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碧蓝回忆录日服文字版/光と影のアイリス

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2021-06-10更新

    

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光と影のアイリス

光と影の海へ展开/折叠


ーー光のあるところに影あり
我が祖国の文明が続いて数千年、輝かしき時代の裏には戦争という影が潜む
ヘイスティングスから百年戦争、トラファルガーからワーテルロ、
形こそ、石工から刀剣、そして大砲へと変われども……
理想のぶつかり合いが散らす激情の火花がどんなに眩しかろうと、
犠牲と恐怖の影を落とすのもまた人間の理。
されど影の中にいるからこそ、
水天の蒼を照らす至高なる存在をより一層感じることができよう。
暗闇の中で人を光へと導く、文明が作りし神性の結晶よ、
御身が指し示すは我が栄光、我が意志、我が旗の往く道先。
この命、篤信を果たす聖戦に捧げることにならん。
自由を顕す、御身の輝きに誓って――
「光と影のアイリス」
「Méditerranée」――世界最大の地中海にして、夏は熱く乾燥し、冬は暖かく多雨という、世界全体から見ても独特な気候を有する。
また、人類の古代文明の発祥地の一つであり、沿岸部に大小十数個も数える国々が点在する。
人間の歴史が続く中、数々の文明はこの地、この海で生まれ、育ち、そして消えていく。
今まさに、新しい嵐が吹き荒れようとしている。
晴天の海――戦艦3隻、空母1隻、そして護衛する艦艇が十数隻からなる大艦隊が航行している。
アリシューザ:
フッド様、アーク・ロイヤル様、ただいま天候がよく、艦隊は目標へ順調に接近中です。
アーク・ロイヤル:
ついにこの時が来たか…長きに渡っていざこざがあったとはいえ、まさか本部がここ数十年盟友だった勢力に攻撃命令を出すとは……
フッド:
本部にも考えがあるのでしょう。なにより、鉄血に占拠されたこの国は、もはや共に戦える味方とは言えませんことよ?
アーク・ロイヤル:
それは……残念ではあるが……
フッド:
ヴィシア聖座。かつてはアイリスの国の一部だった存在は、列強の五本指に入る海軍力を持ち、今やロイヤルネイビーにとって最大の脅威の一つとなりました。
私たちがアイリスのようにならないためにも、あの娘たちが完全に鉄血に掌握される前に、牙を抜く必要がありますわ。
アーク・ロイヤル:
フッド……
フッド:
そこまで深刻に考える必要はありませんことよ?私たちが与えられた任務は撃沈ではなく無力化ですし、あの娘たちにもう一度選択の機会を与えてあげればいいのですもの。
100年前のトラファルガー海戦の再現など、お互い望んでいないのではなくて?
アリシューザ:
セイレーンの信号を探知!エクセキュータ―型の新型艦だと推定!
フッド:
H艦隊全艦、第一種戦闘態勢に移行します!目標――12時方向のセイレーン艦隊!

突破口展开/折叠

アーク・ロイヤル:
偵察機によれば、ケビール港に停泊中の戦闘艦艇は…戦艦4隻、軽空母1隻、駆逐艦6隻だ。いずれも戦闘態勢にはなっていないようだが…
外側の海域ではまるで港を守るように、結構な数のセイレーンがうろちょろしている。港に接近したければそいつらから突破するしかないんだな。
フッド:
護教騎士団は、セイレーンと……?なんて嘆かわしいことでしょうか……
アーク・ロイヤル:
それは…あと気になるのは、港で停泊中の戦艦に「あの二隻」がいない事だ。
フッド:
あの二人がここにいれば、戦力的にはこちらが不利になりかねませんけど…
今回の作戦目的は警告、そしてあの娘たちにもう一度未来を選ばせること…無為な戦闘はできれば避けたいものです。
……それはさておき、まずはこの防御線を突破することに集中しますわよ!

