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Pure特别篇后篇

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月下_Sama

特别篇 |『黑色闪电』后篇

前言
连接动画《Code Geass 复活的鲁路修》与《Code Geass 夺还的罗赛》的《Code Geass》系列的新故事《新洁的阿尔玛利亚》特别篇的后篇。在吉尔吉斯的首都比什凯克发生的骚乱的起因是一名军火商毛里齐奥·以沙。他被神秘的黑色KMF——Pure Elements G,以及黑色骑士团的Zero所追捕。Zero所准备的机体与那个兰斯洛特·zero[1]极为相似……
光和4年。
自从“奇迹的明天”以来,各国之间再也没有发生大型纷争。出乎意料的是,正是由于暴虐皇帝被讨伐,人们开始选择通过对话而非争斗来解决问题,希望坐在谈判桌前度过和平的日子。
然而——。
尽管世界走向了和平,但争斗并未彻底根除。没有争斗就无法生存的人、通过争斗获得财富的人、那些本就渴望斗争的人。社会由人组成,只要人类存在,争斗就不会完全消失。
不久前发生在吉尔吉斯的首都比什凯克的骚乱也是其中之一。对总统发表的政策不满的民众举行了抗议集会,政府军试图镇压这次集会,结果与示威队伍发生了冲突。而冲突升级到使用了KMF。面对这一事态,黑色骑士团的航空幕僚长吉诺·温伯格与他率领的绿色部队出动试图平息事态。但却遭到了神秘的黑色KMF——Pure Elements G的介入。

“到底,那台黑色KMF的目的是什么呢?”
离开比什凯克市中心将拖车开往玛纳斯国际机场的觉,说出了夹杂着责备的语气说道。
“介入战斗,转眼间把战场搞得一团糟后便离开。简直像漫画里的英雄一样。”
“漫画啊……KMF里可是有活人,是性命攸关的事……”
“是啊。觉的感觉是正常的。不过,看那家伙的行为……”
“又是白马的直觉吗?”
“嘛,真正的情况还得向他本人确认才知道。为此我也希望尽快抓到他……”
“那就没问题了,那个人会来的吧?”
“哦,真正的英雄登场了。”
听到白马的话,觉将目光投向前方机场的跑道。她看到了飞鸟级浮游航空舰已经停泊在那里。

吉尔吉斯首都比什凯克向西约300公里的撒马尔罕。在市郊的废弃房屋里,停放着白马等人追踪的黑色的KMF——Pure Elements G。驾驶舱没有打开,但在它前面站着一个穿着与周围环境极不相称的礼服的女性,她正看着平板电脑。她的名字是Lady·Lady。这显然不是她的真实姓名,而是几个代号之一,现在她是这么自称的。
“听说你介入的比什凯克的战斗已经顺利平息了。”
在旁观者看来,Lady·Lady像是在自言自语,但她的长发所遮盖的耳朵中的无线耳机显然是在和Pure Elements G的驾驶员交谈。
“伤亡人数为0.做得好。嗯?不是挖苦你。是真心的,真心的。”
就像是与朋友般通话的Lady·Lady把平板电脑上的新数据传送到了Pure Elements G的驾驶舱里。
“比起这个,我还获得了关于向吉尔吉斯政府和示威队伍双方出售KMF那家伙的情报。毛里齐奥·以沙,一个著名的军火商。”
在Lady·Lady的平板电脑上,显示着用超长焦距相机拍摄的毛里齐奥的照片。
“是是。我知道你会这么说,所以已经查清了他的所在。只是……”
这次在平板电脑上显示的是被长而深的峡谷包围的自然要塞。
“看来即使是你,也很难对付这个藏身的地方。”

