碧蓝回忆录日服文字版/悲歎せし焔海の詩
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2021-08-16更新
最新编辑:芙兰朵露琪露诺
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更新日期:2021-08-16
最新编辑:芙兰朵露琪露诺
悲歎せし焔海の詩
「我らが征く道なかば、求める暁を目にする前に
気がつけば、暗き森の中をさまよっていた
鬱蒼とした茨に満ちた闇に脅かされ、恐れおののく
ただ、己の無知蒙昧に悔やむがばかり
ああ、正しき道は、いつ見失ったのだろうか――」
悲嘆せし焔海の詩
リットリオ:
そんな…まさか…!
サディア帝国のタラント港が赤く染められていた。
リットリオ:
私としたことが…作戦を見破れぬとは…!
港の対空施設・対空砲が火を噴くも、ロイヤルの艦載機の勢いを阻止するには至らない
リットリオ:
艦載機による夜間奇襲爆撃、とは――!!
燃え上がる艦(フネ)たちの姿は、見るものに地獄を想起させる光景であった――
三日前、サディア帝都「チッタ エテールナ」
北風:
この地中海にセイレーンが現れるはずがありません。その情報、本当ですか?
カラビニエーレ:
はっ!本当であります!帝国の南部海域にセイレーンの大艦隊が集結しています!
北風:
セイレーンの艦隊をここまで進出させるなんて…鉄血艦隊は一体なにを考え……
(レッドアクシズへの参加は、地中海の安全を必須条件としました…)
(ヴィシアの領域にセイレーンが現れたこと自体不審だと思いましたけど、まさかサディアにまで……)
リットリオ:
なに、「飼い犬に手を噛まれる」とはそういうことだ。他人に頼りっぱなしでもいいことはないさ
北風:
リットリオ!
リットリオ:
悩んでいても仕方がないじゃない?「総旗艦殿」?
なに、対応は簡単だ。帝国海軍、そしてこのリットリオをよく見るがいい
エウロパ大陸における最新鋭の艦隊と装備を有する我ら
そして、この恵まれた海で生まれた文化(クルトゥーラ)と精神(スピリト)
ヴェネト、貴方の命令一つあればーー
サディアの伝説の栄光など、いとも容易く再現できるだろう
――それも虚辞でもなく、真にな
北風:
は、はあ……
リットリオ:
というわけだヴェネト。躊躇う必要などない!帝国海軍、そしてこのリットリオが来る敵を全て駆逐してみせる!
北風:
……………でも……
リットリオ:
そうか、ロイヤル艦隊の動き、ヴィシアの時のような行動をしないか気がかりかね?
それならなおさら気にする必要はない!いずれにしてもこっちがレッドアクシズに参加した時点で、対応が決まっているさ
セイレーンの進出、私はむしろいいきっかけだと思っている
今やアイリスも鉄血もこの海域にうかつには近づけない
ともすれば、彼女らも私たちの出方、そして「ここにいるだけの私たち」の力を測りかねている
ならばここは打って出て、セイレーンを叩き力を示し――
我がサディアの威光を全世界に示す好機を、この一芝居に賭けようではないか?
ジュリオ・チェザーレ:
セイレーンめ、どうやってここまで来たの…!
コンテ・ディ・カブール:
なに、セイレーンはいつも神出鬼没だ。でないと人類は一度敗北しかけるまでにはなるまいよ
ジュリオ・チェザーレ:
そんなことより今はセイレーンたちを駆逐するんでしょ!カブール、そんなこと言ってないで戦いなさい!
コンテ・ディ・カブール:
小生の戦局分析には不満かね?…ちなみにこれでもちゃんと戦っているが?
カラビニエーレ:
な、仲がいいですね…
二人:
どこが!?
どこがだね?!
カラビニエーレ:
すみませんでした!…って、新手が接近中です!
ジュリオ・チェザーレ:
各艦撃ちまくれ!セイレーン艦隊をここで全部倒すわよ!
ヴィットリオ・ヴェネト:
チェザーレ、セイレーン艦隊との交戦状況は?
ジュリオ・チェザーレ:
連携もうまく取れないザコばかりよ。話にならなかったわ
コンテ・ディ・カブール:
そのとおり。全部撃破済みだ
ザラ:
全く良くわかからない連中ね。ね?ポーラ?
ポーラ:
そうよ、ザラ。あっという間に倒せたの
ヴィットリオ・ヴェネト:
よく頑張りましたね。チェザーレ、みんなをラスペツィアへ連れて行って?少しは休暇をとっていいですよ
ザラ:
助かるわ。祝勝パーティーも期待できるのかしら?
…………っ。待て、あっちにいるのは…
……
ザラ:
総旗艦殿、鉄血の支援でも要請したのかしら?
コンテ・ディ・カブール:
違う。あれはロイヤルの偵察機だ
ザラ:
対空態勢、どうする?
ポーラ:
別に大丈夫よ。もうどっか飛んでいったし
ザラ:
相変わらず煩わしい連中ね。チェザーレ、命令を
ジュリオ・チェザーレ:
そうね。全艦、ヴェネトの指示通り、ラスペツィアに回航せよ!
