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碧蓝回忆录日服文字版/墨染まりし鋼の桜

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2021-06-11更新

    

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更新日期:2021-06-11

  

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墨染まりし鋼の桜

展开/折叠

陸奧:
長門姉、今神社から外を覗いたらね、人がすっごくいっぱい集まって来てくれてた!本当にすごい!
長門:
そ…そうか?
陸奧:
「重桜を守りしカミの御狐(みこ)、世界一の大戦艦」やっぱりは長門姉はいいな~陸奥、羨ましい!
長門:
からかうでないぞ。…それよりここは合っておるか?この服、艤装と同じなのに、いざ袖を通してみると妙に着づらいぞ……
陸奧:
うん…本当だ!簪(かんざし)がずれてる!ちょっと待っててね…
ええと…こう…まあいいや…よし!ぱーふぇくと長門姉、完成!
長門:
う、うむ…では、余が参るぞ…
陸奧:
はーい!みんなが待ってるよ!早く行こ♪
長門:
すーはーすーはー…喋り方も注意せんと……

巫女装束の少女は何回か深呼吸をして、ゆっくりと、優雅に玄関の前まで歩き――そして一度振り向いた。
長門:
陸奥、余の妹…あ、ありがと……
重桜の民:
来ました!
いらっしゃいました!「重桜」を預かる神子、長門さま!!

天まで届くほど巨大な桜――かの国と同じ名前を有する御神木「重桜」の根元にある神社は、国中の民と四方から来た参拝客で大変賑わっていた。
そんな神社の奥社から、紅白の装いを身にまとった少女がゆったりとした歩幅で歩き出てくる。
身につけているものは――御狐(みこ)の衣装、華麗な装飾、そして桜を模する金の簪は――
少女こそが「重桜」を奉る神職の者であることを証明してくれる。
神社の表に設置されている祈祷台の中央で足を止め、少女は荘厳なる顔つきで重桜の民に向かって――
長門:
余は長門。重桜を守りし者、連合艦隊旗艦の長門である!これより重桜を奉る御狐(みこ)として、ヤオヨロズの神々に信仰を捧げようぞ!

少女は力を込めて、その体格に見合わぬ威厳のある声で重桜の民に訴えかけた。
長門:
重桜の民よ、この国が末永く豊穣と繁栄で満たされるよう、余とともに祈りを――
「……尊き重桜の御恵みに、かたじけなみ奉りて、
重桜の民:
正しき直き眞心もちて、永く咲き誇り給えと――」

神気が流れた。この世に生を受ける際にカミより授かりし「コトダマ」の力によって、「重桜」の花びらがかすかながら光り、そして――
桜色の雨が神社を、海を、辺り一帯を覆った。
重桜の民:
ありがたや……さすがは神子さまだ……
長門さま……ありがたや……

民の声に呼応して、空に浮かぶ桜色の雫は光の玉となり、「重桜」の国に隅々まで散らばっていった。
戦艦「長門」――少女の記憶に存在していない、違う世界の「重桜」という国の光景だった。
しばらくしたら、祈っている民衆に向き直り、再び口を開いた。
長門:
余は長門。重桜を守りし者、連合艦隊旗艦の長門である!皆の者、聞くが良い!そなたたちの信仰が続く限り、重桜の繁栄は永久に約束されようぞ!
重桜の民:
重桜に永久なる繁栄を――

歓声に近い民の声の中、長門は踵を返し、神社の境内に戻る。
長門:
見たか、余の姿……今の余はどうであろうか……
然り。お主の言う通り、「『重桜』を守る者は、偉くなければならぬ」……余は……頑張るぞ!


