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小说:第四章『牵连无关者,不可原谅』
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2025-07-10更新
最新编辑:月下_Sama
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更新日期:2025-07-10
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第四章|『牵连无关者,不可原谅/無関係のひとを巻き込むなんて許せない』
前言 位于黑色骑士团指挥室所在的马马拉湾中,突然出现的神秘武装势力最终在阿拉莫纳海滩登陆。就在拦截指令迟缓之际,一台白色的KMF如闪电般将萨瑟兰接连击破。那正是由白马驾驶的新月。
为了应对突然出现在马马拉湾近海的神秘武装势力,怀基基的黑色骑士团总部的指挥室内一片混乱,指挥室内显示屏上,三搜各搭载数台KMF的登陆艇正逼近海滩。负责监视的黑骑团员慌忙向总司令因迪拉·塔鲁尔[1]请求指令,但是…… “塔鲁尔司令,请下命令!” “等、等等。先向超合集国确认一下……” “哪有这个时间……” 对接任藤堂镜志朗成为黑色骑士团总司令的因迪拉·塔鲁尔而言,这是她首次遭遇意外敌袭。焦虑与混乱令他无法正常指挥。虽然是新任司令,但因迪拉曾在黑色骑士团担任三番队队长,其实力不容小觑。然而,如此局势使得他应对得手足无措——竟然有人直接对拥有超合集国及黑色骑士团总部所在地怀基基发动奇袭,这既鲁莽又令人震惊。 “不明部队的登陆艇即将抵达阿拉莫纳海滩!” “呜……” 登陆艇最终抵达海岸,舱门轰然开启。 “无需畏惧!奇迹的藤堂都已隐退的黑色骑士团不足为惧。追踪信号,抓住‘那家伙’” “Yes, My Lord!” 格拉纳达[2]从潜入深海的潜艇中发出号令。士气高涨的驾驶员们操纵萨瑟兰接二连三的冲出登陆艇。 “沙滩吗……与我的KMF相性太差了” “要是有滑沙板[3]就不一样了,眼下只能将就。保持对黑色骑士团反击的警戒。直取超合集国总部!” 登陆的萨瑟兰放弃使用陆行旋轮,步行向超合集国总部进发,因未装备滑沙板,这片刻的迟缓将成为黑色骑士团的喘息之机。 “塔鲁尔司令,你在干什么!竟放任敌性KMF登陆!” 冲进指挥室的陆军大将柯内莉亚厉声质问。 “可是,不向Zero确认……” “在这种紧急情况下还从容什么!立刻将警戒等级提升至4级,优先排除敌性KMF……” 看不下去反应如此拖沓的柯内莉亚代为下令。此时,监控阿拉莫纳海滩的显示屏上突然跃出一台白色的KMF。 “那是……!” 白色的KMF无视难以立足的沙滩,如跳跃般斩向萨瑟兰,将其逐一击破——正是白马的新月。 “记得那好像是叫做新月的白马定制机……” “神乐耶麾下的特工吗,帮大忙了。通告第十一旅团,第一、二连队出击!由我亲自指挥!” 柯内莉亚判断新月的登场能为己方争取时间,迅速向指挥室的团员下达命令。但她置因迪拉于一旁,越权指挥令现场一时陷入困惑。 “责任由我承担!复述命令!” “是、是!通告第十一旅团,第一、二连队出击!重复,第……” 随着柯内莉亚的强势,指挥室终于开始运作起来。 “因迪拉,我出击了,这里就交给你了” “啊……” 对因迪拉留下这句话后,柯内莉亚疾步离开指挥室。 “在这难以立足的海滩,还是月下系[4]的机动性更胜一筹啊!” 与依靠钩索或滑沙板来突破恶劣路况的旧不列颠尼亚系KMF不同,采用月影型骨架的新月即使不加装额外装备也能在复杂地形进行战斗。