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小说:第十二章『一定要平安无事』
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2025-12-06更新
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更新日期:2025-12-06
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第十二章|『一定要平安无事/無事でいて』
前言 被囚禁的白马受严刑拷打。另一方面,为了救出白马,觉等人整稳步进行准备。新月也在失去的右臂处装上了与业火白炎相同的七式复合兵器右臂。终于,对活骑士/Living Knights的佯攻作战开始了。
在没有窗户的狭小昏暗房间里,肉体被击打的沉闷声响一次又一次的传来。那是双手被锁链束缚吊起的白马,如同沙袋般被殴打的声音。面部、腹部、侧腹被反复殴打,白马几乎要失去意识。即便在这朦胧的意识中,白马仍在思考着。 ——假设,这些活骑士/Living Knights是追捕我们特工新月中的某个人。虽然不觉得我们会被追捕,但若从事实来看,就不得不做出那样的判断。 与活骑士/Living Knights遭遇过三次。镰仓时姬大人的遇袭、火奴鲁鲁的黑色骑士团总部遇袭、还有刚才的奥尔菲斯的据点遇袭。每次袭击都只是短暂出现又立马转移,说明他们的目标并非姬大人,也不是总部,更不是伊万.如此看来,从遭遇频率与情况考虑,认为是在追捕我们更为合理。 但重要的是,他们不知道我是什么人,甚至连十六夜的存在也不知道。也就是说,他们在不知道我们是谁的情况下进行追捕。说不定,他们连自己追捕的是谁都不知道。所以,他们才执意从我这里问出身份,大概是认为我知道‘他们原本要追捕的人’是谁吧。如果是这样,就有办法了。但是,要骗过这些家伙,必须查明他们真正追捕的对象。有这种可能性的就是—— Pure Elements G。那台黑色红莲型。与那家伙遭遇过两次,中东那次事件和火奴鲁鲁的黑色骑士团遇袭。之前我以为是巧合,但看到格拉纳达拿出莫德雷德型KMF后,觉得或许并非巧合。因为Pure Elements G和格拉纳达的机体都是伊万的LDM计划中制造出来的。假设这是关联点,再进一步推测。假设格拉纳达他们在追Pure Elements G,那么目的应该不是机体,而是驾驶它的驾驶员。若是想要机体,他们一开始就不会放过伊万。 也就是说,格拉纳达他们的目的是Pure Elements G的驾驶员,他们想从我这里问出那个驾驶员是谁,在哪里。那么…… 在一瞬间完成推理的白马眼中恢复了微弱的光芒。 “切,真是个耐打的家伙啊” 马帝奥揉着自己的拳头,瞪视着白马。 “喂,马帝奥,玩够了吧。差不多该上药了……” “吵死了。再让我玩一会儿,这次要试试这个” 马帝奥打断了旁观的另一个士兵的话,刻意展示戴在拳头上的指虎。 “这次你能撑到什么程度呢?” 白马盯着那只拳头,像是认命般挤出声音。 “等、等一下,那个我恐怕撑不住……” 广东省郊外的仓库里,停放在其中的拖车货柜里,加纳巴蒂正在进行新月的修理。先前战斗中失去的右臂,换上了与白炎相同的七式复合兵器右臂,觉注视着这一幕。 “好了,这下暂时没问题了,可以好好战斗了” “谢谢,不过,这条手臂……” “啊,是跟业火白炎一样的七式复合兵器右臂,我带来的备用品,就当赠品给新月装上了” “就是那个伸出各种工具的瑞士军刀似的手臂呢” “瑞士军刀嘛……倒也没错。这家伙能应对任何状况。