リットリオ:
……
(ここまでは計画通り…ふふふ、お楽しみはこれからだ)
ロイヤル本島
ウォースパイト:
帝国の艦隊が動いているようね
イラストリアス:
ウォースパイト様、なにが起きたのでしょうか?
ウォースパイト:
イラストリアス、この写真を見てもらえないかしら?
イラストリアス:
カブールにチェザーレ、ザラ姉妹…帝国海軍の主力がここに集結しましたの?
ウォースパイト:
ラスペツィア港ね
イラストリアス:
帝国の奥地の港ですわ。地中海のセイレーンを撃破したあとの休暇と見ていいでしょう
ですが、なぜ地中海にセイレーンが…?
ウォースパイト:
いくつかの理由が考えられるわね。普通はただの行動である可能性もあるけど、外洋に進出するための予行演習である可能性もあるわ
それにしてもサディアの動向が気になるね。セイレーンの戦力を圧倒できる大艦隊での出撃、そして鮮やかな戦いっぷり、やつらの「現存艦隊主義」に反すると見たわ
イラストリアス:
つまり、デモンストレーション……というのですか?
ウォースパイト:
困ったわね…うーん…
イラストリアス:
一度話し合いに持っていってはどうでしょう。もしかして何か事情があるかもしれませんわ
アズールレーンに復帰してくださるのでしたら、それで事が収まりますし
ウォースパイト:
そうね。陛下に報告するわ
クイーン・エリザベス:
まずは交渉、ねえ……いいわ!作戦を許可する!
ウォースパイト、この作戦の意味は分かってるわね?ロイヤル、そして「私たち」の「立場」をしっかり見せなさい!
ウォースパイト:
ハハッ!
できれば、ヴィシアとの戦いのような事態を避けたいのですが――
ベルファスト:
「将は戦いに勝つことを考え、王は戦いを避けることを考える」――
エリザベスのそばに控えるメイド長が発言した。
ベルファスト:
ウォースパイト様がヴィシアのことを仰ったときにこう申し上げるように、陛下よりお言葉を預かっております
ウォースパイト:
陛下…ウォースパイト、出陣します!我が女王陛下に栄光を!
ウォースパイトは一礼して、玉座の間より退出した。
ベルファスト:
「陛下は任せた」……かしこまりました
ご安心ください。陛下はこのベルファストが命をかけてお守りいたします
ウォースパイト:
この先はサディアの領域……
どうやらはぐれセイレーン艦隊はまだ出没しているようね…油断しないで挑むわ
リットリオ:
ロイヤルネイビーが、我がサディアのアズールレーンへの復帰を要請する、と?
ウォースパイト:
そうよ。セイレーンに地中海が脅かされている今、手を取り合って共に闘うべきだわ
リットリオ:
セイレーンに脅かされている?違うな。そうしてきたのはロイヤルではないか?
ウォースパイト:
さっきも話したけど、我がロイヤルネイビーはあくまで航路の安全を第一に考えているわ。他意はないわよ
リットリオ:
セイレーン襲来時に地中海に勢力を押し込みながら、膝元のアイリスと帝国の反目を座視したのはそちらロイヤルではなかったというのか?
そもそも、此度のセイレーンがこちらに進出したこと自体、ロイヤルがわざわざ「見落とした」とでも言い訳するつもり?
ウォースパイト:
リットリオ、貴方は分かっているはずよ。量産型とはいえあの量のセイレーンがサディアに観測されるまで何の情報もないはずがないもの
リットリオ:
沿岸部の索敵に観測されることなく、いきなり現れたということは…
地中海のどこかに鏡面海域が出現したのか?
ウォースパイト:
ええ、我がロイヤルが地中海への入り口を両方押さえている以上、セイレーンの出現は鏡面海域からしかないわ
サディアの南部に最初に観測されたということは、東南部にそれが現れたという可能性が高いと思う
リットリオ:
なるほど、ではロイヤルはどう動く?
ウォースパイト:
…………これよりロイヤル艦隊がその捜索作戦を展開するわ
リットリオ:
ならばサディア帝国海軍も参加させてもらおう
この地中海は我がサディア帝国の文明を育む海だ。セイレーンに汚されるわけにはいかない
この共同作戦を契機に、アズールレーン復帰への礎とする――この条件でどうだ?
ウォースパイト:
…………
リットリオ:
なに、ヴィシアの一件もあるからな。仲間の信頼を得るには時間が必要だよ
ウォースパイト:
確かに貴方の言う通りね…サディアの加勢を認めるわ
地中海東南部に存在すると思われるセイレーンの前進拠点を捜索し、撃破する……
というのが作戦の目的だけど、悪いけど一つ条件をつけさせてもらうわ
サディア帝国の戦艦による作戦の参加を禁止とするわ。違反する場合はロイヤルネイビーも相応の措置を取らせてもらう
リットリオ:
(ふん、一方的に自分ルールを押し付けてくるとは……ロイヤルらしいといえばロイヤルらしいね)
(なに、今に見ていろ。このリットリオが貴方達全員を騙し通してみせる…!)
北風:
リットリオ、首尾は大丈夫?私の助けが必要ですか?