因此在以高速战斗为基调的KMF对决中,这种如沙漠般松软的地形反而突显了月下系的绝对优势。在阿拉莫纳海滩登陆的不列颠尼亚第五世代KMF萨瑟兰,正被月影型骨架的新月用试作型热斩刀接二连三的砍倒。 “这家伙也是黑色骑士团的吗?月下型真是棘手” “但我们在数量上占优,把他包围歼灭!” 另一方面格拉纳达的部下们也毫不示弱。尽管存在性能差距,他们扔利用数量优势与驾驶新月的白马展开激战。一旦陷入包围,即便是白马也不得不转为守势。 “配合如此默契……这些家伙受过相当严格的训练” “光是辐射屏障就够麻烦了,居然还搭载了卢米纳斯护盾(Blaze Luminous)?这台月下型!” 格拉纳达部队虽然无法对装备辐射屏障与卢米纳斯护盾的新月造成决定性打击,但凭借数量优势仍能逐渐迟缓新月的动作。正因如此,即便是白马也难以同时应对全部敌机,稍有不慎就会被压制。就在这危机时刻,觉·利西留的通讯突然接入。 “白马!黑色骑士团的部队已接到出击命令,再坚持一会儿!” “那可帮大忙了。不过你们也快带着拉克夏塔·恰拉博士去避难所吧。从这些家伙的行动来看,目标应该是超合集国总部大楼” “知道了!” 若有黑色骑士团的增援战况必将逆转。格拉纳达部队同样深谙此理。白马紧盯着萨瑟兰的动向时,发现数台机体正悄然脱离战场,对方陷入察觉到黑色骑士团的出击命令,决定放弃以全兵力歼灭自己再突袭超合集国总部的原计划,改为留少量部队牵制,主力直扑目标。 “话音未落就来了!” 新月的复合兵器的链式机枪立即扫向意图脱离的萨瑟兰,但负责牵制的敌机竟主动跃至枪口前充当盾牌。 “舍身当盾?究竟藏着什么非达成不可的目的” 放弃拖延战术的白阿莫转为强攻,然而纵使白马挥动热斩刀并用上全部武装,仍难以快速削减敌机数量。 “现在可没时间耗在这里!” 正当白阿莫露出焦急表情的时候,空中突然射下大型钩索(实际为飞燕爪牙),将包围新月的萨瑟兰群瞬间破坏殆尽。白马猛然抬头望向攻击来源。 “那家伙……就是上次的” 只见曾在沙漠歼灭World Avar[5]部队的神秘黑色KMF正俯视着自己。 “你究竟有何企图?” 未等回应,黑色集体突然调转炮口对格拉纳达部队展开攻击。 “虽然不知道你为何在此,既然出手相助我就不客气了!” 趁着敌军因为黑色KMF的出现产生动摇,白马的新月疾驰追上企图突袭总部的分队。随着支援白马的黑色KMF的登场,战场形势顷刻逆转。 “博士!请快点前往避难所” “等等,小姑娘。那台机体莫非就是神乐耶提到的……” 在觉引导下准备撤离的拉克夏塔突然驻足,凝视着黑色KMF的战斗姿态。 “确实是火炎型骨架的机体,但我从未见过那种型号” 黑色KMF以舞蹈般的动作,瞬间将十余台萨瑟兰全部歼灭。 “居然拥有如此惊人的战斗力” 白马成功压制突袭总部的萨瑟兰分队,透过监视器注视着黑色KMF的英姿,心中不禁赞叹。 “但你的目的究竟是……嗯?” 当白马观察黑色KMF的动作时,黑色KMF突然拎起一台被毁的萨瑟兰的驾驶舱,里面的驾驶员尚未脱出,紧接着黑色KMF便带着那驾驶舱飞速离去。 “那家伙,劫持驾驶舱?难道说KMF的目标是这次袭击者?” 白马立刻将视线转向其他敌机的残骸。 “看来得调查这些家伙的来历才能搞清楚了” 驾驶舱门接连开启,从中走出的袭击者穿着旧不列颠尼亚军驾驶员服。 “那是……不列颠尼亚军的驾驶员服吗?” “特工新月” 实施恐怖行动的所有人无一例外都穿着旧不列颠尼亚军的驾驶员服。对此感到疑惑的白马正思索间,柯内莉亚驾驶着奎恩玫瑰[6]抵达,而在她的后方,则是柯内莉亚麾下的大部队。 “抱歉来迟了。多亏了你,损失几乎为零,请容我道谢” “请不要这样说,我可担不起大将的低头道谢。