听奥兹说,这家伙的主人似乎很灵巧,一定能熟练使用” “……嗯,如果是白马的话,一定能驾驭的” “所以啊,小姑娘,可要好好把这家伙送到主人手里啊” “我明白,我绝对会送过去的,放心吧。大叔的好意我绝对不会浪费的” “哦,就是这种气魄” 加纳巴蒂露出洁白的牙齿。自从白马被捉住后,觉一直紧绷的脸也跟着露出了笑容。 “各位!找到活骑士/Living Knights的位置了!” 从拖车里冲出来的多库一边向周围呼喊,一边在桌上打开自己的笔记本电脑。围在桌边的奥尔菲斯等人探头看向屏幕。 “真厉害,居然能锁定收信方的位置啊” “很简单。我改变了这个发信器的发信频率。如果是持续监视的家伙,肯定会立刻追踪这个频率。我只是在监视那个信号而已” “嘿,挺能干的嘛” 紫对多库得意的回答表示赞赏。 “这个红点就是那些家伙的所在地吗?” 奥尔菲斯所指的敌方是珠江三角洲近海,无人岛群中的一个光点。 “嗯” “嗯什么啊,这不是在海上吗?” “他们袭击火奴鲁鲁时就是从海上来的。我想他们大概是只用了战舰之类的吧” 觉向一脸愕然的紫说明了上次袭击的情况。 “真头疼啊,我们也没办法准备浮游装置……” “但要坐船过去有太显眼了。肯定会被立刻察觉然后‘砰’的一炮打过来吧” “空中和海上都不行吗?那该怎么办……” 多库露出了不安的表情。觉也没有办法。但与之相对的紫和加纳巴蒂并没有太困扰的样子。因为他们相信奥尔菲斯总有办法。当两人投去视线时,奥尔菲斯理所当然的回答道。 “空中和海上都不行的话,只要让他们来到陆地上就行了。仅此而已” “看来你终于打算开口了啊” 格拉纳达在吊着的白马面前放了把椅子,重重地坐了下来。 “啊,好吧。毕竟,没有什么东西能抵上我这条命啊” “那么,首先,你是什么人……” “你们想知道的是那家伙在哪里吧?” 白马打断了试图探查他真实身份的格拉纳达,说出了让对方不得不感兴趣的话。 “LDM计划制造出来的黑色红莲型,Pure Elements G驾驶员的所在地……” 白马继续说道。 “……没错,那家伙在哪?” “告诉你们也行,但我需要生命保障” “你该不会以为自己能讨价还价吧?” 格拉纳达说着掏出了手枪对准白马。 “没有。但是,如果无法确认我的安全,那家伙就会从这里逃走” “什么?” “火奴鲁鲁时不也这样吗?我和那家伙是同生共死的关系” “你,当时在那里吗……” 格拉纳达的话让白马确信。火奴鲁鲁事件中,自己遇见的那些活骑士/Living Knights都被柯内莉的部队抓获了,所以格拉纳达并不知道自己的存在。这里有可乘之机。 “你要朝我开枪也行,只要你还想再玩一次捉迷藏的话” “这家伙……” 无法判断白马话语真伪的格拉纳达说不出话来。沉默持续了片刻。打破沉默的世舰内电话的铃声。马帝奥慌忙接听后,只说了句是‘舰桥打来的’,便把听筒递给了格拉纳达。 “什么?” 格拉纳达接过话筒时露出惊愕,白马没有错过这一表情。这是把握状况的关键,在这个时机从舰桥联系,只能认为是活骑士/Living Knights的目标有了动静。但那并非真正的Pure Elements G,而是作为Pure Elements G被追捕的特工新月的某人。大概是意识到这一点的奥尔菲斯他们采取了行动了吧。必须利用这个机会。 “明白了,继续追踪” 格拉纳达只对通讯另一端的说了这句,便把听筒还给了马帝奥。他的脸看似面无表情,但白马能看出他仍在思考。 “嗯?再这样下去,连我也不知道那家伙会去哪里了,怎么办呢?” “唔……” 格拉纳达脸上浮现出困惑的神情。 广东省郊外的仓库。原有的两台拖车之一已不见。觉等人已经前去营救白马。玛丽贝尔与Lady·Lady二人,正凝视着拖车远去的方向。 “Lady不去没关系吗?” “总不能丢下你一个人吧?而且伊万的人身安全也得想办法处理。