リットリオ:
ああ、計画通りに進んでいるよ
地中海の制海権を得るにはロイヤルの勢力を排除する必要がある。そのためにまずはマルタを手にする必要がある
あの島がロイヤルの手中にある限り、こちらの動きは逐一あのエリザベスに報告されることになるだろう
逆に言うと、マルタからロイヤルの勢力を排除できれば、もはや地中海はこのサディアの手にあるも同然だ
対セイレーン作戦には一部の兵力が参加し、ウォースパイトたちを安心させ、
同時に夜にタラント港に主力艦たちを移動させる
未明にはマルタを攻略し、ロイヤル艦隊が戻ってくるまでに作戦を完遂させればいい
いくらあの神速のウォースパイトでも即応できない
北風:
それもいいですけど、ロイヤルの艦隊と戦って勝てるのかしら…?
リットリオ:
ヴェネト、総旗艦であるあなたがそこでためらっていてどうする?
サディア艦隊、そしてこのリットリオを信じればいいさ
なんなら今回の作戦だけ、私が総旗艦を代わりに務めてあげてもいいんだが?
北風:
あははは…またそんなことを言って……
おかげさまで決心が付きました。この「演目」、あなたの言う通りにしましょ?
あ、でも総旗艦は譲ってあげませんよ?
リットリオ:
それはそうだな。貴方が決めていればそれでいい
ヴェネトが総旗艦を務めていれば、私も安心して戦いに集中できる。なに、軍議室で輝くか、戦場で輝くか、それだけの違いだ
北風:
ふふふ
リットリオ:
さあ、作戦が決まったら、最後に少し休憩でもしない?
少しお付き合いしていただいてもいいかな?――美しいシニョリーナよ
北風:
ええ、喜んで~
翌日・サディア作戦開始前
ザラ:
ロイヤルの貴族の喋り方って特徴的なのかしら……
ヨーク:
ふん、力(†フォース†)への理解を持たない者よ、此度の聖戦(†オペレーション†)で真の敵を共に倒しましょう!
ポーラ:
なんとなくは分かるけど、やっぱりちょっと変ね…ザラは大丈夫?
ザラ:
ええ大丈夫よ。多分ロイヤルにはこういうマナーもあるのかもしれないわ。ここは田舎者と笑われないようにわかったふりをしてなさい
ポーラ:
う、うん…
カラビニエーレ:
え、ええと、サディアで把握しているセイレーンの出現海域情報によると、次の予想地点は東南100海里でありますが…
ヨーク:
カラビニエーレはすなわちドラグーンの系譜(†ルーツ†)、その竜の魔眼(†ドラゴンセンス†)を大いに信頼していますよ!
カラビニエーレ:
わかりました!索敵はお任せください!
ヨーク:
おおお!私の力(†フォース†)を感じ取れる仲間とは…!!
ポーラ:
カラビニエーレ、あの子の言うことがわかるの?
ザラ:
………………
さ、さあ?
もうスルーしたほうがいいわね…
夜――
ヨーク:
くっ…!これは!?
ザラ:
ふふ。あなた、たしかヨークと言うのよね
悪いけど、我がサディアのために倒れてもらえないかしら…!
次々と現れるサディアの量産型艦船がロイヤル艦隊を包囲した。
ポーラ:
ごめんね。任務だから仕方ないわ♪
ヨーク:
………
わざわざロイヤル艦隊をここまで誘導してきたのか!
ザラ:
そうよ。ちなみに他の艦隊も足止めさせてもらってるわ。…もっとも、最初から連絡はさせないつもりだけど?
さあ、大人しく投降しなさい
ヨーク:
ふふふ、なら聖戦(†オペレーション†)の真の姿を見せるまで!
陛下より預かった、私の第二兵装(†セコンダリーウェポン†)――
ザラ:
……は?
ヨーク:
聞いて驚くがいい!あなたたちの陰謀(†コンスピラシー†)など陛下はとっくにお見通しです!
「サディアが地中海の覇権を狙い、ロイヤルとの共同作戦を覆す場合」……
この魔導重巡洋艦・ヨークの力(†フォース†)で、仲間たちに状況を知らせること――とね!
名付けて「魔砲・ベツレヘム」!撃てーーーー!!
弾が夜空に爆裂し、赤い光が海を数十海里に渡って、まるで白昼のように明るく照らした。
ザラ:
なんだって…!?予め信号弾を装填していたというの!?
ヨーク:
さあ、
イラストリアス様、ウォースパイト様、作戦開始です!
イラストリアス:
……はくしょん!
ウォースパイト:
赤い信号弾…できればこの状況は避けたかったわ
イラストリアス:
ウォースパイト様、時間がありません、どうかご指示を
ウォースパイト:
うむ、作戦どおりに行くわよ。イラストリアス、艦載機の発艦準備を
ザラ:
計られたわね…カラビニエーレ、主力艦隊に早く知らせを!
ヨーク:
ふふん、今度はこっちが拒馬(†バリケード†)になる番よ!
悪いけど、足止めさせてもらうわよッ!
ロイヤル艦隊作戦前
ウォースパイト:
イラストリアス、あなたも来てくれたか!
イラストリアス:
ウォースパイト様、ごきげんよう。陛下の命令を預かり参上いたしました
ウォースパイト:
うむ、さっき教えた通り、今ロイヤルとサディア艦隊でセイレーン拠点の捜索を準備しているが…
イラストリアス:
そしてサディアの参加には裏がある、と仰りたいのですね?