墨染まりし鋼鉄の桜

帰還展开/折叠

瑞鹤:
ついにこの海域に戻る時が来たね…見てよ翔鶴姉!昔ここで戦闘訓練をやったのを覚えてる?
翔鶴:
そうよね。開戦以来戻っていなかったから…懐かしいわね…

開戦後、セイレーンの襲撃により音信不通になった重桜のとある海域に艦隊が前進している。
前衛には「ソロモンの鬼神」こと綾波が周囲の索敵を行っており、
中央には五航戦の翔鶴・瑞鶴姉妹が続いて、
一番後ろにかの世界では近代初の連合艦隊の旗艦――三笠が付いている。
三笠:
久しぶりの帰郷に喜ぶのはわかるが、お前たち、少しは年長者の配慮をしてくれぬか…はぁはぁ……
瑞鹤:
ごめんなさい!でも、三笠大先輩も弱音を吐く事があるのですね。へへへ
三笠:
瑞鶴~、今度はこの三笠の手作りロイヤル料理でも披露してやろうか?

瑞鶴の表情が一瞬で固まった。
瑞鹤:
あ、あはは…お気持ちはいただきます…和食はいいけどロイヤル料理だけは……

(ドカーン!)
敵艦の艦影が観測されたとともに、敵の長距離射撃の砲弾が艦隊の進路に大きな水柱を作った。
瑞鹤:
あわわ!危なかった…
綾波:
3時方向、距離12000、セイレーン反応、発見です。
三笠:
セイレーンが跋扈しているという情報は本当だったな。各員!迎撃せよ!

目的展开/折叠

瑞鹤:
セイレーンに侵入されたとはね……道理でずっとこの海域に近づけなかった訳だ……
でも翔鶴姉、今更何のために戻ってきたの?
翔鶴:
「重桜」よ。開戦以降の観測で、あの木が枯れ始めてしまっている事が分かったの。今回はその調査と……
三笠:
そして「あの子」を助けるため、だな。新生連合艦隊の立て直しは思ったより順調ではあるが、セイレーンに対抗するには、やはりあの子の力も必要だ。
瑞鹤:
「あの子」って、まさか…
三笠:
「長門」だ。ずっとここにいるのはわかっている。
――開戦を阻止できなかったことで、自責の念に苦しんでいるまま…だがな。救い出さねばならない。
瑞鹤:
じゃあ早速行動ね!まずは目の前のこいつらを片付けるわ!
加賀:
「重桜」に向かっているようですね。このままでは長門と接触してしまいます。良いんですか?
赤城:
お邪魔虫はいつまで経ってもうまく掃除できませんわね……煩わしいことこの上ないですわ。
ですが…今のあの子は所詮ただの一隻の戦艦、接触してきたところで何の役にも立てませんわ。
開戦を阻止できなかった時点であの子はもはや……
加賀:
……
赤城:
民の信仰も、あの子の尊き犠牲も、所詮は計画の一部。
加賀、今は待つしかありませんわ。あの方…「セイレーン」に対抗しうる、私達の運命を変えうる、あの方が降臨するまで……

契機展开/折叠

長門:
どうしても…無理だと申すか?
赤城:
全ては重桜の未来のためです。ご命令さえくだされば、あとは私達だけでも行動します。
長門:
だが…戦争となれば、人の子がたくさん死ぬ…敵はもちろん、我々重桜も……
赤城:
「タマシイ」と、命であっても……変革には対価がつきものです。世界は変革してこそ前に進められます。あなたならわかっているはずです。
ご安心ください。重桜の機動部隊はまだ敵に悟られてはいません。必ず作戦を成功させてみせます。
長門:
そう、であるな……
加賀:
長門、命令をくれ。一航戦の精鋭はいつでも出撃できるぞ。

この世界でたくさんの目を見た。神子だからこそ寄せられた信仰の目であろうと、その根底には紛れもなく幸せの未来への希望があった。
だが今回は違う。普段信頼している仲間たちのその目には希望ではなく――彼女に最後の決断を下してもらいたいという願いが映っていた。
いくら躊躇おうにも、ほかに選択肢はない。この戦争も人間の上層部が決めたシナリオでしかない。
もはや抗えないと知った少女は、拳を握りしめ、一度深呼吸をし、使い慣れた威厳のある口調で宣言した。
長門:
余は長門。重桜を守りし者、連合艦隊旗艦――長門である。
ここで、連合艦隊旗艦として、全重桜艦隊に命令を下す。
アズールレーンを……奇襲せよ!