“好久不见,Zero”
到达机场的白马和觉来到了浮游航空舰农鸟号的舰桥。在那里等着他们的是黑色骑士团的CEO、带着面具的男人Zero。无需多说,他就是从暴虐皇帝鲁路修手中拯救了世界的英雄。
“这次也拜托了,特工新月。我已经从基诺那里听说了概要。听说找到了那架机体的位置。”
“准确来说,是知道了它可能出现的地方。”
“那就是毛里齐奥·以沙的藏身之处吗?”
“是的。之前在比什凯克骚乱中使用的KMF,经过温伯格空将他们的调查,发现无论是示威队伍还是政府军的KMF都是由毛里齐奥提供的。”
“Pure Elements G也掌握了这条情报?”
“是的,那家伙的‘耳朵’特别灵。要么是有相当厉害的情报人员,要么它本身就是个真正的怪物。”
“怪物吗,说的很贴切。神出鬼没,而且以压倒性的战斗力控制战场。”
“简直就像是曾经用战术扭转战略的枢木朱雀一样。”
“啊!或许真是?”
在沉默的听着谈话的觉突然大声喊道。
“怎么了,突然大声喊什么?你是想说那家伙的驾驶员是枢木朱雀吗?”
“对对!枢木朱雀其实还活着,就坐在那个Pure Elements G里……”
与兴奋的觉完全相反,Zero安静的保持沉默。
“你怎么开始说这些都市传说一样的东西了?”
白马一边说着,一边用手刀轻轻敲了一下觉的额头。
“好痛。为什么?我万一猜对了呢。”
觉一边揉着额头,一边发出不满的声音。
“笨蛋!就算是Zero,可对手要是枢木朱雀的话也会处于劣势的……啊,抱歉,我真是说了失礼的话……”
“呵呵,没关系。不过若真是如此,就有必要让卡莲回来复职了。”
“哈哈,这可不能当玩笑。为了避免这种情况的发生,我们还是抓住那家伙吧。”
说着,白马操作手中的平板电脑,将资料显示在舰桥的显示屏上。
“毛里齐奥的据点是在这个峡谷深处的自然要塞。为了避免要塞周围强大的防空火力网,我们需要穿越这个峡谷。普通的KMF完成这种任务可能会很困难。”
“我就知道会这样。所以我准备了一台不普通的KMF。”

数小时后,零等人正在进行抓捕毛里齐奥·以沙行动的准备工作,载着他们的浮游航空舰农鸟号出现在国境线复杂交错的一个国家上空。距离毛里齐奥潜伏的要塞已经不远。在飞鸟号的格纳库里,在连接着加速弹射器的升降机上,装载着Zero带来的“不普通的KMF”。
“这是Z-01Z0吗?不是只有在寄生蜂事件[2]才使用过的幻之机体吗?”
“幻之机体?这不就是枢木朱雀驾驶的兰斯洛特·阿尔比昂吗?”
面对惊讶的白马,觉微微歪着头。
“不,这虽然是同型号的机体,但不是同一台机体。这是由拉克夏塔·恰拉的珍珠党[3]设计从零组装的另一台机体。”
“虽然是作为统一打击装甲骑计划的一部分制造的,但从外观来看,它并不适合作为Zero的机体。所以封印了很长时间。”
“但是,这台机体是和红莲特式、兰斯洛特siN一样的第九世代机,拥有现存最高级别的性能。”
“考虑到毛里齐奥的谨慎,他不仅会利用自然的要塞,还会采取相应的对策。为了超越这些对策,需要相应性能的机体。因此,我们准备了这个名为阿尔比昂·Zero的机体。”
“那么……”
就在白马打算再次确认作战计划时,劲爆突然响起。
“Zero!发现身份不明的机体!哇!”
随着舰桥的报告,舰体也开始摇晃。
“什、什么!?”
“是那家伙!”
“特工新月,作战计划稍后再说,现在先先处理这个!”
“明白!”
Zero和白马朝着各自的机体跑去。

“哦~黑色骑士团的舰艇被超过了呢,今天也要独占舞台吗?”
在峡谷附近用望远镜窥视的Lady·Lady,看到了Pure Elements G超越了农鸟号。Lady·Lady知道如果靠Pure Elements G和它的驾驶员,这次也能以一机之力压倒敌人。然而,即使是Lady·Lady,当她看到从浮游航空舰中出动追击Pure Elements G的机体也难掩惊讶。
“那是……黑色的兰斯洛特·阿尔比昂?难道是Zero?”