ウォースパイト:
そうよ。向こうが提案した作戦はどうも怪しいところがあるわ
「セイレーンの活動習性の関係上、拠点の捜索はできれば夜中に行わせていただきたい」
マルタ島の哨戒は夜には機能しない。もしサディアにその狙いがあるとすれば…
イラストリアス:
ええ、実は出発前にその準備をしておきました
ウォースパイト:
ええ!?いや、まだそうであると決まったわけでは…
イラストリアス:
まあ、なんとなくそんな気がしましたから、陛下に策を伺ってまいりましたわ
ウォースパイト:
大した直感ね…
イラストリアス:
直感というのは時々すごく役に立ちますよ?ふふふ
ウォースパイト:
あなたねぇ……
イラストリアス:
…もしサディアがロイヤル艦隊に不利になる働きをした時の対応策と、そしてその次に行われる「作戦」を預かっております。あとはもう一つ…
ウォースパイト:
これは…照明弾?
イラストリアス:
ええ、どなたかに預けて、いざというときはみんなに知らせる子が必要ですわ
……
ヨークが二人の前を通りかかったその時――
イラストリアス:
ヨーク、これをお願いできるかしら?
ヨーク:
えっ。ええええ!?
ロイヤル艦隊、セイレーン捜索の出発直前
ヨーク:
えー緑は「セイレーン拠点破壊成功」、青は「増援求む」、赤は「サディア帝国と交戦中」ですね?
イラストリアス:
はい、主砲に予め装填するようお願いします
ヨーク:
了解です!ええと、名前は…んんん…あとで考えます。時間があまりないですから
イラストリアス:
ええ、そろそろサディア艦隊と合流する時間ですわ。女王陛下に栄光を
ヨーク:
女王陛下に栄光を!
ウォースパイト:
………………
もしヨークが本当に赤い信号弾を撃ったら、イラストリアス、あなたはどうする?
イラストリアス:
あまり考えたくはありませんけど…
その時は陛下の言う通り、「再現」するしかありませんわ
リットリオ:
カブール!
コンテ・ディ・カブール:
わわ!?
リットリオ:
ロイヤル…よくもやってくれた……!
夜のタラント港は炎の海と化していた。
リットリオ:
まさか、こっちの戦力が分散している隙を逆手に取って奇襲…
奇襲に加え、夜間の視界不良でサディアの対空砲火は艦載機の攻勢に対応できずにいる。
リットリオ:
艦載機による夜間奇襲爆撃、とは――!!
火炎と黒煙がその場にいる全ての人々をむせさせた。
北風:
こっちの計画が完全にバレてましたね…
リットリオ:
こっちが夜に乗じて移動してきたのをロイヤルは一体どうやって察知した…
それと艦載機の夜間空襲による奇襲なんて聞いたことがない
北風:
リットリオ、艦を引き上げたほうがいいですよ。作戦は失敗しましたわ
リットリオ:
いいや、まだだヴェネト。敵空母を倒せば、朝までにマルタ島を占領できる。そうすればロイヤルも簡単に手出しできなくなるはずだ
戦艦隊、湾内に一旦退避せよ!敵空母を見つけ次第攻撃を仕掛ける!
イラストリアス:
ロイヤルネイビー所属、イラストリアス級装甲空母、イラストリアスと申します
リットリオ:
ロイヤルネイビー、どうやってこっちの戦艦がタラントに移動したことに気づいたんだ?
イラストリアス:
簡単なことですわ。……私たちがサディアでしたら、同じことをするだけですから
リットリオ:
よく言う。では港を襲った艦載機も貴方の仕業と思っていいかな?
イラストリアス:
ええ、ソードフィッシュ隊は全部このイラストリアスから発艦したものです
リットリオ:
全く、大したやつだ。貴方がサディア帝国にいたらぜひダンスの誘いをしたいものだが…
今はサディア艦隊の一員として、貴方を倒させてもらうッ!
サディア帝国所属、ヴィットリオ・ヴェネト級戦艦リットリオ――行くぞ!
イラストリアス:
(格納庫にダメージ…この方、こと攻撃においては陛下にも勝っていますね…)
リットリオ:
(至近弾を受けても大破で済むとは…これが装甲空母というのか…)
イラストリアス、投降するがいい。サディアの前に立ちはだかったとはいえ、貴方はここで倒れる運命では――
またソードフィッシュ…!だがこの程度――
プリエーゼを装備したこのリットリオを沈めることはできないッ!
イラストリアス:
そんな…雷撃では効果が…
リットリオ:
戦艦による砲撃か!?
ウォースパイト:
イラストリアス、下がりなさい!サディアの戦艦が来る!
リットリオ:
くっ…逃がすものか!
ーーーーーー!!
リットリオ:
舵輪が損傷した…だと?
プリエーゼで魚雷攻撃のダメージを軽減したものの、傾斜による動力への影響は免れなかった。
リットリオ:
…………
ウォースパイトの砲撃が命中こそしていなかったものの、リットリオをしばらく戦闘不能にするのには十分だった。
リットリオ:
イラストリアス、ロイヤルの輝きとは彼女のことか?
まさかこの世界にこのリットリオよりも輝かしい艦船がいるとは!