カタパルト作戦展开/折叠

ダンケルク:
来たのね…ロイヤルネイビーの方々。
フッド:
ご機嫌麗しゅうございます。ロイヤルネイビーH艦隊旗艦・フッド、ご挨拶申し上げますわ。

裾を片手で少し持ち上げ、相手に向けて軽く一礼――優雅で格式高いロイヤル風の作法だった。
ダンケルク:
巡洋戦艦ダンケルク、ご挨拶申し上げます。あなた方に大いなる父と聖霊の祝福があらんこと。

ヴィシア所属の巡洋戦艦――颯爽なる騎士ダンケルクは右指で胸元に神のシンボルを描き、フッドに向けて軽い会釈をした。
フッド:
私たちがここにお尋ねした理由、おわかりになっていると存じますが……ロイヤルの鉄血との作戦行動にご助力のほどお願い申し上げますわ。
ダンケルク:
…お言葉ですが、護教騎士団は異国の指図を受けるつもりはありません。
フッド:
では、こちらの案を提示いたしますわ。
一、速やかに港から出て、ロイヤルネイビーと合流し、鉄血とレッドアクシズとの作戦行動に当たること。
二、武装を解除し、ロイヤル勢力下の港に移動すること――移動中の安全はロイヤルネイビーが保証する。
三、ロイヤル立会の元、ユニオンの指揮下に入り、武装を解除すること。
四、今この時点で自沈すること。……これだけは見たくありませんわ。
ダンケルク:
……それがあなた方の最終通告と理解してよろしいかしら。…もしすべての案を受諾できないと言ったら?
フッド:
本部の指示により、「武力を持って敵艦隊の無力化を行う」――そうするほかありませんわ。
ダンケルク:
……
フッド:
アイリスのことは致し方ありませんが……戦士としては己の祖国のために力を振るうのが本懐のはずです。もう一度お考えくださいませ。私たちロイヤルと一緒に戦いませんか?
ダンケルク:
お断りよ。

ダンケルクは艤装に装着しているサーベルを片手に構えた。
ダンケルク:
枢機卿と信仰に尽くすための護教騎士団だもの。よそ者の命令を受けるなんてありえないわ。
攻撃を加えてこなければ、鉄血…そして帝国のほうに加勢しないことを約束する。
フッド:
でしたら、その証明として武装を解除していただけないかしら。
ダンケルク:
……盟友だというのに、この程度の約束すら信じてもらえないのね。
フッド:
あの時――この大陸から撤退した日から、あなた方との連絡がつかなくなったと本部が言っていますわ。
この海域にあるセイレーンの動きからしても、今のあなたの言葉を額面通りに受け取るのは難しいかと……どうか、こちらの立場をご理解いただけないかしら。
ダンケルク:
量産型のセイレーンがいるのは鉄血の差し金よ。私たちの動きを監視する意味を含めて、ね。
それを掃除してくださったあなた方にはむしろ感謝したいところだわ。
フッド:
…………そろそろ時間です。これは……本部として、「ヴィシア聖座の正式な回答」を期待しておりますわ。
ダンケルク:
「ロイヤル艦隊は信じずるに値せぬ。最後まで戦う」――これが回答よ。
フッド:
……そうですか………
……私は………

教国再誕展开/折叠

アリシューザ:
戦火確認……ダンケルク・大破、プロヴァンス・大破、ブリタニア………
フッド:
……
アーク・ロイヤル:
ストラスブールは?
アリシューザ:
機雷原を突破し、夜陰に乗じて逃げました……ね。
アーク・ロイヤル:
そうか……これはこれで……
フッド:
あの時と同じ、まさかこの私が……味方を手にかけるなんて……
アーク・ロイヤル:
…あなたのせいではない。この時代がそうさせたのだ。
作られた存在である私たちは、ただ指揮官の命令、そして本部の命令を守る……兵器よ。
フッド:
私たちがただの兵器ならどれだけ気持ちが楽になるのやら……
アーク・ロイヤル:
フッド……
フッド:
ごめんなさい。取り乱してしまいましたわ。

フッドは帽子を取り、隣にいるアーク・ロイヤルに顔を向けて謝罪した。
(ざざざ……)
アリシューザ:
こ、広域電波通信を受信しました!
これは……あのリシュリュー!?
フッド:
ずっと探していたというのに、あの娘、自分から…?
信号源を教えてちょうだい!
アリシューザ:
信号源は………
……
――ロイヤル本島