再说……” “既然奥兹去了,就没必要担心了,对吧?” “啊…” “你很了解奥兹呢” “那是……以前一起工作过……” “仅此而已?” “‘仅此而已’这种说法真让人不舒服呢” “嗯。因为我嫉妒。嫉妒你” “现在陪在奥兹身边的人是你,没必要嫉妒了吧” “啊啦,Lady也在嫉妒我呢” “真坏心眼……而且之所以我不担心,是因为那孩子也在哦” “那孩子是?” “非常喜欢白马先生的那个孩子” Lady·Lady说着,抬头望去,夜空中一道红色的光带划过天际。 白马注视着仍在沉思的格拉纳达。 “喂,格拉纳达将军,如果无法拿定主意,不如去问问你的委托人怎么样?” “……什么意思?” “骑士和士兵之类,都是遵从某人的指示行动的。你想知道那家伙的所在地也是处于某人的指示吧?优秀的将军不会独断专行,完成指示才是最重要的” 听到这句话,格拉纳达猛然醒悟。 “…就让你再多活一会儿吧” 只说了这一句便离开了房间。 位于不列颠尼亚共和国的制药公司派莱克斯的社长办公室。马修通过整面玻璃窗俯瞰着已完全明亮的街景,同时接听者格拉纳达的通话。 “杀了那个男的M就会逃跑?那么,就让他带路去M那里。优先把她带回来,比其他任何事情都重要。你应该明白,没有她一切都无法开始。嗯,那样就可以。祝你好运,格拉纳达将军” 马修连珠炮似地说完重点便挂断了通话。 “掌握到M的线索了呢” “嗯,就差一点了。就差一点她就能回到我的身边了……” 密里根用冷淡的目光看着兴奋的马修。 在自己的房间与马修通话完的格拉纳达来到了舰桥。 “目标呢?” “在九州港附近附近停下了” “是在观察我们的行动吗……好,去迎接目标” “Yes, My Lord” 潜艇缓缓开始移动。受此影响,吊着白马的审讯室也微微晃动。 “要出动了吗……” 白马没有漏听马帝奥脱口而出的话。他明白格拉纳达已经向发出指示的人请示完了,并采纳了自己的提议。 离开无人岛的潜艇以浮上的状态,向珠江三角洲海域前进。舰桥内,格拉纳达露出苦涩的表情。 “那小子。不过是出了点钱就一副了不起的样子。但这也只到帝国复兴为止,等到帝国复兴,那种商人小鬼……” 就在这时,巨大的声响和冲击袭向了格拉纳达他们。 “怎、怎么回事!?” “炮击,我们遭到不明炮击!” “炮击!?从哪里来的?” “不、不清楚。只知道是右舷方向……” 格拉纳达回想起先前战斗中被业火白炎狙击的事。 “难道,是那时候的……” 向九洲港靠近的潜艇所能望见的远方陆地上,一处高地上有着架起七式超电磁炮的业火白炎的身影。 “看来是上钩了。那么……” 奥尔菲斯环视四周,觉、多库、紫、加纳巴蒂都已各自就位。 “营救任务,开始!” ep.12 END
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激しい拷問を受ける捕われのハクバ。一方でそのハクバを救出すべく、サトリたちは着々と準備を進める。新月も失った右腕の代わりに白炎と同じ七式統合兵装右腕部を取り付けられていた。そして、ついにリビングナイツへの陽動作戦が開始される。 窓のない狭くて薄暗い部屋に、肉を打ちつける鈍い音が何度も聞こえる。それは、鎖で両手を拘束されて吊るされたハクバがサンドバックのように殴られている音。顔面、腹や脇腹を何度も殴られ、ハクバは気を失いかけていた。その朦朧とする意識のなかであってもハクバは考えを巡らせていた。 ──仮に、こいつらリビングナイツが追っていたのが、俺たちエージェント新月の誰かだとする。俺たちが追われる覚えはないが、事実だけ並べるとそう考えざるを得ない。 リビングナイツと遭遇したのは3回。鎌倉で姫様が襲われた時、ホノルルの黒の騎士団本部が襲撃された時、そして、さっき。オルフェウスの拠点が襲われた時だ。それぞれの襲撃が一度きりで移動していることから、奴らの目的は、姫様でも、本部でも、イワンでもない。