单骑突入到长而深的峡谷的Pure Elements G,其入侵被自动迎击系统感知,无数的枪弹袭向Pure Elements G。但那架黑色的机体没有丝毫动摇,准确地预测了子弹的轨迹,没有受到一发子弹的击中,继续试图穿越峡谷。但是,察觉到什么的Pure Elements G急速上升,接着,一股强大的能量波从几秒前Pure Elements G所在的位置掠过。这是在寄生蜂事件中使用的扩散构造相转移炮台[4]。为了躲避这次攻击,Pure Elements G试图离开峡谷,但被布置在峡谷深处各处的迎击系统阻拦。自动迎击系统、扩散构造相转移炮台,以及长而深的峡谷共同构成了一个完美的防御系统,确保入侵者无法逃脱。但是,这一切仅在面对通常武器和单骑突入的Pure Elements G时才有效。
“扩散构造相转移炮……卖给坂东的也是毛里齐奥啊。”
一瞬间跃进峡谷的黑影追上了为了躲避自动迎击系统的射击而躲避的Pure Elements G。
“能听到吗,身份不明机体的驾驶员。先抓住毛里齐奥。能配合我吗?跟我来。”
Zero单方面说完这些话,没有等待Pure Elements G驾驶员的回应。便飞入了自动迎击系统机枪密布的峡谷中。在超机动的飞行中,Zero一边躲避自动迎击系统的子弹,一边用能量翼放出无数的光刃摧毁机枪。为了避免被阿尔比昂·Zero发射的光刃击中,Pure Elements G紧紧跟随其后。看到这几乎不可能的操纵技术,远在后方的白马惊叹不已。
“这两个人都是怪物啊。”

“那个东西就交给你了,你是为了这个而保存能量的吧?”
在大致消灭了自动迎击系统后,Zero对Pure Elements G说道。没有回答,而是将右臂上复合兵器Tri-Arms的基部旋转,换装成类似甲一型臂[5]的Arms3。
“那果然是辐射波动。”
Zero话音刚落,Pure Elements G一口气向扩散构造相转移炮台跳去,毫不畏惧地向炮管释放辐射波动。
“不管是多么强大的兵器,也无法抵挡那一击。”
正如Zero所说,扩散构造相转移炮瞬间爆炸。铜墙铁壁般的防守被突破,要塞内部变得忙乱起来,由于防空火力网被摧毁,农鸟号也成功进入。随后通过镇压部队,毛里齐奥·以沙率领的军火商集团“运货员/fattorino”被一网打尽。
“那么,还有……”
Pure Elements G将右臂换成内置MVS的Arms2并摆好架势。接着,Zero从阿尔比昂·Zero的背后抽出MVS,面对着Pure Elements G。
“还是算了吧,看来你是一个可以通过对话来沟通的人。”
说完,Zero将MVS重新收回剑鞘中。对于这个行为,虽然只有一点点,但还是能看到Pure Elements G略有动摇。
“这个世界是通过对话而非武力来前进的。如果你也是一个可以用言语交流的人,我宁愿用言语而非剑来解决问题。”
对Zero的话,Pure Elements G通过解除架势来回应。
“你果然也是……”
Zero正想继续说下去,但Pure Elements G背对着阿尔比昂·Zero飞走了。
“也就是说,还没到那个时候吗……”
“可以吗?”
抓住毛里齐奥的白马问Zero。
“不是好不好的问题,这台阿尔比昂·Zero是追不上它的。它的能量翼为了提高速度舍弃了的泛用性。”
“我不是那个意思。”
“哼。我说的话没有虚假。如果可以通过对话来解决,我会更愿意这样。所以,这次能抓到毛里齐奥也算不错。”
“我就知道你会这么说。那家伙还有很多谜团,我会继续追踪。”
“嗯。请继续负责目标的调查,特工新月。”
“明白。”
在听到Zero略显明朗的声音,白马也笑着回应。