――同胞たちよ、我が呼びかけを聞きたまえ!
我が国土が砕かれ、俗世にすがりし者たちは一夜にしてレッドアクシズに降り、支配されし傀儡(ニンギョウ)でいることに甘んじた。
上層部の指示は一言だけ――「武器を捨て、抵抗をやめよ」
神智の正統を継ぐ、アイリスの誇りし護教騎士が、自由に殉ずる機会すら与えられぬまま、敗北を宣言された!
数十年前の戦争で、先人の偉大なる犠牲によってようやく奪い返した私たちの故郷は、
聖教に背いた者たちによってこうも簡単に不信者に売り渡された!
そして忌むべき力を手にした者たちが今、聖教を守ると偽りながらこの蒼き海を蹂躙している!
アイリスにとって、これ以上の侮辱は存在するものか!否!断じて存在しない!
不朽なる魂は天の救いを座して待つことあれど、定命ある国を救うには今、すべての力を合わせるしかない!
アイリスの正統たる我が自由アイリス教国が、ここに成立を宣言する!
百年戦争の折、とある聖女の献身を象徴する旗印は今、この地に再び掲げられた!
同胞たちよ、我が呼びかけに応えたまえ!アイリスの未来のために、尊き犠牲のために、この旗の元に集まりたまえ!
祖国は今危機に瀕しているが、逆転するための力も、助けも、勝機もある!
同胞たちよ、内なる力を覚醒せよ!そして奮い立て!
さすれば私たちはすべての敵を粉砕し、最後の勝者として再び栄光を取り戻せるだろう!
神の光に導かれるすべての者達よ!その希望を強く持ち続けよう!
そして信じるのだ!どんな苦難があろうと、自由の輝きは決して消えることはない!
すべての同胞たちに、
大いなる父と聖霊の祝福があらんことを――
フッド:
……
アーク・ロイヤル:
あの娘は……枢機卿の座についたアイリスの最新鋭艦・リシュリュー……
フッド:
これで世界の勢力図がまた変わりますわ。
アーク・ロイヤル:
この嵐はまだまだ続くだろうか…

追想展开/折叠

???:
ってことは、オレたちはあのヴェネトに対抗するため、人類に作られたってことか?
そうですね。結果的に言うとそうなりました。
なら、オレたちは所詮人を殺めるための兵器だな。
そうではありません。どの時代でも人間は信仰と英雄を必要とします。信仰と英雄なくして人間は生き延びられません。
つまり、オレたちは彼らにとっての英雄ってことか?
今はまだそうではありませんよ。あなたが動けるようになるまでは……ふふっ。
リシュリュー姉!またオレのことを馬鹿にしやがって!あと少しだ、あともう少しであんたを追い越してやるからな!
そうですね。待っていますよ。そういえば、私たちの「名前」の意味……知っていますか?
名前?
「船」である私たちの「名前」は人類の偉人から預かった、大いなる期待を込められたもの…
ふーん、オレの「名前」はなんなのさ?
私掠船……つまり海賊ですね…ある意味似合っていませんか?
はあ!?また馬鹿にしたな!三度目はないからな!
はいはい。ですが…国土を守る栄光ある英雄になるか、ただただ死をもたらす兵器になるか、今度は本人次第――私たち自身が決めることです。
…………
くれぐれもその「名前」に恥じる選択をしないように――
ジャン・バール:
…またこの夢か。まったく笑えない冗談だな。
大洋最強の戦艦にして、堂々たる騎士様が、今やよそ者の力にすがるというこの有様だ。ふん。
――不甲斐ないにもほどがあるぞ。この馬鹿姉が。

連合艦隊展开/折叠

レナウン:
ロイヤルネイビー・レナウンから同盟艦隊へ連絡申し上げます!これより貴艦隊と合流します!
レンジャー:
タスクフォース34、航空母艦レンジャー、貴艦の合流を歓迎します。
クリーブランド:
ハロー!おお、この方はロイヤルネイビーのレナウン…ですね!いや~さすが、頼りになる!
レナウン:
お褒めに預かり光栄です。貴艦隊の支援、誠に感謝いたします。本艦も貴艦隊の作戦行動を全力でサポートする所存です。
レンジャー:
今回はロイヤルとユニオンの共同作戦、上陸を援護するのが作戦目標になります。
地中海より南で戦線さえ展開できれば、レッドアクシズによる、ロイヤル本島と北方連合への脅威を減らせるでしょう。
クリーブランド:
つまり敵をこっちにおびき寄せるってことね!
レンジャー:
そうですね。今回の作戦は戦略的な意義だけでなく、私たちの同盟関係にとっても重要な意味を有します。
なので、皆さん、そしてロイヤルのレナウンさんにも協力をお願いします。
ウィチタ:
それで、私たちの敵は?
レナウン:
航路を阻むセイレーン以外に、一つだけ敵となり得る可能性のある勢力があります。
マサチューセッツ:
――ロイヤルの隣国、アイリスの一部だった勢力、ヴィシア聖座……
レナウン:
はい。ヴィシアがどんな反応を見せるかは不明瞭ですが、状況次第で反抗も予想されます。
ウィチタ:
なら好きにさせてみろ。もし撃ってきたら思いっきり叩きのめしてやる!
マサチューセッツ:
ふーん……
レンジャー:
……以上が作戦概要です。本作戦は60分後に開始されます。が……
その前に、接近中の量産型セイレーンを片付けますわよ!