姉妹展开/折叠


人間に触れてはならぬ。神子の神格を損ねるがゆえに。
笑顔を見せてはならぬ。威厳を保たねばならぬがゆえに。
心得よ。この世界で信じられるのは、我々「ソウゾウシュ」のみ――
……
長門:
陸奥、見てくれ。次の神儀はこの身構えで良いのだろうか?
陸奧:
ん?少しそのままでいてね~うーん、少しバカっぽい?手を真っ直ぐ伸ばしてみたらどうかな?
長門:
え?……こ、こう?
陸奧:
えへへへ、長門姉ってお人形さんみたい!
長門:
……
陸奧:
ごめん!そういう意味じゃないよ~えへへ、ほら長門姉、笑って!こう~ギーー

真似してみたが、凄くぎこちない笑い顔だったような気がした。
長門:
すまぬ……余は……
どうやって笑えばいいか、忘れておるようだ……

封印展开/折叠

長門:
「重桜」が枯れ…民の信仰がなくなっていく……
陸奥:
長門姉!この海域、セイレーンに包囲されちゃったよ!…なんだか守ってくれているって通信で言ってるらしいけど…
まさかセイレーンと協力するなんて!みんなは何を考えているの!?
長門:
……実は…
数日前、余は連合艦隊の旗艦を解かれた。
陸奥:
えええ――!

妹の目には、驚きと憤りが混じっていた。
長門:
もう航空兵器の時代だから、もはや余たちは必要とされなくなったのではないか…
陸奥:
あの馬鹿たち!陸奥たちの力を見てないくせに勝手に決めて!
陸奥と長門姉はあの世界でも「BIG SEVEN」なのに!……今から言いつけてくる!

手を広げて、妹の前で立ちふさがった。
長門:
陸奥、今はもう大艦巨砲の時代ではない!……残念だが、考えを変えていこう。こうして連合艦隊旗艦の任を解れたことで、余は安心して疑問の解決に取り組むことができる。
開戦してから毎日、なくなった命の「タマシイ」…ううん、セイレーンが言ってた「りょうしじょうほう」、それが余になにかを訴えかけているようだ。……こうなったのは余の不徳のせいだが……
陸奥:
それは違うよ!あの人達、最初から長門姉のちからを利用しようとしただけだよ!
長門:
わかっておる!とにかく……余の罪滅ぼしでも…陸奥、これだけはわかっててほしいのだ。
余を重桜に封じよう。そうしたら余はタマシイの流れが見えるし、もしかしたら何かがわかるかもしれん。
「重桜」のためでもあるのだぞ。
陸奥:
長門姉……
長門:
安心せい。頼れる仲間を護衛役につけてもらった。「重桜」には誰も近づけさせんよ。心配せんで良い。
陸奥:
あっ…白露型のあの子なの?あの子はどうも苦手だな……
長門:
……余の代わりに仲良くするのだぞ。…あ、それと…
陸奥:
なーに?
長門:
――今まで色々ありがとね。陸奥

護衛展开/折叠

江風:
止まれ。何者だ!?
瑞鹤:
こっちは重桜新生連合艦隊、「重桜」の神子の様子を伺いたく……
江風:
…お引取りを。御狐(みこ)の休息を妨げてはならん。
三笠:
長門姉妹…あの子たちをここから連れ出すのが我らの目的だ!
江風:
お気遣いに感謝する。だが長門とは約束してある。ここで眠っている限り、何人たりとも起こさせはしない!
たとえ同胞であるあなたたちでも、だ。
瑞鹤:
ああもう…こういう頭かったいのが一番苦手なんだよ…こっちは世界を救うために戦っているのよ!
江風:
その道理、押し通す気でいるのなら、戦いで覚悟を示すがいい!
瑞鹤:
そうこなくっちゃ!……って、またこんな展開!?
江風:
安心せよ。一瞬で終わらせてやる!

