。” “既然如此,那刚才为什么……” “复仇伴随着代价” “……” 奥尔菲斯能够理解白马话语中的含义。他自身也是为了向杀害挚爱恋人尤莉亚[6]的凶手复仇,才向不列颠尼亚的特殊部队“冥王部队[7]”展开了复仇,并因此走到了今天这一步。 “复仇意味着要贯彻自我。而贯彻自我绝非易事,需要意志、力量,甚至觉悟。即使拥有了这些……”白马继续说。 “也会失去很多是吧?确实如你所说。你是不希望她失去那些东西吧” “觉还年轻,在这个已然和平的世界,她可以做任何事,但是,一旦染指复仇,那些可能性就都会消失” 眼前的奥尔菲斯、站在稍远处的多库,以及被绑着的伊万都听见了白马说的这些话。 “白马先生,你太过保护她了,她也是一个独立的人” “唔……” 奥尔菲斯的话语深深刺入白马心脏,他自己也意识到确实如此。 “不能干涉她的意志。即便,是你也不行” “……我知道了。等觉回来后,我会好好跟她谈的,不会一口否定” “那就好” “奥尔菲斯……你意外的爱管闲事啊” “哼,天性如此” 就在这时,多库的平板电脑发出了刺耳的警报声,这是与运输车传感器系统联动的应用程序,探测到了正在接近的KMF的热源信号。 “这是……KMF!有KMF部队正在接近!” “你说什么!?” 搭载着格拉纳达部队的萨瑟兰乘坐着的高速艇,正笔直的朝着奥尔菲斯的据点驶来。 ep09 END
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4年前の皇暦2018年。ユーロ・ブリタニアとの国境線に近いラッペーンランタ市内を蹂躙していく、神聖ブリタニア帝国のサザーランド部隊。幼きサトリもその渦中にいた……。サトリの悲しき過去が描かれる第9話、開幕。 皇暦2018年。 ユーロピア共和国連合フィンランド州。 ユーロ・ブリタニアとの国境線に近いラッペーンランタ市内に何機ものサザーランドが入り込んでいる。そのサザーランドは、ユーロピア攻略に当たっているユーロ・ブリタニアのものではない。神聖ブリタニア帝国“本国”の部隊のものだ。圧倒的な力を持つサザーランドが街を蹂躙していく。砲撃によって崩れる建物。銃撃によって吹き飛ばされる住民。その指揮を執っているのは、ジョゼフ・グラナード“大佐”。 「相手はユーロピア人だ。抵抗する者はすべて殺して構わん」 グラナードの命令を受けた歩兵たちが、手当たり次第に街の人間を追い立てる。 街の中央から少し離れた一軒家に隠れていた幼いサトリも例外ではない。 「声を出しちゃいけないよ」という父の言葉に従って、自宅のベッドの下で身を隠していたが、乱暴に入り込んできたブリタニア歩兵に見つかってしまう。 「騒げば殺す」 ブリタニアの兵士に見つかったサトリが連れてこられたのは、ショッピングモールの駐車場。周りを見渡すと、自分と同じように連れてこられた女性や子どもたちが身を寄せ合っている。皆一様に怯えているのは、その周囲をぐるりとブリタニアの兵士とサザーランドが取り囲んでいるからだ。 「ユーロ・ブリタニアは退避勧告をするっていう話だったのに……」 「よく見て。彼らはユーロ・ブリタニアじゃない。ブリタニア本国の兵隊よ」 近くの老人たちの話が耳に入る。目の前の部隊が掲げている軍旗を見ると、確かにユーロ・ブリタニアのものではなく、ブリタニア本国のものだった。サトリには今起こっている事態が飲み込めないでいた。 「僕たち、どうなっちゃうの?」 別の方向から、不安そうな子どもの声が聞こえる。 「大丈夫よ。リシリュー市長がきっと何とかしてくれるから」 そばにいた母親が不安がる子どもにそう言い聞かせる。サトリも同じ気持ちだった。リシリュー市長なら、市長である自分の父親なら何とかしてくれるはず。 