我几乎没做什么,大部分都是那家伙……黑色KMF解决的” “刚才那台黑色KMF?不是你的同伴吗?” “是的。我真是为了寻找其身份线索才来拜访拉克夏塔博士的” “原来如此,我也很在意那家伙……” 柯内莉亚与白马同时看向袭击者们。这时柯内莉亚的部下已开始拘捕袭击者,正要把他们塞进充当押运车的装甲车里。 “这些人究竟是……” “不列颠尼亚军驾驶服吗……对我来说可能会很棘手” 对本来就在黑色骑士团内处境微妙的柯内莉亚而言,涉及不列颠尼亚人的恐怖行动实在令人头疼。 “不过请放心,这些人的身份,我会负起责任查明的” “拜托了” 听到看柯内莉亚那可靠的话语,白马露出淡淡的微笑。 俯瞰阿拉莫纳海滩的高地,停在彼处的豪华轿车里,有人正用望远镜窥视着全程——正是大型制药公司派莱克斯的年轻社长马修·布莱基斯顿[7]。 “难道,那个黑色KMF里坐着‘M’……?” 他的嘴角已愤怒而扭曲。 次日。超合集国本部的拉克夏塔办公室。面对白马三人的拉克夏塔正懒惰的躺在会客沙发上,满脸困惑的盯着平板。画面上显示着白马等人在中东记录的黑色KMF的影像。 “完全不知道呢” “连拉克夏塔博士也不知道?” “嗯,只要是黑色骑士团相关的KMF,无论多么细微的情报我都了如指掌,但这黑色的家伙完全是个谜。黑色骑士团、甚至珍珠党也没有它的制造记录,连设计图纸都不存在” “连拉克夏塔博士也不知情的话,线索就断在这里了” 多库·乔布斯沮丧地说。然而白马与拉克夏塔的反应却不同。 “别这么悲观啊,多库” “是啊,倒不如说范围反而大幅缩小了吧?” “哎?” “在‘统合打击装甲骑计划’中,拉克夏塔博士几乎掌握了世界上现存绝大多数KMF情报的专家,连她都说‘不知道’” “那样的话,就是通过我无法掌握的渠道所制造的东西。世界上能做到这样的开发机构屈指可数吧?” “没错,制造KMF需要资金和人才,更何况要造出与红莲圣天八极式同级别的机体” 通过白马与拉克夏塔的解释,多库终于理解。只要调查拉克夏塔情报网外的非法KMF开发机构就能追踪到黑色KMF的制造者。 “首先从那些家伙入手调查…………” “这样的话,建议先去找这家伙看看,说不定知道些什么” 拉克夏塔滑动平板,白马等人凑近查看。 “这个人是……” 在排列着数台缺失手臂与头部的KMF的昏暗机库里,身着白大褂的男子‘哈啾——!’打了个打喷嚏。 “有谁在念叨我吗?” 说着揉了揉鼻子,正是被誉为无业天才的罗伊德·阿斯普林德博士。 ep04 END
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黒の騎士団指令室のあるママラ湾沖に突如現れた謎の武装勢力が、ついにアラ・モアナ・ビーチに上陸。迎撃指示が遅れるなか、白いナイトメアフレームが敵のサザーランドを一閃、次々と撃破していく。それはハクバの駆る新月だった。 ワイキキに本部を構える黒の騎士団の指令室。ママラ湾沖に突如として出現した謎の武装勢力の対応に追われて騒然としている。指令室に映し出されたママラ湾の映像には、ナイトメアを数機ずつ搭載した揚陸艇が三隻ほど浜辺に向かってくる光景が映し出されていた。モニタリングしている騎士団員が慌てた様子で総司令であるインディラ・タルールに指示を請う。しかし……。 「タルール司令、ご指示を!」 「ま、待て。まずは超合集国に確認を……」 「そんな時間は……」 藤堂鏡志朗の後を継いで黒の騎士団の総司令の任に就いたインディラ・タルールにとって予期せぬ敵襲はこれが初めて。焦りと混乱でまともに指示を出すことができない。新任とはいえど、インディラはかつての黒の騎士団において参番隊の隊長を務めたほどの実力者。