“真是让人提心吊胆的。不过,从他的反应来看,我也得尽快找出他的藏身之处了。”
在观察了战斗的经过后,Lady·Lady为了前往与Pure Elements G的会和地点,登上了她乘坐的越野车。
“威廉·比什[6]的所在位置……”
    《Code Geass 新洁的阿尔玛利亚》本篇继续。
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Pure后篇1.png Pure后篇2.jpeg

光和4年。

 “奇蹟の明日”以降、国家間による大きな争いは無くなったといえるだろう。奇しくも悪逆皇帝ルルーシュが討たれたことによって、人々は争いではなく、話し合いというテーブルにつくことを望み、平和な日々を歩んでいた。
 しかし――。
 平和へと生まれ変わった世界といえど、争いが根絶されたわけではない。争いがなければ生きていけない者、争いによって富を得たい者、そもそも争いを望む者。人が生きる以上、人によって社会が形成される以上、争いが完全に無くなることはない。
 先日、キルギスの首都ビシュケクで起こった騒乱もそのひとつだった。大統領の発表した政策に不満を抱いた国民によって抗議集会が開かれたが、この集会を鎮圧しようとした政府軍とデモ隊が衝突。ナイトメアフレームを持ち出す戦闘へと発展したのだ。この事態に黒の騎士団の航空幕僚長であるジノ・ヴァインベルグと彼の率いるグリーンフォースが出動し、収束を図ったが、謎の黒いナイトメアフレーム、ピュアエレメンツGの介入を受けてしまう。



「ホント、あの黒いナイトメアの目的はなんなんだろうね」


 ビシュケクの中心を離れ、マナス国際空港へトレーラーを走らせるサトリが、非難混じりの言葉を漏らす。


「戦闘に介入して、あっという間に戦場を荒らして去っていく。まるで漫画のヒーローだな」

「漫画って……。ナイトメアには実際に人が乗ってて、命に関わることなのに……」

「そうだな。サトリのその感覚は正常だよ。だけど、あいつの行動を見ているとなぁ」

「またハクバの勘ってやつ?」

「まあ、本当のところは本人に確かめないとわからん。そのためにも早くとっ捕まえたいところだが……」

「それなら大丈夫だよ。あの人が来てくれるんでしょ?」

「ああ。本物の英雄ヒーローのお出ましだ」


 ハクバの言葉を聞いて、向かう先の空港の滑走路に目をやるサトリ。そこにアスカ級浮遊航空艦ノウトリがすでに停泊しているのが見えた。



 キルギスの首都ビシュケクから西へ300kmほどにあるサマルカンド。その町外れの廃屋に、ハクバたちが行方を追う黒いナイトメアフレーム、ピュアエレメンツGが駐機している。コックピットは開いていない。だが、その前には廃屋に似つかわしくないドレス姿の女性がタブレットを眺めている。彼女の名はレディ・レディ。当然、本名ではない。いくつかある通称のひとつだが、今の彼女はそう名乗っている。