結界展开/折叠

江風:
さすがは武勲艦、すごい実力だ。
瑞鹤:
もう、知り合いだからってここまでやらなくてもいいのに…
江風:
その通りだが、つい戦士の本能に唆されて強い相手と戦いたくなってしまってな。
瑞鹤:
わかったわかった……じゃあ約束通り案内してくれる?
江風:
無論だ。あなたたちなら長門のことを安心して任せられる。

……
無数の御柱と注連縄(しめなわ)に囲まれた神木の根元に、「封印」の水晶があった。
「重桜」の神子をも兼任した、戦艦「長門」である少女が封印されている。
まるで悪夢でも見ているような、険しい顔だった。
江風:
タマシイ…セイレーンが言ってた「りょうしじょうほう」のことをずっと見ていたからな。
彼女がそれを罪滅ぼしとも考えているようだが、現実は違う。一部の人間に唆されているだけだ。
私にできることはこうして彼女をセイレーンから守ることしかない。
彼女を救えるのはあなた達だけだ。
三笠:
それがこちらの目的でもある。江風、大儀だったぞ。あとはこちらに任せるが良い!

願い展开/折叠


人間に触れてはならぬ。神子の神格を損ねるがゆえに。
笑顔を見せてはならぬ。威厳を保たねばならぬがゆえに。
心得よ。この世界で信じられるのは、我々「ソウゾウシュ」のみ――
……
「…余も皆と一緒に戦いたい!頑張っている皆にとって、余たちだけが後ろで控えているなんてこと、あまりにも不公平では…!」
「余は…わたしと陸奥は最大最強の戦艦だったのではないのか!…お願い!絶対に皆の足を引っ張らないから!」
「ならぬ!」
「重桜を守りし者、世界一の最強戦艦に前線で万が一何かがあった時、重桜の民に如何に弁明できようか!」
「でも……」
「過ぎた自己は己が躰を滅ぼすぞ」
「我らの指示通りに動く事こそ重桜への貢献となるのだ。わかっておるか?」
「いかにも。お主は今まで通り動いていれば良い」
長門:
陸奥
陸奧:
うん?
長門:
机に置いてあるこの人形たち――この子達にも心、魂というものがあるのだろうか?
陸奧:
さあ……長門姉急にどうしたの?
長門:
余とお主が建造されてから、この世界は変わり果てておる。
お主も知っておろう。海の向こうにいる、余と同じく「びっぐせぶん」という名を名付けられた艦たちを……
面識のない異国の戦艦たち…願わくば友達になって……
…そうだな。なにより一度、手合わせでもしてみたいものだぞ。ふふっ
陸奧:
あ!長門姉が笑った!
長門:
な、ななな…笑ってはおらぬぞ!余はただ、て、適当に綴っておるだけで……
陸奧:
この間の親善訪問のことは覚えてる?いつかきっとチャンスはあるよ!
長門:
いつか、きっと……陸奥、そ、それまでは…ずっと余と一緒にいるのだぞ……
陸奧:
……うん!

展开/折叠

瑞鹤:
…とは言われても、私達は長門をどうやって起こすのか、よくわからないんだよね…
綾波:
セイレーン艦隊、発見です。周りからこちらを包囲しつつあるのです。…接触まであと12分、です。
瑞鹤:
あああ…もう面倒…このままじっとしていても埒が明かないし、もういっそのこと叩き起こして……

ドカーン!
瑞鶴の進む先に一発の砲弾が打ち込まれた。
江風:
神子には指一本触れさせない。
瑞鹤:
冗談だよ、冗談…ってそんな本気にならないでよ…落ち着いて落ち着いて!
???:
この子を説得しようとするなんて、どこから来た大うつけさんなの?
瑞鹤:
この声はもしかして――
陸奧:
……長門姉にイジワルしようとするなんて、全く身の程を弁えない大うつけさんね!
瑞鹤:
「BIGSEVEN」の陸奥…!
陸奧:
陸奥のことを知っているの?どうして?
瑞鹤:
ええと、私達は長門を起こして、ついでに「重桜」も救おうとここに……

ドーン!
パシャー!
セイレーンによる二発の砲撃だった。
そのうちの一発は「重桜」に直撃し、「重桜」の大きな枝の一本を折ることとなった。
翔鶴:
敵を片付けないと話の続きが出来そうにないですね……
江風:
神子はこの江風が守る!
瑞鹤:
ちょま…!ああもう!私の出番が完全に奪われちゃったじゃない!