闇朱の騎士たち展开/折叠


――警告:周辺海域に敵航空兵力が来襲。各員速やかに戦闘態勢に移行されたし――
――警告:周辺海域に敵航空兵力が来襲。各員速やかに戦闘態勢に移行されたし――
ジャン・バール:
ついに来たな!「大洋の向こうの嵐」とやら!随分と待たせてくれたじゃねえか!
……リシュリュー姉、これがあなたが望んだ結果か……?

ヴィシアの騎士(カヴァリエ)たちよ!聖戦の時が来た!
恥知らずのよそ者どもは我が祖国を荒らし、
強大なる我が海軍を手中に収めようと何度暗躍したことか!
この偽善者どもには、騎士道も、信仰も、道理も正義もなく、
あるのは裏切りと欺瞞のみ!
ダンケルク、プロヴァンス、ブリタニア、あの日卑劣にも謀られた我が同胞の名を、我々は一度たりとも忘れていない!
あの日、我々は立ち上がらなかった。
あの日、我々は抵抗を選ばなかった。
それを我々が、このアイリスの正統であるヴィシア聖座が、外敵と結託した者を恐れていることと意味するだろうか!?
否!
あの日、我々は敗北した。しかし、我々はこの世界の仕組みを誰よりも、痛くなるほど理解できた。
敵は強かった。だがヴィシアもあの日のヴィシアではないのだ!!
悪行で天罰がくだされたにもかかわらず、
悪しき者どもがまたもや我々の祖国を侵略しようとしている!
「自由を与えよう」「選択権を与えよう」など、綺麗事を並べていようが……
「カイザルのものはカイザルに、神のものは神に」――
我々の自由とは神より与えられしもの!断じて余人などに施されるものではない!!
新たな力を手に入れた我々は、どんな相手でも打ち砕ける!
さあ!ヴィシアの騎士たちよ!聖戦の時がついに来た!
世界に証明するのだ!我々こそ正統なるアイリス、我々こそ約束されし栄光であることを!
Que Dieu vous bénisse(神のご加護がありますように)
全艦隊、目標に照準――攻撃せよ!!
ジェンキンス:
こ、これは……ヴィシアの艦隊が攻撃してきました!
ブルックリン:
損傷甚大!支援を求む!
繰り返します!損傷甚大!支援を求む!
レンジャー:
一筋縄には行かないようね……
周辺海域で展開中の艦載機に通達。これより任務を変更します。
沿岸砲の排除を優先し、上陸の援護に集中してください!
クリーブランド:
やっぱり戦闘になったか……敵の航空機がないと私は中々活躍できないんだけどな……
あわわわ!セイレーンの艦載機!?
ウィチタ:
油断するな!このあたりの防空はお前に任せた!こっちはセイレーンの新型空母を叩く!

真打ち出撃展开/折叠

マサチューセッツ:
この…ええと、信者さんたち?そんなに戦うんだ…
この砲弾は…大口径砲のものか。あの子か?
名前はなんだったっけ……ジャン……ジャン・ポール?
レンジャー:
ジャン・バールですよ。
マサチューセッツ:
面白そう。あの子ならもう少しこっちも真剣に戦えるね。
レンジャー:
マサチューセッツ…タスクフォースの主力艦の役目を忘れてるんじゃないでしょうね…
マサチューセッツ:
敵の脅威を減らし、上陸中の味方の損害を防ぐ……それがぼくの役目ね。知ってる。
行ってくるね。
ウィチタ:
こっちも準備OKだ!
クリーブランド:
あああっ、私も出る!
ジェンキンス:
ご、護衛します!
レンジャー:
ちょっと待っ……
もうっ、なんでこうも、どの子も後先を考えないのよーー!
艦載機、味方の援護を急ぎなさい!