となると遭遇率の高さや状況から考えて、俺たちが追われていると考えるのが妥当だろう。 だが、ここで重要なのが、こいつらは俺が何者かを知らない、ということだ。それどころかイザヨイの存在も知らないと見える。つまり、こいつらは、俺たちが何者か知らずに追っていた。いや、ひょっとすると、自分たちが追っている者すら知らないのかもしれない。だから、執拗に俺が何者かを聞き出そうとしている。俺が“本来追っている誰か”を知っていると考えているからだろう。そうであるならば、やりようがある。しかし、こいつらを出し抜くには、こいつらが追っている者を突きとめねばならない。その可能性があるのは── ピュアエレメンツG。 あの黒い紅蓮タイプだ。奴との遭遇は2回。中東での一件とホノルルの黒の騎士団が襲われた時。今まではただの偶然だと思っていた。しかし、グラナードが持ち出したモルドレッド型のナイトメアを見た今では偶然ではなかったのかもと思える。なぜなら、ピュアエレメンツG、グラナードの機体、どちらもイワンのLDM計画で作られたものだからだ。これを接点だと仮定し、さらに推測を進める。仮にグラナードたちがピュアエレメンツGを追いかけていたとするなら、目的は機体ではなく乗っているパイロットだ。機体が欲しいならそもそもイワンを手放さないだろうからな。 つまり、グラナードたちの目的はピュアエレメンツGのパイロット。そのパイロットが何者で、どこにいるかを俺から聞き出そうとしている。 なら……。 一瞬の間に推理を行ったハクバの瞳にわずかな光が戻る。 「ちっ、タフな野郎だぜ」 自分の拳をさすりながら、ハクバを睨みつけるマテオ。 「おい、マテオ。そろそろ遊びは終わりにしようぜ。そろそろ薬で……」 「うるさい。もう少し遊ばせろよ。今度はこいつを試す」 立ち合いの別の兵士の言葉を遮って、マテオはわざとらしくメリケンサックを拳にはめて見せる。 「今度はどこまで耐えられるかな?」 その拳を見つめるハクバは観念したように声を絞り出す。 「ま、待ってくれ。そいつは耐えられそうにない……」 広東省の街はずれにある倉庫。その中に停められたトレーラーの荷台でガナバティによって新月の修理が進む。先の戦闘で失った右腕の代わりに、白炎と同じ七式統合兵装右腕部が取り付けられる様子をサトリが見つめていた。 「よし。これでひとまずは大丈夫だ。ちゃあんと戦えるようになったぜ」 「ありがとう。でも、この腕って……」 「ああ。白炎と同じ七式統合兵装右腕部って奴だ。予備で持ってきてたものだが、サービスで付けといてやった」 「あのいろいろ出てくる十徳ナイフみたいな腕ね」 「十徳ナイフって……、間違っちゃいないがな。こいつならどんな状況にも対応できる。オズに聞いた話だと、こいつの持ち主は器用な奴らしいじゃねぇか。きっと使いこなせるさ」 「……うん。ハクバなら必ず使いこなせる」 「だからよ。こいつをしっかりと持ち主に届けてくれよな、お嬢ちゃん」 「わかってる。絶対に届けるから安心して。おじさんのサービス、絶対に無駄にしないから」 「おう。その意気だ」 ガナバティが白い歯を見せる。ハクバが捕らえられて以降、ずっと強張っていたサトリの顔もつられて笑顔を見せた。 「みんな! リビングナイツの位置がわかったよ!」 トレーラーから飛び出したドクが周りに声をかけつつ、自分のノートパソコンをテーブルの上で開いて見せる。テーブルを取り囲んだオルフェウスたちが画面をのぞき込む。 「よく受信してる奴の位置なんて特定できたな」 「簡単さ。この発信機から出ている信号の周波数を一度変えたんだ。常時監視している奴なら、すぐに周波数を追ってくる。