「横暴な行いはよせ!」 サトリの願い通り、市庁舎からやって来た父、セヴェリ・リシリューがブリタニアの兵を押しのけ、集められた市民を庇うよう立つ。 「なんの真似だ?」 眼帯の男、ジョゼフ・グラナードがセヴェリに問う。 「街の人間には手を出させない。即刻この街から立ち去れ」 「ふん。武器も力もない者に何が出来る? 何も出来はしない。弱き者はただ強き者に奪われるだけだ」 「何が強き者だ。他人に与えられた武器をちらつかせて吠える人間が強いとは笑わせてくれる」 「なんだと?」 セヴェリの言葉に怒りを顕わにするグラナード。 「強いのはお前たちが与えられた武器だと言ったんだ。お前自身が誇れる力などない」 そう言われた瞬間に、グラナードがセヴェリの顔面を殴る。 「っ!」 父親が受けた蛮行に声を上げそうになるサトリ。しかし、サトリは父親の命に従って口をつぐむ。なぜなら殴られた父はその場に踏みとどまっているから。 「う……、ほら、こんなものだ」 「なに?」 「名も無き侵略者の力はこんなものだと言ったんだ」 「調子に……、乗るな!」 グラナードが再びセヴェリを殴打する。しかし、セヴェリは一歩も引かない。 「俺はグラナード! ジョゼフ・グラナードだ。由緒正しいグラナード家である私を愚弄するとは! 平民のお前などに!」 いくら殴られても倒れないセヴェリ。市民たちからセヴェリを心配する声が上がるが、サトリは口をつぐんだまま。ただ父を殴るグラナードを睨みつけている。 「はあ……、はあ……」 殴り疲れて、肩で息をするグラナード。だがセヴェリは顔を腫らし、血を流しながらも立ったまま。 「ちっ。もういい、死ね」 グラナードは銃を取り出し、セヴェリの額に向ける。 「パ……」 サトリは叫びそうになるが、セヴェリの顔には笑みが浮かんでいる。 「街の人間には手を出させない。絶対にだ」 「ふん。死人に何ができる」 無情にもセヴェリの頭を撃ち抜くグラナード。至る所から悲鳴が上がる。 「パパ!」 我慢できずにサトリが、力なく倒れたセヴェリに駆け寄る。 「パパ! パパ!」 何度も呼びかけるが、すでにセヴェリは息を引き取っている。最愛の父を撃ったグラナードを睨みつけるサトリ。 「こいつの娘か。すぐにお前も……」 グラナードはサトリにまで銃を向け、引き金に指をかける。その瞬間、街の人々を取り囲んでいたサザーランドの一機が爆散する。 「なんだ!?」 爆炎を上げるサザーランドのほうを見ると、ユーロ・ブリタニアのサザーランドがグラナードの部隊を取り囲んでいる。 「聖ミカエル騎士団だと? どうして……?」 サザーランドの奥から、ユーロ・ブリタニア用の装飾を施されたグロースター・ソードマンがグラナードの前にくる。 「蛮行はそこまでだ」 コックピットから姿を見せたのはカステラニ・ブロンデッロ。かつて聖ミカエル騎士団の三剣豪と恐れられた男だ。 「貴様たちは、ユーロ・ブリタニアの……」 「私は、カステラニ・ブロンデッロ。リシリュー市長からの救援要請を受けてきた」 「なんだと?」 ここでグラナードはようやくセヴェリの意図に気づく。セヴェリは、ブロンデッロたちが到着するまでの間、市民に手出しさせないための時間稼ぎをしていたのだと。 「このラッペーンランタは、我がユーロ・ブリタニアの管轄下にある。いくら本国の人間でも蛮行は許さん」 ブロンデッロの部下たちが一斉にグラナードに銃口を向ける。 「くっ……」 観念して銃を下ろすグラナード。その姿を横目に、コックピットから降りたブロンデッロは跪いてサトリに頭を下げる。 「すまなかった。私たちの到着がもう少し早ければ、お父上を失くさずにすんだものを……」 街が救われたことに対する安堵の気持ちが湧いてくる。