美しいシニョリーナよ、いつかまた会おう。はははは!
そんな損傷したリットリオを背に、ロイヤル艦隊は戦闘海域から離脱しつつあった。
イラストリアス:
あれが…サディア帝国の戦艦リットリオ……
ウォースパイト:
どうやら手強い相手だったようね。イラストリアス、大丈夫?
イラストリアス:
ええ、なんとか。いつかまた、あの方とは出逢えるような気がします……
「詩人は昏き森に迷い込み、3つの獣に行路を阻まれた」
「一匹は狡猾なるヒョウ」
「――斑目模様の肌に鋭い爪、牙、獲物を絶対に見逃さない野生の申し子」
「一匹は気高き獅子」
「――優雅に、そしてときに獰猛に振る舞う、自然を統べるノブリージュ」
「一匹は狼」
「――猛獣たちの影に隠れ、己の本性を抑え込み、狩りの機会を伺う隠忍の性(さが)」
「獣に弄ばれる哀れな人、貴方はこの欲深い獣たちから生き残れるかしら?」
「それとも通りかかったお節介さんに助けられ、天国へと到れるのかしら?」
「ふふふ、物語の結末――楽しみだわ」
ロイヤル本島
イラストリアス:
ヴィクトリアス、フォーミダブル、お茶をお持ちしましたわ
ヴィクトリアス:
はあああ……なんだかお日様がポカポカ過ぎて、思わず眠くなっちゃったわ…
フォーミダブル:
ヴィクトリアス姉さんはいつもそうですわ。御機嫌よう、イラストリアス姉さん
ヴィクトリアス:
フォーミダブル、今のは余計だわ!
イラストリアス:
まあまあ、はい、今日の紅茶は私が淹れましたわ。ふふ、この三人が揃うのは久しぶりですわね
ヴィクトリアス、艤装の慣熟訓練のほうは大丈夫?
ヴィクトリアス:
んーちょっとしたトラブルがあってね?うまく使いこなすにはまだちょっとかかるかな~
イラストリアス:
フォーミダブルのほうは確か…もう訓練が完了したのかしら?
ヴィクトリアス:
はいはい、ヴィクトリアス、がんばりますわー姉さんと陛下のためにー…
イラストリアス:
うふふ、実は今日、大事なお話がありますわ
フォーミダブル:
ケッコン話!?
イラストリアス:
フォーミダブル、違いますよ!
イラストリアスはちょっと取り乱した。
フォーミダブル:
えー…………
イラストリアス:
もう、そういう冗談をしないでちょうだい?ふぅ……
ええと、実はちょっと真面目な話ですが……
――地中海に、行ってきてくださらないかしら?
サディア帝都「チッタ エテールナ」
北風:
………
………………………………………………
あ、あのぉ…そろそろ止まってもいいと思いますが…
サディアの総旗艦、ヴィットリオ・ヴェネトは会議室を歩き回っているリットリオに手を焼いている。
リットリオ:
ふむ…ふむふむ……
そろそろ決断の時だ
北風:
確かに…ロイヤルネイビーの地中海への進出が最近多くなってきていますね……
リットリオ:
競泳水着とビギニ、どっちのほうがいいかな?
北風:
んー最近はビギニのほうが流行っていますね…
………え?
リットリオ:
そうか。あのイラストリアス級の三人が同時に地中海を回航しているのだ。これは気合を入れて立ち向かわないとね
北風:
あのぉ…リットリオ?今何の話をしているのでしょうか…?
リットリオ:
ヴェネトこそ、「ロイヤル空母の対処法」について議論すると言い出したのはそっちじゃない
北風:
ま、まあ……そうですが……
(リットリオ、どうしたの…あの一件のショックでおかしくなったのかしら…)
(みんな無事とはいえ、うん……色々困っちゃいますね……)
リットリオ:
そういえば、この間イラストリアスが送ってきた電文は確か…
【陛下は『カラブリアの宝石』の輝きのもとに、過去を水に流すことをご所望です】
【追伸:妹もお連れいたします】
北風:
ええと、つまり?
リットリオ:
ああ、せっかくの機会を、利用しない手はない
――イラストリアスたちが来るこの機を生かしてまずはその技術を盗むのよ
夜間発着に加え、普通の空母らしからぬあの重装甲…
これらの技術を手に入れ、帝国海軍に応用し、それを我が物にすれば、
サディアの栄光を再現するなど容易いものに違いない!
北風:
確かに、一理ありますね……
鉄血とロイヤルの戦況の推移を見ている帝国元老院は方針が中々決まらないですし、
人間の権力争いがこうして繰り広げられている間に、サディア艦隊も「現状維持」のまま。これでは……
リットリオ:
その通り。鉄血の動きがこの前の一件以来より活発的になってきている
例のセイレーンも前進拠点が見つかっていない以上、数が少しずつ増えている傾向だ
北風:
リットリオ、私にはいいアイデアがあります
ロイヤルがこうして連絡してくるのは、私たちにとってもいいきっかけかもしれません
私たちにとって味方とは誰か、敵とは誰か、「演目」として最後まで演じきれるのは誰か
ロイヤルの方々にそれを見定めるのを付き合っていただきましょう
ふふ、貴方のいう「一芝居」で――どうでしょう?
