あっ、プロデューサーさんたちの食器とトレーは、
啊,制作人先生们的餐具和托盘,
日菜子たちが片付けちゃいますね~。
日菜子们来收拾吧~。
じゃあいこっか、日菜子チャン !
那我们走吧,日菜子酱!
このあとアタシと一緒にレッスンだしねっ。
接下来要和我一起练习呢。
みんな、撮影がんばってね~ !
大家,拍摄加油哦~!
……さて、ご飯も食べたし……
……好了,饭也吃完了……
ちょっとさ、これまでに撮ったのを見返してみない?
要不要稍微回顾一下之前拍的照片?
さきほどデータの保存がてら、プリントアウトしていただろう?
刚才在保存数据时顺便打印出来了,对吧?
散歩の場面、運動の場面、語らいの場面、食事の場面……。
散步的场景、运动的场景、交谈的场景、用餐的场景……。
使えそうな写真も増えてきましたよね。
可用的照片也增加了不少呢。
うんうん、肇をスーパー肇ちゃんにした場面とかねー♪
嗯嗯,还有把肇变成超级肇酱的场景之类的呢♪
あっ、あれは……もうっ、忘れてくださいよ~っ。
啊,那个……真是的,请忘掉它吧~。
ここにある写真では、まだ充分とはいえない。
这里的照片还不够充分。
そんなカオをしているね、プロデューサー?
制作人,你看起来就是那个表情呢?
確かにまだ、足並みが揃っているとは言い難いですけど……。
确实,还说不上步调一致……。
《今回の曲に合わせた1枚がほしい》
《想要一张配合这次歌曲的照片》
『未完成の歴史』に合うような1枚、ってこと?
是说想要一张符合『未完成的历史』的照片吗?
しかし……歴史というのは、過去の積み重ねだろう。
但是……历史就是过去的积累吧。
対して、カメラで切り取れるのは
相比之下,相机能捕捉到的
『現在』というほんの一瞬だけでしかない。
只是『现在』这短暂的一瞬。
写真に写らなくても、記憶を遡ることはできます。
即使照片没有拍下来,也能回溯记忆。
そしてそれを、『現在』に表現することも。ですが……。
而且也能在『现在』表达出来。但是……。
私の昔話なんて、あんまり聞かせたいものでもないかな。
我的过去故事,不太想让人听呢。
あっ、もちろん、互いに胸襟を開くことは
啊,当然,互相敞开心扉
飛鳥だけじゃなく、肇もコッチ側なんだ?
不光飞鸟,肇也是这边的吗?
フ……珍しく、3人の意見が一致したね。
呵……难得三人的意见一致了呢。
つまりボクも、加蓮も、肇も、それぞれに思うところはある……
也就是说我、加莲、肇,各自都有想法……
自分の過去、己の歴史というものについて。
关于自己的过去、自己的历史。
《過去も未来も、繋がってるものだよ》
《过去和未来都是相连的》
少し、考えさせてもらっていいですか?
能让我稍微思考一下吗?
振り返るための、時間がほしくて……。
想要回顾的时间……。
私も、ご飯食べたらお腹に血が回っちゃったみたいだし……
我也是,吃完饭感觉血液都涌到胃里了……
ちょっと散歩でもしてこようかな。
稍微去散个步好了。
MV撮影やレコーディングでも、感じたことだが……)
在MV拍摄和录音时也感觉到了……)
(歌声を重ねれば、イヤでもわかる……
(歌声重叠起来,就算不愿意也能明白……
加蓮も肇も、一山幾らのモブでは無いってコトくらい。
加莲和肇也不是什么小角色。
それぞれのセカイを持つ、侮り難い存在だ……)
是各自拥有世界的、不容小觑的存在……)
(肇も飛鳥も、過去を、歴史を積み重ねて……
(肇和飞鸟都积累了过去的、历史的……
私とは、ぜんぜん違う道を。でも……負けたくないよね。)
和我的完全不同。但是……不想输呢。)
ですが、私のこれまでの道は……正しいといえるのでしょうか?
但是,我迄今为止的道路……能说是正确的吗?
加蓮さんや飛鳥ちゃんが正しかったとしても、私は……?)
即使加莲小姐和飞鸟酱是正确的,我……?)
(……もしかしたら、良い機会なのかもしれません。
(……或许这是个好机会。
少しだけ立ち止まって、振り返ってみましょう……
稍微停下脚步,回顾一下吧……
自身の過去、というものについて。)
关于自己的过去。)
……歴史ある窯元の家に生まれ、自然豊かな地に育ちました。
……出生于历史悠久的陶艺世家,在自然丰富的地方长大。
廻るロクロをじっと見つめていたときのものです。
凝视着旋转的陶轮的时候。
ただの泥の塊が、みるみるうちに器へと姿を変えていく。
普通的泥块,转眼间就变成了器皿。
それはまるで、魔法のようで。泥が皮膚の奥にまでしみついた
那简直像魔法一样。泥土渗入皮肤深处的
おじいちゃんの手は、私にとって魔法使いの手のようでした。
爷爷的手,对我来说就像魔法师的手一样。
「なんだ肇、ロクロを廻してみたいのか?
「怎么了肇,想试试转陶轮吗?