しかし、反するように愛する父の身体が冷たくなっていくのが悲しくて、サトリは大声を上げてその場に泣き崩れた。 父の死から4年。 故郷から遠く離れた合衆国中華の地で、グラナードが行った蛮行を語った。イワンを含む全員がサトリの話を聞いている。 「グラナードがサトリのお父さんを……」 ドクが沈痛な面持ちを浮かべるのに反して、ハクバはこのミッションであった一連の襲撃について思考を巡らせる。 「そのグラナードという男がピュアエレメンツGを追っていたのか。なら、鎌倉やホノルルで仕掛けてきた奴らがブリタニア人ばかりだったのにも合点がいく」 「あいつがピュアエレメンツGを……。そっか、それなら……」 「そっか。あいつがピュアエレメンツGを追っているのなら……」と、サトリも別のことを考える。 「おい、サトリ。妙なことを考えてたりしないだろうな?」 「妙なことって何?」 「任務にかこつけて、親父さんの仇を討とうなんざ考えちゃいないだろうな、って意味だ」 「なんで考えちゃ駄目なの?」 「サトリ、お前……」 「グラナードは、私の目の前でパパを殺した奴なんだよ? そんな奴を放っておけるわけないじゃない!」 「落ち着け。俺たちの使命は人々の平和を脅かす脅威を排除することだ。私情をはさむべきじゃあ……」 「私情? そんなのハクバに言う権利ある?」 サトリの目がハクバの左腕に巻かれた可愛らしい柄の布を見る。 「ハクバはこの仕事自体が復讐みたいなものじゃない! そんな人に……」 「サトリ!」 ハクバに向ける言葉を遮ったのはドク。 「駄目だ。それ以上のことを言うのなら僕はもうサトリとは一緒に仕事ができなくなる。人の大事な部分に土足で踏み込むような真似をする人間とは組めない」 「っ!」 ドクの言葉に我に返るサトリ。冷静になってハクバの顔を見る。その表情は変わらない。変わらないが、その瞳の奥には確かな悲しみがある。 「ご、ごめ……。私、なんてことを……」 「いい。気にするな、サトリ。俺は……」 ハクバの優しさがかえってサトリの自責の念を高める。 「私、頭冷やしてくる……」 逃げるように部屋を飛び出すサトリ。ハクバがそのあとを追いかけようとするが、オルフェウスに止められる。 「あんたは行かないほうがいいだろうな」 「大丈夫。私に任せて」 優しく微笑んで見せるマリーベルが、ハクバの代わりにと部屋を出ていく。 フィリンピン海を進む潜水艦。オペレーターがグラナードに広州到着を報せる。 「グラナード将軍、間もなく目標地点です」 「では、浮上しつつ、高速艇を出せ。俺も調整の終わったプロブディフで出る」 「イエス、マイロード」 静まり返ったオルフェウスの拠点。珍しくハクバがソファで項垂れている。 「サトリの親父さんのことは知っていたのに、その仇とここでつながるとは……。やっちまった……」 「ハクバ……」 見たことのないハクバの落ち込みにドクはどう声をかけていいかわからない。代わりに事態を静観していたオルフェウスが口を開く。 「ミスター・ハクバ。さっきの様子だと、あんたも大切な人を失ったと見受けるが?」 「……ああ。俺も大戦中に失った。妻と娘を……」 ハクバが自分の左腕に巻いたスカーフにそっと触れる。 「なら、彼女の気持ちもわかるだろう。大切な人を失うのは、自分の半身を失うようなものだ」 「わかっているさ。自分に必要なものがごっそりと奪われた感覚。何をしたって埋まらない感覚。それゆえに足掻いて、苦しんで、復讐したいという怒りに身を任せたくなる気持ちだって理解できる。だから、俺は復讐を否定なんてしちゃいない」 「だったら、どうしてさっきは……」 「復讐は代償を伴う」 「……」 オルフェウスにはハクバの言葉の意味が理解できる。