「あなたが介入したビシュケクでの戦闘、無事に収束したって」


 傍から見るとレディ・レディの独り言のように見えるが、長い髪の奥の耳にはインカムがかかっている。ピュアエレメンツGのパイロットと会話しているらしい。


「死傷者はゼロだって。やったじゃない。えっ? 嫌味なんかじゃないわ。本心よ、本心」


 まるで友人と電話で会話するように話すレディ・レディは、タブレットに開いた新しいデータをピュアエレメンツGのコックピットに送る。


「それよりも、キルギスの政府側、デモ隊側両方にナイトメアを売っていた奴の情報を手に入れたわ。マウリツィオ・イシャー。有名な武器商人よ」


 レディ・レディのタブレットには、超望遠で撮影されたマウリツィオの写真が表示されている。


「はいはい。そう言うと思って、ちゃんと居場所も調べておいたわよ。ただ……」


 今度はタブレットに、長く深い渓谷に囲まれた自然の要害が映し出されている。


「いくらあなたでも一筋縄ではいきそうにない場所に引き籠っているみたい」



「お久しぶりです、ゼロ」


 空港に到着したハクバとサトリが通されたのは、浮遊航空艦ノウトリのブリッジ。そこで待っていたのは、黒の騎士団のCEOである仮面の男ゼロ。言わずもがな世界を悪逆皇帝ルルーシュの手から救った英雄だ。


「今回も頼む、エージェント新月。ジノから概要は聞いている。例の機体の居場所がわかったとか」

「正確には、奴さんが現れそうな場所がわかった、ということなんですけどね」

「それが、マウリツィオ・イシャーの潜伏先ということか」

「ええ。先のビシュケクでの騒乱で使用されたナイトメアですが、デモ隊、政府軍ともにマウリツィオからの提供を受けたものというのが、ヴァインベルグ空将たちの調べでわかりました」

「その情報をピュアエレメンツGも手に入れていると?」

「はい。奴さん、やけに“耳が良い”んです。相当な腕の情報屋がついているか、そうでないとすると本物のバケモノなんでしょうね」

「バケモノか。言い得て妙だな。神出鬼没な上に、圧倒的な戦闘力で戦場を支配する」

「まるで、かつて戦術で戦略をひっくり返した枢木スザクのようですよ」

「あっ! もしかして当たりじゃない?」


 話を黙って聞いていたサトリが急に大きな声を上げる。


「なんだよ、急に大きな声を出して。当たりって、奴さんのパイロットが枢木スザクじゃないかってコト?」

「そうそう! 枢木スザクが実は生きていて、あのピュアエレメンツGに乗ってるんじゃあ……」

「……」


 興奮した様子のサトリとは正反対にゼロは静かに黙ったまま。


「何を都市伝説みたいなことを言い出すんだ、お前は」


 と、言いつつ、サトリの額に軽く手刀を当てるハクバ。


「痛。なんで? 当たりだと思ったのにぃ」


 額をさすりながら、サトリが不満げな声を漏らす。


「バカ。いくらゼロでも相手が枢木スザクじゃあ分が悪いだろう。って、すみません。とんだ失礼なことを……」

「ふふっ、気にしないでくれ。しかし、もしそうであるならカレンに復帰してもらう必要が出てくるな」

「ははっ、そんなの冗談にもなりませんよ。そうならないためにも、奴さんは俺たちでとっ捕まえましょう」


 そう言いつつ、ハクバは手に持ったタブレットを操作し、ブリッジのモニターに資料を映し出す。


「マウリツィオが根城にしているのは、この渓谷の奥にある自然の要塞。要塞周辺の強力な防空網を避けるために、この渓谷を抜ける必要があります。普通のナイトメアでは困難なミッションだと思うのですが……」

「そうだろうと思ってね。普通ではないナイトメアを用意してきた」


 数時間後、マウリツィオ・イシャー捕縛作戦の準備を進めるゼロたちを乗せた浮遊航空艦ノウトリが、複雑に国境線が交差するある国の上空に姿を現す。マウリツィオが潜伏するとされる要塞まで間もなくの位置。ノウトリの格納庫では、発進カタパルトに繋がるエレベーターに、ゼロが持ってきたという“普通ではないナイトメア”が乗せられていた。