……そうか。じゃあばあちゃんに、
……这样啊。那就让奶奶
汚れてもいい服に着替えさせてもらってこい。」
给你换上弄脏了也没关系的衣服吧。」
憧れ、習い、覚え、多くの時間を作業台と窯に費やして……。
憧憬、学习、记住,花费了很多时间在操作台和窑上……。
……けれど私の手は、どうしても、何の雅もない、
……但我的手,无论如何,只能做出毫无雅致的、
つまらない器しか生み出すことが出来ませんでした。
无聊的器皿。
こんな自分では、陶芸家になんてなれやしないと。
这样的自己,根本当不了陶艺家。
おじいちゃんの期待に応えられないと……そう思いこんで。
无法回应爷爷的期待……我就这样深信着。
つまらない自分を変えてくれる何かを、窯の外に求めて。
为了改变无聊的自己,我寻求着窑外的某物。
清水の舞台から飛び降りるように切実に――あるいは逃げるように、
像从清水舞台跳下一样迫切——或者说逃避一样,
私は故郷を飛び出しました。……そして……。
我离开了故乡。……然后……。
そして、プロデューサーさんと出会いました。
然后,我遇见了制作人先生。
周囲を煩わしいと思うようになったのは、いつからだろう――
开始觉得周围烦人是何时开始的呢——
……あるいは生まれ落ちたその瞬間から、ボクを囲む世界は、
……或许从出生的那一刻起,包围我的世界
ボクにとって騒がしいものだったのかも知れない。
对我来说就是嘈杂的。
小学校の頃は、よく図書室に入り浸っていた記憶がある。
小学时,我经常泡在图书室里。
別に本の虫ってワケじゃない……どこもかしこも喧しい小学校で
倒不是书虫……只是在到处喧闹的小学里,
一番落ち着ける場所が、私語禁止の図書室だっただけの話さ。
最安静的地方是禁止说话的图书室罢了。
みんなとちがってて、ちょっとヘンだよね ! 」
和大家不一样,有点怪呢!」
小学生の、低学年の頃だったか。
是小学低年级的时候吧。
比較的仲が良いと思っていた当時のクラスメートから、
从当时关系还不错的同学那里,
彼女が本当はどんな気持ちで、ボクをそう評したかは知らない。
不知道她是以什么心情那样评价我的。
けれど言われたボクの側は、あまり悪い気はしなかった――
但被说的我,并不觉得太坏——
いや正直、満点のテストを褒められるよりも嬉しかったと思う。
不,老实说,我觉得比考满分被表扬还高兴。
それはボクにとって、ある種の勲章のように感じられたから。
因为对我来说,那感觉像是一种勋章。
モブでなんかいたくない。背景の雑音になんかなりたくない。
不想当什么小角色。不想成为背景的杂音。
誰かの代替可能品なんかでありたくない……誰しもそうだろう?
不想成为谁的替代品……谁不是这样呢?
その勲章をより増やすため、ボクは、自ら孤立した。
为了增加那份勋章,我主动孤立了自己。
そしてどこにでもいる、『痛いやつ』の出来上がりってワケさ。
于是就成了随处可见的『中二病』。
気付けばボクの周囲には、理解者と呼べる者はいなくなっていた。
回过神来,身边已经没有能称为理解者的人了。
このままずっと、静寂を求めて、独りでいるのかも知れないと……
或许就这样一直追求寂静,独自一人……
そんな予感と諦念が、どこかにあった。
心里有着那样的预感与放弃。
そして……プロデューサーと出会った。
然后……我遇见了制作人。
昔のことは、正直、あんまり思い出したくない。
过去的事,老实说,不太想回忆。
記憶をたどると、まずよみがえってくるのは、
一回想起来,首先浮现的是
あの病院独特の消毒液のニオイなんだから……。
那医院特有的消毒水气味……。
繰り返される注射と採血と点滴。
重复的注射、抽血和点滴。
それがアタシの、子供の頃の日常。
那就是我童年的日常。
病室と外とのつながりは、小型の液晶テレビくらいで。
病房和外面的联系,只有一个小型液晶电视。
その中で笑う、元気で健康で恵まれた人達に、
看着里面笑着的、健康幸福的那些人,
小さなアタシはぼんやりとした憧れを抱いた。
小小的我产生了模糊的憧憬。
でもそんな夢も憧れも……いつしか嫉妬に変わっていった。
但那样的梦想和憧憬……不知何时变成了嫉妒。
アタシは、夢を叶えるための努力すらできないんだから。
因为我连为梦想努力都做不到。
何もかもを諦めることだけだったんだから。
放弃一切。
「このままいけば、来週には退院できそうだって。
「照这样下去,下周就能出院了。
本当に良かったわね、北条さん ! 」
真是太好了呢,北条小姐!」
……なんて言われて、いきなり放り出されても。
……被那样一说,突然被扔出来。
諦めることに慣れた心まで、元通りになるわけないのに……。
习惯了放弃的心,也不可能恢复原样……。
……あの頃のアタシは、最低最悪で。
……那时的我,糟糕透顶。
もう人生、イヤになっちゃってて……。
已经厌倦了人生……。
そして、そんな時……プロデューサーさんと出会った。
然后,那时……我遇见了制作人先生。
(ただクサってるばかりだったあの時間も、
(光是抱怨的那些时间,
ぜんぶレッスンに使えてたら……今ごろもっと上にまで、
如果全用在练习上……现在或许能爬得更高,
(ボクは『痛いやつ』だから。
(因为我是『中二病』。
過去も現在も、痛いコトを積み重ねていくのだろうけれど。)
过去和现在,都在积累中二的事情吧。)
(でも……過去を否定することはしたくない。
(但是……我不想否定过去。
(偶然だろうと、なんだろうと。
(不管是偶然还是什么。
プロデューサーさんと巡り合えて……アイドルとなって。
能遇见制作人先生……成为偶像。
だからこそ、いま私は、ここでこうしているんだから。)
正因如此,我现在才能在这里。)
(なら……未来の自分は?)
(那么……未来的自己呢?)