彼自身、最愛の恋人エウリアの仇を討つためにブリタニアの特殊部隊であるプルートーンへと復讐を行った。その復讐の先に今があるからだ。 「復讐は我を通すということだ。我を通すということは簡単なことじゃない。意志も力も、覚悟だって必要だ。それらをもってしても……」とハクバ。 「失うものも多い、か。確かにあんたの言う通りだな。あんたは彼女に失って欲しくないんだな」 「サトリは若い。この平和になった世界ならなんだって出来る。だが、復讐に染まったらそれも出来なくなる」 ハクバの言葉を、目の前のオルフェウスも、少し離れたところに立つドクも、つながれたままのイワンも聞いている。 「ミスター・ハクバ。あんたは過保護過ぎる。彼女もひとりの人間だ」 「っ……」 オルフェウスの言葉が心に深く刺さる。ハクバ自身、その自覚があったからだ。 「彼女の意思に他人は口出しできないぞ。たとえ、あんたでもな」 「……わかったよ。サトリが戻ってきたらちゃんと話してみる。頭ごなしに否定せずにな」 「それがいい」 「オルフェウス……。あんた、意外とお節介焼きなんだな」 「ふっ。性分でね……」 その時、ドクのタブレットがけたたましい音を立てる。トレーラーのセンサーシステムと連動しているアプリが接近するナイトメアの熱源を感知したのだ。 「これは……、ナイトメアだ! ナイトメアの部隊が接近してる!」 「なんだって!?」 グラナードの部隊のサザーランドを乗せた高速艇が、オルフェウスの拠点に真っ直ぐに向かっていた。 ep.09 END
注释
- ↑ 拉彭兰塔:拉彭兰塔(Lappeenranta)位于芬兰最大湖泊萨伊马湖(Lake Saimaa)的最南边。芬兰最大的萨伊马运河距离市中心仅7公里,运河全长43公里,把芬兰最大的湖区同芬兰湾联接起来,使拉彭兰塔成为芬兰最大的内陆港。1968年,运河经过重新疏通后,成为芬俄贸易和旅游的交通要道,客轮可从拉彭兰塔一直开往俄罗斯的圣彼得堡。夏天,人们从拉彭兰塔的码头乘船在萨伊马湖和运河上游览,尽情观赏芬兰东部湖区美丽的景色。——摘自百度百科
- ↑ 圣米迦勒骑士团:欧洲·不列颠尼亚四个主力兵团之一,各骑士团长被认为拥有与圆桌骑士匹敌的战斗力。
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:RPI-209/EB 格洛斯特·剑士(布里德隆机):在欧洲·不列颠尼亚为四大骑士团的部队长级别的准备的KMF。欧洲·不列颠尼亚所属的机体有着会根据骑士团和部队而涂上不同的颜色的特征。除此之外的特征还包括雕刻浮雕、改变头部形状、刀剑型近距离格斗兵装的标准装备等。(图为圣米迦勒骑士团三剑豪之一的布里德隆机)
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卡斯特拉尼·布里德隆/カステラニ·ブロンデッロ:出自《CG 亡国的阿基德》。圣米迦勒骑士团中的仅剩的三剑豪之一。
- ↑ 普罗夫迪夫 /プロブディフ/Plovdiv:未知新KMF。
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尤莉亚/エウリア:出自《CG 双貌的奥兹》。在奥尔菲斯被卖到Geass教团成为Geass的实验品时,遇到并爱上的同样作为实验品的女孩,后来在两人在逃离教团时,被V.V.派出的冥王部队杀害。
- ↑ 冥王部队/プルートーン:作为不列颠尼亚家黑手套的特殊部队。专为皇族执行无法见光的安葬任务。部队长是奥尔菲斯与奥尔德琳的舅舅奥亚格罗·泽冯。




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