「これは……、Z-01Z0? コマユバチ事件の時にしか使われなかった幻の機体じゃないですか」

「幻の機体? これって枢木スザクが乗っていたランスロット・アルビオンじゃあ……」


 驚くハクバに、サトリが小首を傾げる。


「いや。こいつは同型機ではあるが、同じ機体じゃない。チャウラー博士のパール・パーティでゼロから組み上げられた別の機体なんだ」

「統合打撃装甲騎計画の一環で作られたものだが、この見た目だ。ゼロの機体としては相応しくない。だから長らく封印していたんだ」

「そっか。ランスロット、特にアルビオンは枢木スザクの機体って印象ですもんね」

「だが、この機体は、紅蓮特式やランスロットsiNと同じ第九世代機。現存する最高クラスの性能を有するナイトメアだ」

「慎重なマウリツィオのことだ。自然の要害を利用するだけでなく、それ相応の対策を講じているだろう。それを越えるためには相応の性能のナイトメアが必要となる。そこで用意したのがこのアルビオンゼロというわけだ」

「では……」


 と、ハクバが作戦を再確認しようとしたところで警報が鳴り響く。


「ゼロ! 正体不明機を確認! うわっ!」


 ブリッジクルーが報告するや艦自体が揺れる。


「な、なに!?」

「奴さんだ!」

「エージェント新月、作戦の確認は後だ。今は!」

「ええ!」


 ゼロとハクバがそれぞれの機体に向かう。



「あら、黒の騎士団の艦を追い越しちゃったのね。今日も独壇場かしら」


 渓谷近くで双眼鏡を覗いていたレディ・レディが、ピュアエレメンツGがノウトリを追い越して渓谷に進入していくのを確認する。ピュアエレメンツGとそのパイロットならば、今回もたった一機で、敵を圧倒するだろうことをレディ・レディは知っている。しかし、そんなレディ・レディであっても、ピュアエレメンツGを追いかけるようにして浮遊航空艦から出撃した機体を目にすると驚きを隠せなかった。


「あれは……、黒いランスロット・アルビオン? もしかして、ゼロが?」



 長く深い渓谷に単騎で突入したピュアエレメンツG。その侵入を察知して自動迎撃システムが起動し、無数の銃撃がピュアエレメンツGを襲う。しかし、その漆黒の機体は、動じる様子もなく、銃撃の軌道を読み、一発の弾丸を受けることもなく、渓谷を抜けようとする。しかし、何かを察知したピュアエレメンツGが急上昇する。すると、ピュアエレメンツGが数秒前にいた場所に、強力なエネルギー波が通り過ぎた。コマユバチ事件でも用いられた拡散構造相転移砲台だ。ピュアエレメンツGは、これを避けるために渓谷から出ようとするも、深い渓谷の至るところに備えられた迎撃システムが阻む。自動迎撃システムと拡散構造相転移砲台、そして何より長く深い渓谷が進入した者を逃さない完璧な防御システムとなっている。だが、それは通常兵器やピュアエレメンツGが単騎の場合だった。


「拡散構造相転移砲……。あれを坂東さんに売ったのもマウリツィオというわけか」


 一瞬にして渓谷に飛び込んだ黒い影が、自動迎撃システムの銃撃から逃れるように飛行するピュアエレメンツGに追いつく。


「聞こえるか、正体不明機のパイロット。まずはマウリツィオを捕える。こちらに合わせられるな? ついて来い」


 一方的にそれだけ言ったゼロは、ピュアエレメンツGのパイロットの返事も聞かず、自動迎撃システムの機銃がひしめく渓谷の中を飛ぶ。その超機動での飛行で自動迎撃システムの銃撃を躱しつつ、エナジー・ウイングから無数の光刃を放ち、機銃を破壊していく。アルビオンゼロが放つ光刃に当たらぬよう、ぴったりとついていくピュアエレメンツG。その不可能とも思える操縦技術に、遥か後方でその様子を見ていたハクバは舌を巻く。


「ふたりともバケモノだな、こりゃあ」



「あの大物は君に任せよう。そのためにエナジーを温存しておいたんだろう?」


 粗方、自動迎撃システムを沈黙させたゼロが、ピュアエレメンツGに告げる。すると、返事をする代わりに、右腕の統合兵装であるトライアームズの基部を回転させ、甲壱型腕にも似たアームズ3へと換装させて見せた。