リットリオ:
ふん、私は最初からそう考えていたわよ
では、「総旗艦殿」ならぬ美しいシニョリーナよ
北風:
ええと、なんですか?
リットリオ:
今度は貴方の水着を選ぶ番よ?
北風:
きゃっ!?もう、リットリオ――!
フォーミダブル:
……サディアの歓迎にしては荒々しすぎるのではなくて?
カラビニエーレ:
ヴェネト様の命により、ロイヤルのレディたちにサディアの海を思う存分楽しんでいただきます!
フォーミダブル:
(陛下の言ってた「カラブリアの宝石」とはなんなのかしら…)
って、ちょっと!せっかくの新しい服を汚さないでくださいまし!
カラビニエーレ:
ではロイヤルレディの方々、ご無礼をお許しを!
フォーミダブル:
あっちこっち動いてうっと…じゃなくて、気分が下がりますわ!
カラビニエーレは得意の速力を活かし、フォーミダブルとの間合いを縮め艦載機の攻撃から逃れ続けた。
カラビニエーレ:
こう見えても自分の追跡術は縁あるサディア竜騎兵隊仕込みであります!
それに高速で接近し、魚雷による一撃離脱こそ駆逐艦の正しい戦い方ではありませんか!
フォーミダブルさん、重たい空母である貴方から簡単には引き離れませんよ!
フォーミダブル:
……なんですって?
とある単語を耳にしたフォーミダブルは激怒した。
フォーミダブル:
あなた、今の言葉、もう一回言ってみなさい
誰 が 「 重 た い 」 で す っ て ?
フォーミダブルの豹変にカラビニエーレは思わずきょとんとした。
カラビニエーレ:
ふぉ、フォーミダブルさん!?
フォーミダブル:
――じっとしてなさい!
力強い声の一喝がサディアの駆逐艦に直撃した。
カラビニエーレ:
ひゃぅ!?
艤装の故障か、単に気圧されたのか、それともロイヤルレディの迫力(?)によるものか、とにかくカラビニエーレは動きを一瞬止めた。
フォーミダブル:
ねえ?重たいのは一体誰のことかしら?
もう一回言ってみなさい?重たいのは誰のこと?!
カラビニエーレ:
ち、違います!自分はそういう意味じゃ……
フォーミダブル:
私の戦果になりなさい!バラクーダ隊、お仕置きよ!
カラビニエーレ:
わあああああ!!
ウォースパイト:
う、うわぁ……
同行しているウォースパイトはカラビニエーレがコミカルに吹き飛ばされたのを見た。
ウォースパイト:
フォーミダブル、流石にやりすぎかしら……
フォーミダブル:
あ、ウォースパイト様、御機嫌よう
フォーミダブルはいつものようにロイヤルレディらしく、優雅に一礼した。
フォーミダブル:
ふふふ、攻撃してくるサディアの前衛艦隊は片付けました
イラストリアス姉さんの言いつけ通り、吹き飛ばしただけで傷つけたりはいたしませんわ
ウォースパイト:
……よ、よく頑張ったわ。早く次に――「カラブリアの宝石」とやらを探しに行きましょ?
「それは太陽も沈黙する荒涼なる闇、祈りも届かない絶望の窪み」
「偽りの神を奉じる時代に生まれし者、詩人を導く叡智の師にして案内人」
「貴方に救い出されし者は高みヘと望む者なり」
「貴方の旅は九つの圏から至る最奥を渡り」
「貴方の旅は七つの冠から登る楽園ヘ向かう」
「焔の海で身を焼かれようと、その歩みは止まることを知らず」
「受難の物語は終わり、希望への道筋が開かれる」
「ふふ、しかし……」
「それを享受できるものは限られた存在だと……」
「貴方は知っているのだろうか…?」
ザラ:
ポーラ、大丈夫?
ポーラ:
大丈夫よ。ちょっと腫れちゃっただけ
重巡最高クラスの装甲を持つザラ級は簡単には負けないわよ!
ザラ:
「Tenacemente」&「ardisco ad ogni impresa」――私たちの根性と勇気を見く びらないことね
フォーミダブル:
サディアの子、イラストリアス姉さんが言ってた通り粘り強い子が多いですわね
ウォースパイト:
ここは私に任せなさい。陛下の命令は第一よ、そちらに集中して
フォーミダブル:
かしこまりました。「本日0時に指定海域に到着し、『カラブリアの宝石』を探索しなさい」ってね
ウォースパイト:
その通り。オリオンと一緒に貴方達の「演目」を果たしなさい
フォーミダブル:
ではウォースパイト様、ご武運を。そして女王陛下に栄光を
ザラ:
簡単には行かせないわよ?
ウォースパイトの妨害でザラの攻撃が射線から大きく外れた。
ウォースパイト:
このオールド・レディを無視するとはいい度胸ね
ザラ:
さすがはウォースパイト、ロイヤル随一の勇士が相手とは光栄だわ。しかしいいのかしら?仲間を行かせちゃって
ウォースパイト:
ふふ、あの子とは一緒にいないほうが戦いやすいわ
ザラ:
なんですって…?