そのインディラの対応がおぼつかなくなるほど、超合集国と黒の騎士団の本部のあるワイキキに直接奇襲をかけるということは無謀かつ驚くべき事態であった。 「正体不明の部隊の揚陸艇、アラ・モアナ・ビーチに到着します!」 「うっ……」 ついに揚陸艇がビーチに到着し、ハッチが開く。 「怯むことはない。奇跡の藤堂が退陣した黒の騎士団など恐るるに足らん。信号を辿り、“奴”を確保しろ!」 「イエス、マイロード!」 海中深く潜った潜水艦から檄を飛ばすグラナード。士気の高まったパイロットたちの駆るサザーランドが次々と揚陸艇から飛び出す。 「砂浜か。ナイトメアとは相性が悪いな」 「サンドボードがあれば違うんだが仕方ない。黒の騎士団の応戦に警戒しつつ、超合集国の本部を目指せ!」 砂浜に下りたサザーランドがランドスピナーを使用せず、歩いて超合集国本部を目指す。悪路での走行を補助するサンドボードを装備していないためだ。この時生じた少しの時間が黒の騎士団に味方する。 「何をやっている、タルール司令! 敵性ナイトメアの上陸を許したぞ!」 指令室に飛び込んできたのは、陸軍大将であるコーネリア。 「しかし、ゼロにも確認をとらなければ……」 「この非常事態に何を悠長なことを。とにかく警戒レベルを4に引き上げ、敵性ナイトメアの排除を……」 対応の遅さを見かねたコーネリアがインディラの代わりに指示を出す。すると、アラ・モアナ・ビーチを映していた監視カメラの映像に白いナイトメアが踊り込む。 「あれは……!」 足場の悪い砂浜をものともせず、跳ねるようにサザーランドへと斬りかかって沈黙させていく。ハクバの新月だ。 「確か新月とかいう月下のカスタム機……」 「神楽耶のところのエージェントか。これは助かる。第十一旅団に通達。第一、二連隊出撃。指揮は私が執る!」 新月の登場に時間が稼げると踏んだコーネリアは、指令室の団員たちに指示を出す。が、インディラを差し置いての指示に戸惑いを隠せない。 「責任は私がとる! 復唱は!?」 「は、はい! 第十一旅団に通達! 第一、二連隊出撃せよ! 繰り返す……」 コーネリアの言葉に、ようやく指令室が機能し始める。 「インディラ、私が出る。ここは任せるぞ」 「ああ……」 インディラにそう言い残すと、コーネリアは急いだ様子で指令室を後にする。 「足場の悪い場所じゃあ、月下系の足周りに軍配が上がるんでな!」 悪路をスラッシュハーケンやサンドボードで踏破することを想定して設計されている旧ブリタニア系のナイトメアフレームと違い、新月に採用されている月影型フレームは、追加装備がなくても悪路での戦闘が想定されている。そのため、高速戦闘を基本とするナイトメア同士での戦闘において、この砂浜のような足場の悪い場所でも素早く動けることは絶対的な優位性を示していた。アラ・モアナ・ビーチに上陸してくるブリタニア第五世代機であるサザーランドを、月影型フレームの新月が片っ端から試作熱斬刀で斬り伏せていく。 「こいつも黒の騎士団か? ゲッカ型は厄介だな」 「しかし、こっちは数で勝っている。取り囲んで潰すぞ!」 一方でグラナードの部下たちも負けてはいない。性能差があるにもかかわらず、数の多さを利用してハクバの新月との接戦に持ち込む。取り囲まれてしまっては、さすがのハクバも防戦一方を強いられてしまう。 「連携の取れた動き。こいつら、相当な訓練を積んでいる」 「輻射障壁だけでも厄介なのに、ブレイズ・ルミナスまで持っているのか? このゲッカ型は!」 グラナードの部隊は、輻射障壁とブレイズ・ルミナスを持つ新月に決定打を与えることは出来ない。