「やはりそれは輻射波動か」


 ゼロが言うや、ピュアエレメンツGは一気に拡散構造相転移砲に向かって跳び、その砲撃に臆することなく、砲身へと輻射波動を放つ。


「あれを受けては、どんな強力な兵器であってもひとたまりもない」


 ゼロの言うとおり、拡散構造相転移砲はあえなく爆散。鉄壁の守りを突破されたことで、にわかに要塞内が慌ただしくなるが、防空網を沈黙させたことによりノウトリが進入。その制圧部隊によって、マウリツィオ・イシャー率いる武器商人グループ“ファットリーノ”は一網打尽となった。


「さて、あとは……」


 と、ゼロがアルビオンゼロの背面に装備されたMVSを引き抜く。それに対して、ピュアエレメンツGも、右手をMVSの内蔵されたアームズ2へと換装し、構える。
 
 「やめておこう。どうやら、君は話の通じる相手のようだしね」


 そう言うと、ゼロはMVSを再び鞘へと納める。その行動に対して、僅かではあるが、ピュアエレメンツGに動揺があることが見て取れる。


「この世界は、力ではなく話し合うことで歩みを進めている。君も言葉が通じる相手なのであれば、僕は剣よりも言葉を交えたい」


 ゼロのその言葉に、ピュアエレメンツGは構えを解くことで応える。


「やはり君は……」


 ゼロが言葉を続けようとするが、ピュアエレメンツGは、アルビオンゼロに背を向け、飛び去ってしまう。


「まだその時ではないということか……」

「いいんですか?」


 マウリツィオを捕えたハクバがゼロに問う。


「いいも何も、このアルビオンゼロではあの機体には追いつけない。あのエナジー・ウイングは従来のものの汎用性を犠牲にして、速度に特化しているようだからね」

「そういう意味で言ったわけではありませんよ」

「ふっ。さっき言った言葉に嘘はない。私は話し合うことで解決するならそちらを望む。だから、今回はマウリツィオを捕えられただけでも良しとしよう」

「そう言われると思いましたよ。奴さんにはまだまだ謎がある。俺はそっちを追うことにします」

「ええ。対象の調査は引き続きあなたに頼む。エージェント新月」

「了解です」


 少しだけ明るく聞こえるゼロの声に、ハクバも笑顔で返す。



「もう、ヒヤヒヤさせるんだから。でも、あの反応。早くこっちも奴の居場所を突き止めないといけないわね」


 戦闘の成り行きを見守っていたレディ・レディは、ピュアエレメンツGとの合流場所に向かうべく、乗ってきたランドクルーザーに乗り込む。


「ウィリアム・ビッシュの居場所を……」
  1. 兰斯洛特·阿尔比昂:Z-01Z
  2. 寄生蜂事件/コマユバチ事件:出自《复活》漫画中坂东森所主导的意图制造空难的事件。
  3. 珍珠党/パール·パーティー:由拉克夏塔·恰拉私下集结天才少女们组成的组织,在“哈什贝兹的困惑”事件中,由于事件涉及到与吉尔库斯坦相关的情况,修奈泽尔着急了超合集国总部的危机管理室中香提等七人,进行紧急准备。香提是拉克夏塔的亲妹妹,负责开发了用于兰斯洛特siN和红莲特式的KMF用增设装甲。此外,曾经派往黑色骑士团的加苅萨维特里、负责“和平标志”的月下紫电控制程序的内哈·香卡尔也是珍珠党的成员,她们两个还在统一打击装甲骑计划下制造了兰斯洛特·阿尔比昂·Zero。
  4. 扩散构造相转移炮台:将蜃气楼所搭载的扩散结构相转移炮独立武装化。
  5. 甲一型臂/甲壱型腕:红莲二式的备用右臂。
  6. 威廉·比什:克隆强化人诺兰德的制造者。