覚醒展开/折叠


ガーン!!
ドカーン!!
陸奧:
ああ!「重桜」にこれ以上当てさせないで!
瑞鹤:
こっちは避けるのに精一杯なんだからっ!――ああ!また!

ドーン!!
「重桜」の根元で繰り広げられた乱戦。数多くの砲弾が神木のいたるところで爆発し、硝煙の匂いとは違う木材が焦げた匂いを漂わせた。
封印された少女の表情は心なしか苦しそうに見える。
陸奧:
しまった…このままじゃ…長門姉は…

――!
光が、少女と余人の間に不可侵の壁を作り出した。
???:
タマシイの安寧を乱す不届き者め……

声とともに、「壁」を形成する光の玉――その正体である無数の「重桜」の枝、葉、花びらがくっきりと姿を表し空に浮かんでいる。
――セイレーンも瑞鶴たちも一瞬で動きを止めた。
???:
時空の摂理を乱す化生どもよ!立ち去るがいい!

「重桜」から放たれた光の数々が奔流と化し、襲来したセイレーンの艦隊を飲み込んだ。
半刻も経たぬのち、水面には数々の残骸と――
幼き身持ちながらも、威厳のある風貌を持つ少女が光の中心に静かに佇んでいた。
陸奧:
な、長門姉…!
江風:
神子さま!
瑞鹤:
あ、あれ?
長門:
余は長門。重桜を守りし者、連合艦隊旗艦――長門である!

奮発展开/折叠

瑞鹤:
ええと、無理やり叩き起こしちゃってごめんなさい……!

殺気(?)の込められた視線を感じ、瑞鶴が慌てて謝罪した。
長門:
お主、五航戦の瑞鶴と見た。ここに何用じゃ?
瑞鹤:
……ズバリ!私達の仲間になって!
長門:
断る!
瑞鹤:
きっぱり断られた!?
長門:
あのお方が余に「重桜」を託した。ゆえに余は重桜を守りし者として、この躰が錆び果てるまで――
陸奧:
長門姉……
瑞鹤:
それは…あなた自身が選んだ道なの?
長門:
余は……全ては余を信じる重桜の民、そして余の不徳への償いのため。余の意志など不要なのだ。
三笠:
この未熟者!
長門:
あぅ!?
三笠:
この変革の時世にして、戦艦でありながら我が身を奮わせず、ここで座して死を待つなど、宝の持ち腐れとは思わぬのか!
長門:
あ、あなたは……
み、三笠さま!?
三笠:
その諸国を震わせた四一糎砲、そしてその天までそびえる艦橋、半端な攻撃など容易く弾き飛ばす装甲……

……年甲斐もなく、たまらないほど羨ましく思うぞ!
今まで威厳を出そうとして強張っていた長門も急に気恥ずかしそうにモジモジし始めた。
長門:
よ、余は別に……三笠さまはなぜここに?
瑞鹤:
ええと、話が長くなりそうだし、とりあえず私達と一緒に来て、あとでゆっくりと…

しかし長門は瑞鶴をスルーした。
長門:
み、三笠さま、余は…連合艦隊の旗艦を任されてから、三笠さまのように……
偉大なる旗艦になろうとしてたけど…でも……
三笠:
言葉はいらん。我と共に戦おう。
長門:
え?…
三笠:
その砲身を見た時に確信した。この世界で生まれてからずっとその主砲を撃つ機会はなかったのだろう?
長門:
……!