しかし、手数の多さで新月の動きを鈍らせることは出来る。それゆえにハクバのほうも、全機を相手にするのは難しい。少しでも油断すれば、押し潰されそうになる。そんな状況のなか、サトリからの通信が入る。 「ハクバ! 黒の騎士団の部隊に出動命令が出たみたい。もう少し頑張って」 「そいつは助かる。が、お前たちもチャウラー博士たちを連れてシェルターに向かえ。こいつらの動きから見て、目的は超合集国の本部ビルだ」 「わかった!」 黒の騎士団が応援に来てくれれば戦況は大きく変わる。しかし、それはグラナードの部隊にとっても同じこと。ハクバがサザーランドの動きを注視すると、数機が戦闘から離れていくのが見える。黒の騎士団の出撃を察知したグラナードの部隊が、全機でハクバを潰してから超合集国本部に向かうことを諦め、数機でハクバを足止めして他の機体で超合集国本部を襲うことに切り替えたのだ。 「言ってるそばからこれだ!」 統合兵装のチェーンガンを戦列から離れていくサザーランドたちに向けて撃つが、ハクバの足止めを買って出たサザーランドがその前に出て盾となる。 「盾になるだと? そこまでする目的があるってのか」 防戦での時間稼ぎを諦め、打って出るハクバ。しかし、新月の熱斬刀や統合兵装を駆使しても敵機を減らすには限度がある。 「こいつは時間をかけていられないがなんとも!」 ハクバが焦りの表情を浮かべたその時、空中から大型のスラッシュハーケンが放たれ、ハクバを取り囲んでいたサザーランドが破壊される。咄嗟に攻撃が放たれた頭上を見上げるハクバ。 「あいつは、この間の」 そこには中東でワールドアヴァを全滅させた謎の黒いナイトメアフレームがハクバを見下ろしていた。 「どういうつもりだ?」 すると、黒いナイトメアは、さらにグラナードの部隊へと攻撃を仕掛ける。 「どうして奴さんがここにいるのかは知らないが、味方してくれるっていうんなら甘えさせてもらう!」 黒いナイトメアの出現に動揺しているグラナードの部隊の隙をついて、超合集国本部へ向かおうとしていた部隊に追いつくハクバ。ハクバの新月をサポートするように戦う黒いナイトメアの登場により、形勢が一気に逆転する。 「博士! 早くシェルターへ!」 「ちょっと待ちな。お嬢ちゃん。あれが神楽耶の言っていた機体か……」 サトリの先導で避難しようとするラクシャータが黒いナイトメアが戦う姿を目にする。 「確かに火炎型フレームの機体だが、あんなのは見たこともない」 踊るように戦う黒いナイトメア。十数機ものサザーランドを一瞬にして全滅させる。 「なんともはや、大した戦闘力をお持ちなこって」 超合集国本部へ向かおうとしていたサザーランドの部隊を制圧したハクバ。黒いナイトメアの強さに感心しつつ、モニター越しにその雄姿を見つめる。 「しかし、何が目的で……、うん?」 ハクバが黒いナイトメアの動きに注意していると、破壊したサザーランドのコックピットブロックのひとつを持ち上げる。中にいるパイロットはまだ脱出してはいない。すると、黒いナイトメアはコックピットブロックを抱えたまま飛び去ってしまう。 「奴さん、コックピットブロックを? あの黒いナイトメアの目的は、今回の襲撃者ってことか?」 ハクバがペイルアウトした他の襲撃者のコックピットブロックへと視線を移す。 「そいつはこいつらの素性を調べてみないとわからないか」 次々とハッチが開き、中からかつてのブリタニア軍のパイロットスーツを着たパイロットが出てくる。 「あれは……、ブリタニア軍のパイロットスーツ?」 