僕はそれをウォッチしてたってワケ」 「へぇ。やるねぇ」 感心するズィーに得意げに答えるドク。 「この赤い光点が奴らの居場所か?」 オルフェウスが指さす場所は珠江デルタ沖、無人島群の中にある光点。 「うん」 「うん、ってここ海の上じゃねぇか」 「ホノルルであいつらが襲ってきたのも海からだった。たぶん、戦艦か何かを使ってるんだと思う」 呆れるズィーにサトリが前回の襲撃の状況を添える。 「参ったな。さすがにフロートは用意できなかったし……」 「かといって、船で向かったんじゃあ目立ちすぎる。すぐに察知されてズドンと撃たれるのが関の山だ」 「空も海も駄目ってこと? じゃあ、どうすれば……」 不安げな表情を見せるドク。サトリにもその手立てはない。しかし、対するズィーとガナバティはさほど困った様子ではない。それは、オルフェウスなら何とかするという信頼があるから。ふたりが視線を送ると、オルフェウスは当然のように答える。 「空も海も駄目なら、奴らを陸まで来させればいい。ただそれだけだ」 「ようやく吐く気になったらしいな」 吊るされたハクバの前に椅子を置き、どっかりと座るグラナード。 「あ、ああ。自分の命には代えられないんでな」 「なら、まずはお前が何者か……」 「あんたたちが知りたいのは、あいつの居場所だろう?」 正体を探ろうとするグラナードに対し、ハクバは遮るように言葉を被せる。それもグラナードが関心を持たざるを得ない言葉を。 「LDM計画によって作られた黒い紅蓮型、ピュアエレメンツGのパイロットの居場所を……」 ハクバがさらに言葉を重ねる。 「……そうだ。奴はどこにいる?」 「教えてもいい。だが、命の保障が欲しい」 「交渉ができるとでも思っているのか?」 そう言いつつ、取り出した銃をハクバに向けるグラナード。 「思っちゃいないさ。だが、俺の無事が確認できない場合、あいつがここから逃げ去る算段になっている」 「なに?」 「ホノルルの時もそうだったろう? 俺とあいつは一蓮托生なんだ」 「お前、あそこにいたのか……」 グラナードの言葉でハクバは確信する。ホノルルでの一件、リビングナイツの構成員はコーネリアの部隊に捕えられた。だから、グラナードは自分の存在を知らない。そこにつけ入る隙がある、と。 「あんたが俺を撃つのは構わない。また追いかけっこをしたいんなら、だがな」 「こいつ……」 ハクバの言葉の真偽の判断がつかないグラナードはそれ以上の言葉が出ない。しばらく沈黙が続く。その沈黙を破ったのは、艦内電話のベルだった。マテオが慌てて応答すると、ブリッジからです、とだけ添えてグラナードに受話器を渡す。 「なに?」 受話器を受け取ったグラナードの驚いた様子をハクバは見逃さない。それが、状況を把握するための鍵となる。このタイミングでブリッジから連絡となると、リビングナイツのターゲットに動きがあったとしか考えられない。だが、それは本物のピュアエレメンツGじゃない。ピュアエレメンツGとして追いかけているエージェント新月の誰か。そのことに気付いてくれたオルフェウスが行動に出てくれたんだろう、と。この機会を利用しない手はなかった。 「わかった。捕捉し続けろ」 それだけを通信先に伝えて受話器をマテオに返すグラナード。その顔は無表情に見えるが、ハクバには思案を続けていることが読み取れた。 「なっ? このままだとあいつの行方は俺にもわからなくなる。どうする?」 「くっ……」 グラナードの表情には困惑の色が浮かんでいる。 広東省の街はずれにある倉庫。2台あったトレーラーの1台が消えている。サトリたちがハクバ救出に向かったのだ。トレーラーが向かった先を見つめているマリーベルとレディ・レディのふたり。 