好敵手・相まみえる展开/折叠

ジャン・バール:
よくここまで来たな!侵略者ども!
クリーブランド:
レッドアクシズに奪われた海域を取り戻そうとしているだけだ!私たちと戦う必要はないじゃないか!
ジャン・バール:
お前たち同盟には二度と騙されないぞ!祖国はオレたちが守る!
クリーブランド:
だーかーらー!誰もあんたたちの領土を占領するなんて言ってないじゃない!
マサチューセッツ:
黙ってて。話しても通じないよ。この子たちは。
ジャン・バール:
お前は…サウスダコタ級か。大洋の向こうの最強戦艦だって聞いた事があるな。
マサチューセッツ:
タスクフォース34、サウスダコタ級三番艦、マサチューセッツ。
名前が伝わってるのは軍艦として嬉しいけど、まあ沈めるね。
役目もあるし。上陸する子たちを護衛するという役目が。
ジャン・バール:
信仰も信念もなく侵略してくる雑魚どもだ。痛めつけて何が悪い?
マサチューセッツ:
雑魚…?悪かったね。とても。じゃあこのぼくが――お前を、ギッタギタに砕いてやる。
ジャン・バール:
ふん、いい機会だ。お前という世界最強を倒せば、オレはリシュリュー姉を……!
来い!リシュリュー型戦艦二番艦――ジャン・バールが全力で相手してやる!!
マサチューセッツ&ジャン·バール:
大洋の向こうの「最強戦艦」!いざ尋常に勝負!!

光と影展开/折叠

レンジャー:
ドーントレス、もう一回攻撃よ!
マサチューセッツ:
もういいよ。この子はもう、動けない。
ジャン・バール:
動け!…動け!!動けよ!!
マサチューセッツ:
…………
ジャン・バール:
なぜだ!なぜオレを完成させなかった!!
なぜリシュリュー姉だけが!!
マサチューセッツ:
…二番砲塔、撃たなかったね。ぼくを相手に手を抜いた?
ジャン・バール:
……
リシュリュー姉、オレたち別のドックに移されることになったって聞いたけど、それは本当か!?
リシュリュー:
そうです。ええ…戦局が変わりました。安全のため…
ジャン・バール:
つまり逃げるってことか!?オレは絶対に認めないぞ!
リシュリュー:
上層部にも考えはあるでしょう。まだ艤装が完成していないあなたは安全な場所で隠れなくては…
ジャン・バール:
なぜ戦わない!オレには主砲が一門あるし!それにリシュリュー姉もいる!連中を倒すには十分じゃないか!
リシュリュー:
……
ジャン・バール:
まさか……ほかの勢力が……
リシュリュー:
状況は思っていたより複雑……命令に従ってください。あなたの装備が完全になったら、私のところに来て。ずっと待っていますから。
ジャン・バール:
……
待っていろ。追い越してやる。いつか……絶対にだ。
……オレの兵装は最初から完全ではなかった。
鉄血とあの勢力に挟み撃ちされていた状況じゃあ、大型艦が一隻増えたところで敵に利用されるのがオチだ。最初からそうだった。
鉄血の連中のように、セイレーンの力を得ようとしても、結局それも叶わない。
ふん、国を守ろうとしたのに、国が割れる結果にしかならなかった。
ずっと前にいる大切な人に追いつこうとするあまり、その人にも裏切られる。…笑えない冗談だ。全く

――(ザザザ……)
レンジャー:
本部より緊急連絡が……
マサチューセッツ:
…「鉄血の機動艦隊、高速で南下中。全員戦闘用意」…今?
ジャン・バール:
安心しろ。連中の目標はお前らではない。
むしろオレの仲間たちがこの海域のほかの港にも配置されているから…もしや……

――(ザザザ……)
「ヴィシア聖座に所属する全艦隊に告ぐ。本部より緊急連絡」
「ヴィシア聖座に所属するすべての軍艦はアズールレーンに合流せよ。ヴィシア聖座・勢力識別解除・再現終了」
「汝らに大いなる父と聖霊の加護があらんこと」
マサチューセッツ:
…………
ジャン・バール:
ふ、ふははははは!!
レナウン:
……武装を解除して、私たちに……
ジャン・バール:
黙れ!ケビール港…ダンケルクたちのようなことを二度と起こさせるものか!