(イラストリアスに妹の面倒を見てほしいと言われたけど、さっきの戦いを見た限り、彼女と護衛艦だけでも十分戦えるわ)
(……というより、戦いでさっきのようにキレられたら色々とダメージを受けてしまうのよ……主に精神的な意味で……)
(うん。これでいいわ。あとで合流しましょう)
ウォースパイト:
なんでもないわ。さあ、お互いの艦砲で勝負するわよ!Belli dura despicio!
ザラ:
もうチートだと言われてもしょうがないわね…あの砲撃は…
ロイヤルの最高の騎士のひとり、ウォースパイトが戦いに勝利した。
ポーラ:
夜なのに、なんであんなに正確に撃てるのよ!
ザラ:
くっ…旧式の戦艦と侮ったツケね…!
ウォースパイト:
ふふ、このウォースパイト、戦いで学んだことを一つ教えてあげるわ
それは、艦船の性能の違いが、戦力の決定的差ではないということよ
己のカンレキにこだわるのではなく、戦士としての初心のまま困難に挑み、そして絶えず切磋琢磨し続ける――
それこそがロイヤルの強さよ。ふん、そちらさえ良ければ、このウォースパイト、少し指導してあげても――
…………
…………行ったわね
ウォースパイトの話が終わるのを待つまでもなく、ザラ姉妹は戦闘海域からほぼ離脱した。
ザラ:
悪いけど、先に失礼させてもらうわ。ポーラ、通信を
ザラはフォーミダブルの進んだ方向を指で一回指し示し、妹のポーラに命令を飛ばした
ウォースパイト:
あなたたち…まさか!?
ザラ:
みんなに連絡して、空母と護衛艦隊が防衛線を突破して、例の…「カラブリアの宝石」に前進中よ
ウォースパイトをもう十分足止めしたわよね?今からそちらに合流するわ
サディアの意地を見せるわよ
ポーラ:
ふふふ、ヴェネトに打電、よし
ウォースパイト:
ちっ、逃げられた……やっぱり速力を長時間上げると機関に響くわね……
ザラたちとの戦闘で機関を酷使したせいか、ウォースパイトは低速力でゆっくりと二人の消えた方向への舵をとった。
ウォースパイト:
戦いが終わったら、陛下に大改装でも申請したほうがよさそうね…
「墜落か、上昇か」
「その悩みは純潔、その躊躇いは純真、その選択は純白な神聖」
「獣に追われ、森に沈んでゆく者」
「獣を追い払い、頂上へと登り続ける者」
「あなたにコキュートスの永遠の安寧あり」
「あなたにエンピリオの永遠の栄光あり」
「心満たされし彷徨を選び、十天への道筋を断とう」
「心満たされし漂白を選び、人の世の黄金を捨てよう」
「差し伸べられた手を握りしめるのは、貴方」
「さあ、物語の結末を聞かせて頂戴?」
北風:
確かに、来ていませんよね?
リットリオ:
ああ、ロイヤルネイビーと接触したときから鉄血には支援を要請したが、一向に現れなかった
夜での戦闘は不確定要素が多いというのが応じない理由らしいが、まあただの言い訳よ
北風:
ええ…………
ヴィシアと同じ、私たちは四大陣営から見て取るに足らない存在
レッドアクシズに誘われたときにはあんなに希望を持てたというのに…
これはまた「再現」のために見捨てられた、と考えたほうがいいですね
リットリオ:
そろそろ終幕の時間ね。ヴェネト
北風:
ええ、この「再現」の「演目」はそろそろ終わり。私たちにできるのは、悲劇か喜劇を選ぶことしかありませんから――
フォーミダブル:
「カラブリアの宝石」――この美しい海そのもの、ですわね
月の光に照らされた海はまるで青い宝石のように輝いていた。
遠く見える文明の灯火、彼方に映し出される遺跡の蜃気楼、静かに佇む少女たちは幻想的な景色を醸し出していた。
リットリオ:
そうよ。この青き海こそが私たちサディアの一番大切なもの、守るべきもの
文明を育み、人々を養い、数々の伝説を生み出した、母なる海
そして、貴方と私の輝かしい姿にふさわしい宝そのものよ。美しいシニョリーナ
北風:
(んー最後のは最高に余計でしたね)
フォーミダブル:
あなた方がここに現れた理由を教えてくださるかしら?
ヴィットリオ・ヴェネト:
私たちは賭けようとしていますわ。鉄血の動きを、そしてあなた方の力を
レッドアクシズの盟友である私たちは、彼女たちにとって果たしてどんな存在なのか
この戦いが「再現」になるのか、それとも新しい未来の1ページになるのか
……まあ、正直に言えばサディアの威光を広げるという目的もありますが
こうしてみんなが集まることで、この「演目」の全ての目的が達成されますわ
全ては、この青き海を守るため
フォーミダブル:
それでしたら、なぜ陛下に直接交渉しないですか?
ヴィットリオ・ヴェネト:
鉄血は私たち……いいえ、もしかしたらあなた方が知っていた頃よりずっと強くなりました
だから知りたいんです。ロイヤルの力は本当に信用できますかと
ウォースパイト:
「お互い」の「立場」……ねえ
定められし戦い、悲歎せし焔海の物語、鋼の少女たちに「再現」された数々の「演目」のなりそこないかもしれない。だが――
ウォースパイト:
そのために、マルタ島を奪おうとし、そしてここまで来る途中に襲ってきたわけね…
では問おう。ここでロイヤルネイビーが己の力を証明し貴方達を打ち破ったら、アズールレーンへの復帰を検討する、ということで良いかしら?