「レディは行かなくてよかったの?」 「あなたをひとりにするわけにはいかないでしょ。それにイワンの身柄も何とかしないといけないし。それに……」 「オズが行ったのなら心配するは必要ない、よね?」 「あっ……」 「よく知ってるのね、オズのこと」 「それは……、昔一緒に仕事をしていたからで……」 「それだけ?」 「それだけって、嫌な聞き方するのね」 「うん。だって私、嫉妬してるもの。あなたに」 「今はあなたがオズのそばにいるんだから嫉妬する必要なんてないでしょ」 「あら。レディも私に嫉妬してるのね」 「意地悪……。それに私が心配していないのは、あの子もいるからよ」 「あの子って?」 「ミスター・ハクバのことが大好きな子」 そう言ってレディ・レディが見上げた夜空に一筋の赤い光の帯が走る。 なおも思案している様子のグラナードを見つめるハクバ。 「なあ、グラナード将軍。判断がつかないんなら、クライアントに聞いてみたらどうだ?」 「……なんの話だ?」 「騎士や兵っていうのは、誰かの指示で動くものだ。あんたがあいつの居場所を知りたいのは、その誰かの指示だろう? 優秀な将軍は独断では行動しない。指示をやり遂げることこそが最重要だからな」 その言葉を聞いて、はっとするグラナード。 「……もう少し生かしといてやる」 それだけ言って、部屋から出て行ってしまう。 ブリタニア共和国にある製薬会社パイレックスの社長室。全面ガラス張りの窓からすっかり明るくなった街並みを見下ろしつつ、マシューがグラナードの連絡を受けている。 「その男を殺したら、Mが逃げるだと? なら、Mのもとへ案内させるんだ。何よりも彼女を連れ戻すことを優先しろ。彼女がいなければ何も始まらないってことをあんたもわかっているだろう。ああ、それで構わない。健闘を祈るよ、グラナード将軍」 マシューは矢継ぎ早に用件だけ伝えて通話を切る。 「Mの消息が掴めたのですね」 「ああ。もう少しだ。もう少しで彼女が私のもとに帰ってくる……」 興奮気味のマシューをミリガンは冷ややかな目で見つめていた。 自室でマシューとの連絡を終えたグラナードがブリッジへとやって来る。 「ターゲットは?」 「九海港付近で止まっています」 「こちらの出方を見ているのか……。よし、ターゲットのもとへ迎え」 「イエス、マイロード」 ゆっくりと動き出す潜水艦。その影響でハクバが吊るされている尋問室もぐらりと揺れる。 「艦を出すのか……」 思わず口走ってしまったマテオの言葉を聞き逃さないハクバ。グラナードが指示を出している人物に判断を仰ぎ、自分の提案に乗ったことを悟る。 無人島を離れた潜水艦が浮上した状態で珠江デルタ沖を進んでいく。そのブリッジでは、グラナードが苦々しい表情を浮かべていた。 「あの若造め。金を出しているからといって偉そうに。だが、それも帝国の復興までだ。帝国が復興すれば、あのような商人まがいのガキに……」 その時、大きな音と衝撃がグラナードたちを襲う。 「な、何事だ!?」 「砲撃です。何者かから砲撃を受けました!」 「砲撃だと!? どこからだ?」 「わ、わかりません。右舷方向からとしか……」 先の戦闘で業火白炎に狙撃されたことを思い出すグラナード。 「まさか、あの時の……」 九海港に近づく潜水艦が遠くに見える陸地、その高台に七式超電磁砲を構える業火白炎の姿がある。 「どうやら誘いに乗ってくれたらしい。さあ……」 オルフェウスが見渡すと、サトリ、ドク、ズィー、ガナバティがそれぞれの配置についている。 「救出ミッション、スタートだ!」 ep.12 END




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