くっ…!ヴィシア聖座旗艦ジャン・バールが全艦に告ぐ!
ここは落ちた!異教徒たちは祖国に進出してくるだろう。
鉄血や帝国の連中がオレたちを陥れようとしているだけでなく、
本部までもが我々ヴィシア聖座を壊そうとしている!
オレは絶対に、それを認めない!
ケビール港……ダンケルクたちが敵対していないのにも関わらず、アズールレーンから攻撃された時点で、既に答えは見えていた!
そんな偽善者どもに、オレたちは絶対に従わない!
ヴィシア聖座は今存亡の危機に直面している――我々の周りには敵だらけだ。だからどうした!
命令を下す!全艦、直ちに自沈せよ!
――定命あるものには死がある。汝悲しむことなかれよう。これぞ嘘偽りない輪廻の摂理。
いつかは、違う自分に目覚めるだろう。
それでも神には感謝したいと思う。素晴らしい国をくれてありがとう…と。
この命を幸せにしてくれてありがとう。
そして天国の海に迎えてくれてありがとう。
この栄光がすべてのアイリスを継ぐものに伝わることを願おう。
ヴイシア聖座。アイリスの国の正義·激情·愛情を表すもの――
「大いなる父と聖霊の加護があらんこと」
ヴィシア……いいや……アイリスの第二旗艦。ジャン·バール……
マサチューセッツ:
なんでこんなことを。
ジャン・バール:
昔アイリスとロイヤルが盟約を結んでいてな。アイリスは決して鉄血と帝国に降りることはない……オレたちヴィシア聖座もアイリスの一部だから、道理を貫くまでだ
レナウン:
ジャン·バール……
ジャン・バール:
正直、お前たちが羨ましい。こんなに強い国を持って、こんなに強い大砲と船体が作れて……
オレも…これぐらいできれば……きっと……
マサチューセッツ:
楽しみにしているよ。
戦いが終わったらあなたはきっと完成する。「その時にまた正々堂々と戦おう」、とね。
ジャン・バール:
ふん、お前らユニオンにこんな腐れ騎士様の言いそうなセリフがわかるかよ...
マサチューセッツ:
そう?カウボーイは言いそうだけど。
ジャン・バール:
(オレが追い越したいやつがまた一人…か。意外と…似ているな…)
おうよ。…その日を楽しみにしているぞ………だがその前に……しばらく、休ませてくれ……
マサチューセッツ:
いいよ。アイリスと鉄血、そして「帝国」――
ぼくたちが、決着をつけてあげる。
リシュリュー:
そういえば、私たちの「名前」の意味……知っていますか?
ジャン・バール:
名前?
リシュリュー:
「船」である私たちの「名前」は人類の偉人から預かった、大いなる期待を込められたもの…
ジャン・バール:
…………
リシュリュー:
くれぐれもその「名前」に恥じる選択をしないように――

聖女の進撃展开/折叠


カサブランカ、トゥーロン…悲劇は過ぎました。教国の騎士たちは信仰と誓いを守ろうと自己犠牲を選びました。
犠牲は偉大なり、自由は偉大なり。
敵が邪しき巨人ゴリアテのように、剣と槍の暴力で攻めて来るのであれば、
聖人ダビデのように、万軍の主、偉大なるお方の御名をもって立ち向かうのみ!
自由の力が目覚め、
聖なる御旗の元に正義が集まり、
この新しい時代で、私たちはきっと栄光を奪い返してみせよう!
かの枢機卿から預かったこの「名前」、そしてこの緋き衣に誓って、すべての民に自由を!
「大いなる父と聖霊の加護があらんこと」
自沈したはずのヴィシアの同胞をも救った指揮官に至高の祝福を授けよう――
フォルバン:
「帝国」の小型艦隊を発見しました!旗艦に指示を仰ぎます!
ル・トリオンファン:
追撃戦はル・ファンタスク級の十八番ですわ。早く指示を!
エミール・ベルタン:
索敵範囲内の敵を追跡できたわ!攻撃指示お願い~!
ジャンヌ・ダルク:
はあ…はあ…すみません、今追いつきました!
では、自由アイリス教国第二遊撃艦隊旗艦、ジャンヌ·ダルクより指示を伝えます!
自由の名の元に――全艦、攻撃開始!