ヴィットリオ・ヴェネト:
ええ。帝国の総旗艦として約束しますわ
ウォースパイト:
――バーラム、ヴァリアント、そしてロイヤルネイビー全艦、陛下の威光を示すわ!
フォーミダブル、空中支援は任せたわよ
フォーミダブル:
ええ。おまかせくださいませ
リットリオ:
イラストリアスは来てないのか?
フォーミダブル:
お姉さんはセイレーン退治に行ってるわ。そちらのトレントたちと合流するところでしてよ
リットリオ:
あら、それは残念ね。私の水着姿であのイラストリアスをも凌ぐ輝きを見せたかったのに
ヴィットリオ・ヴェネト:
こ、コホン!
ザラ、ポーラ、そしてサディア艦隊の各員、全力で戦い、帝国の威光を示せ!
Lunga vita all'Impero!
ロイヤル本島
イラストリアス:
結局戦いましたのね……どっちが勝ちましたの?
フォーミダブル:
もちろんロイヤルでしてよ?夜戦はイラストリアス姉さんと同じく得意ですわ
フォーミダブルは紅茶を優雅に飲みながら、自慢気に二人の姉に報告していた
フォーミダブル:
サディアの戦艦は防御が得意ですけど、火器管制レーダーを装備していませんでしたわ
私の艦載機とウォースパイト様の砲撃でボコボコにしましたよ?
イラストリアス:
まあ、さすがですわ~
3人の平和な時が続く。
ヴィクトリアス:
私も敵をボコボコにしたいわね~勝利の女神みたいに美しく勝つ!なんて~
イラストリアス:
あ、そういえば今度ユニコーンちゃんを紹介しますね
フォーミダブル?あの子ともちゃんと仲良くなってね?
ヴィクトリアス:
そうね~フォーミダブル、衣装作らせてくれないし~
…………
フォーミダブル:
あ、そうだ、リットリオさんからイラストリアス姉さんへの伝言を預かりましたわ
イラストリアス:
あら、どんな伝言?
フォーミダブル:
ええと、確か…「サディアの情勢が落ち着いたらまた会いましょう」?
イラストリアス:
陣営一つの意思をまとめるのは大変ですわね……
ヴィクトリアス:
ん?どういうこと?
クイーン・エリザベス:
こっちのセリフよ!あんたたち、私に隠れてお茶会してるなんてどういうこと!?
小さな女王陛下は従者を連れて登場した。
ベルファスト:
イラストリアス様、ヴィクトリアス様、フォーミダブル様、ご機嫌麗しゅうございます
みんな:
陛下、ご機嫌麗しゅうございます。ベルファストもお疲れ様
イラストリアス:
陛下、申し訳ございません。サディアのお菓子でもいかがでしょうか?ベルファスト、席を用意してくださいませんか?
もしよろしければ、私たちのお土産話でも聞いてくださいませ~
シャルンホルスト:
ふふ、サディア帝国の戦艦、いい戦いができそうだと思っていたらとんだ見かけ倒しだ!
現存艦隊主義を掲げ、地中海最強の艦隊だと誇っていながらロイヤルにあんなに弄ばれたとは
地中海を任せたのはどうやら間違いのようだな
グナイゼナウ:
夜間の空母運用、新型レーダーによる夜間砲撃の精度向上、ロイヤルの勝利は計算上容易に予測できたでしょう
観測した情報は開発部署に回したし、新兵器の開発に役立ってくれるはずよ
シャルンホルスト:
はあ……結局その程度の成果でしかないってことか
グナイゼナウ:
ビスマルク、ようやく重い腰を上げてくれたようね
彼女が復帰してくれたら、こちらの勝率も更に上昇するわ
シャルンホルスト:
我が鉄血を裏切る者は、いずれ鉄と血の裁きを受ける――
グナイゼナウ。サディアの監視を頼んでもいい?
グナイゼナウ:
ええ。姉さんこそ、北海の哨戒を
シャルンホルスト:
何かあったらすぐみんなに報告して?放っておけば寝返りそうな気がする
グナイゼナウ:
もちろん。元々は私の仕事なので
オブザーバー:
物語の結末は――悲劇でも喜劇でもないわ
詩人の師は永遠に彷徨い続け、処女の聖霊は聖歌を永遠に続ける
…………あら?
テスター:
また旧世界の本を読んでいるの?
オブザーバー:
余剰リソースをサブタスクに回しただけだわ。別に物珍しい物語でもないけど
テスター:
サディアに伝わる物語、ねえ
3つの獣、焔海の受難、そして天国への道筋、それぞれどういうことか…
人間なら今回の事件とその組み合わせに思いを馳せるわね
オブザーバー:
サディアは選択したわ。自らの運命を
定められた苦難を乗り越え、自らの手で掴み取った未来の1ページ
敵とぶつかるのではなく、システムの回り道を見出した
見事な演目よ。ヴェネト、そしてサディアのみんな
それがあなた方の選んだ進化なら、観察し続けてやるわ
例えそれが、演算された未来だとしても――