長門の目に生気が溢れてきた。
三笠:
戦艦たるもの、主砲を鳴らせ、大洋を駆けるべし。この三笠を継ぐものが主砲を撃たぬまま錆び果てるのは見るに堪えん。
時には千の言葉より、一戦交えた方が互いの真心がわかる事もある。
そっちの…妹か?どうだ?そっちも混ざってみないか?
陸奧:
はい!えへへ、この日をずっと待ってたんだ!
長門:
……

人間に触れてはならぬ。神子の神格を損ねるがゆえに。
笑顔を見せてはならぬ。威厳を保たねばならぬがゆえに。
心得よ。この世界で信じられるのは、我々「ソウゾウシュ」のみ――
長門:
余は人間より作られたがゆえに、人間と同じく友を、絆を欲する。
民草に憧れられる存在たるがゆえに、威容だけでなく時に笑顔も必要とする。
「ソウゾウシュ」よ、どうかその申し子に一度、真に信じられるものを見出すための新生を――
良かろう!実戦経験がなくとも、全力で向かおうぞ!
重桜の「びっぐせぶん」――長門型戦艦・長門、推して参る!

強敵展开/折叠

長門&陸奥
うぅ…やっぱり負けた…
三笠:
まだ若い子には負けられないな!あははは!
長門:
三笠さま。
三笠:
どう?楽しかった?
長門:
うむ。大変勉強になった。
余は…わたしは未熟だった。民に、そして仲間に失望されたくないと必死に頑張ってたがゆえに…
色んなものを失い、操られて戦争を引き起こした…これは紛れもなくわたしのせい。
タマシイたちが教えてくれた、この時代にある「歴史の分岐点」…それを一緒に探してほしい。
わたし…余は二度と自分から逃げない!
ピュリファイアー:
いやぁん、いいこと言うねキミ~私が乱入する暇もなかったよ~
みんな:
!!いつから!?
ピュリファイアー:
やはり情報は正しかったね~この時代の特異点?だっけ…がみんな集まってきたね!

セイレーン目掛けて発射された長門の主砲を避け、セイレーン――ピュリファイアーが戦闘態勢を取るのではなく、みんなに向けて言い放った。
ピュリファイアー:
……キミ、目覚めたばかりでいかりをまきちらしちゃダメよ?今日はこっちがヒントを伝えに来ただけだからね!
ええと?王冠の戴冠、桜の満開に…魂の流転は終き海へ――終焉の序曲?
……ダサっ。どの子プログラムよこれを考えたの!恥ずかしいじゃない!
長門:
もう良いか?喋ることがもうないなら……余の砲火に砕かれるがいい!

撃退展开/折叠

ピュリファイアー:
あああ!!なんでまた私が貧乏くじを引くことになるの!「重桜」を見てみたかっただけなのに――

(爆発)
長門:
はぁ……はぁ……セイレーンは撤退したか…
三笠:
初実践にしては上出来だな。どうだ?勝利の気分は。
長門:
ふぅ…実戦がこうも疲れるものだとは思わんかったな。だが…自分の力で勝利出来た事が余にとっては何よりも嬉しいぞ。
瑞鹤:
それで?私達の仲間になってくれるかな?
長門:
うむ。それより三笠さま、先程のセイレーンの言ったことで気になることが……
「魂の流転」とやつは言っていたが、この世界の伝承では、「重桜」はカミへと祈りを捧げる際の神体でありながら、
魂に救済と安寧を与える――という意味も有する。
余が眠っていた時に見た「タマシイ」が――セイレーンの言う魂であらば、それはこの「重桜」ではなく、とある遠き海域に吸い寄せられているようだった。
それがセイレーンの仕業か、はたまた余も理解できぬ存在の仕業かは分からぬが、とにかくこの世界に大きな変革を起こそうとする力が動いていると見た。
三笠:
そうか……お主の憂慮も考慮せねばな。とにかく、今の我らにはまだ力が必要だ。
瑞鶴もさっきから何回か聞いておるが、長門、我らの仲間にならぬか?
長門:
うむ…故郷を離れ、異国の海に出るのも一興……
余は長門型戦艦・長門――ともに参ろうぞ!
赤城:
ようやく…ようやく完成しそうですわ…
この力さえあれば、グレーゴーストも、セイレーンも、もはや歯牙にかけない存在にすぎません――加賀?あなたもこの喜びがわかりますね?
加賀:
ここまで巨大な力とは……驚かざるをえませんね。姉さま
赤城:
決戦方案…あと少しで、重桜の運命を変え、世界に新たな秩序をもたらせますわ……ふふふふ……
加賀:
この想定外の事態…お前なら……どうする?