「エージェント新月」 テロ行為を行った人間が一様に旧ブリタニア軍のパイロットスーツを着ている。その不可解さに疑問を持つハクバのもとにコーネリアの乗るクインローゼスがやってくる。その奥にはコーネリア旗下の大部隊が到着するのが見えた。 「到着が遅くなり申し訳ない。君のおかげで被害は皆無に等しい。礼を言わせてもらう」 「やめてください。大将殿に頭を下げられるまでのことはしていません。俺はほとんど何も。大半を奴さん……、黒いナイトメアが片付けてくれたんですよ」 「さっきの黒いヤツか。あれは君の仲間ではないのか?」 「ええ。その正体の手掛かりを探しにチャウラー博士を訪ねてきたところだったんです」 「そういうことか。ヤツのことも気になるが……」 コーネリアとハクバが同時に襲撃者たちを見やる。すでにコーネリアの部下たちが襲撃者たちを拘束し、護送車代わりの装甲車に詰め込もうとしている。 「はい。こいつらは一体何者なのか……」 「ブリタニアのパイロットスーツか。私にとっては厄介になりそうだ」 ただでさえ黒の騎士団内で風当たりの強いコーネリアにとって、ブリタニア人によるテロ行為は頭の痛い案件だ。 「だが、安心してくれ。こいつらの正体は、私が責任をもって突き止めよう」 「お願いします」 コーネリアの頼もしい言葉に薄く微笑むハクバ。 アラ・モアナ・ビーチが一望できる高台。そこに停めたリムジンの車中から、その一部始終を双眼鏡で覗いていた者がいる。大手製薬会社パイレックスの若き社長マシュー・ブラキストンだ。 「まさか、あの黒いナイトメアに“M”が乗っているのか……?」 その口元が怒りでゆがむ。 翌日。超合集国本部のラクシャータの執務室。ハクバたち三人を前に応接用のソファに寝そべったラクシャータが、怪訝な顔でタブレットを見ている。その画面に写っているのは、ハクバたちが中東で捉えた黒いナイトメアの姿。 「さっぱりわかんないねぇ」 「チャウラー博士でも?」 「ああ。私は黒の騎士団が関わるナイトメアのことならどんな些細なことでも把握しているが、この黒いヤツについてはさっぱりだ。黒の騎士団、ましてやパール・パーティーには、建造した記録も設計した記録すらもありゃしない」 「チャウラー博士さえご存知ないとすると、ここで手詰まりか」 落胆するドク。しかし、ハクバとラクシャータは違っていた。 「そう悲観することはないぞ、ドク」 「そうさ。むしろグッと範囲が狭まったんじゃないかい?」 「えっ?」 「統合打撃装甲騎計画で、世界に現存するナイトメアフレームのほとんどを把握しているチャウラー博士が“知らない”んだ」 「そうなると、私が把握できないルートで作ったものになる。そんな開発機関なんか世界でも知れているだろう?」 「そうか。ナイトメアを建造するには資金も人材も必要。まして紅蓮聖天八極式と同クラスの機体を作るならなおさらだ」 ハクバとラクシャータの言葉で合点のいくドク。要はラクシャータの把握していない非合法なルートでナイトメアを開発している組織を調べていけば、黒いナイトメアの制作者に行きつくだろう、ということだ。 「じゃあ、まずはその手の連中を探って……」 「だったら、まずはこいつに当たってみな。何か知ってるかもしれないんでね」 ラクシャータがタブレットを操作して、画面を切り替える。画面をのぞき込むハクバたち。 「この人は……」 腕や頭のないナイトメアフレームが何機も並んでいる薄暗い格納庫の中、白衣姿の男が「ハックショ~イ!」と盛大にくしゃみする。 「誰か僕の噂でもしてるのかなぁ」 そう言って鼻をこするのは、無職の天才と謳われたロイド・アスプルンド博士、その人だった。