碧蓝回忆录日服文字版/照らす螺旋の鏡海
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2021-08-16更新
最新编辑:芙兰朵露琪露诺
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照らす螺旋の鏡海
北方連合との共同作戦、そして海底にあるセイレーン遺跡の調査の後、ユニオン艦船と合流し次の動きに向けて備えていった。
大洋の調査、セイレーンへの反撃作戦、ロイヤルとの状況の確認と折衝、仕事に忙殺された日々。
そんな中、上層部から1つの情報が自分のところに舞い込んできた。
重桜艦隊の接近と同時に発生した「再現」、そしてユニオン離島基地「AF基地」周辺海域でのセイレーン活動の活発化。
その対処のため、艦船たちを率いて現地に向かうことにした――
ヘレナ:
PH基地周辺空域に異常なし。指揮官、もうすぐで到着するわ
アーチャーフィッシュ:
同じく潜水艦・水上艦の痕跡なしよ~
んんん~長く哨戒し続けると疲れるわー早く美味しいご飯食べてベッドでゴロゴロしたいー
ヘレナ:
NA海域から運河を通ってからほぼ休みなしだったわね
事態は一刻を争う、ということらしいのでみんなを急がせたが、どうやら深刻な状況にはなっていないようだ
アーチャーフィッシュ:
そういうことだよ指揮官、みんな結構頑張ったから…
何かしらのご褒美をくれてもいいんじゃないの~?
肩を叩いたりとかしてごまかすようなものじゃなくて、もっと本格的なご・ほ・う・び、してほしいわね~♡
选择项1:豪華ディナーを約束する
选择项2:アーチャーフィッシュへのご褒美を考える
(选择项1)マジ!?豪華ディナー!?しかも指揮官持ちで?
(选择项1)潜水艦が先行して偵察してくれている分、彼女をねぎらってやりたい気持ちは――
アーチャーフィッシュ:
(选择项1)ヘレナ、今の聞いた?指揮官はあたしたちに豪華ディナーを奢るって!
ヘレナ:
(选择项1)わ、私たち??
アーチャーフィッシュ:
(选择项1)そうそう!遠慮せずみんなも呼ぼうよ!せっかく指揮官が奢ってくれるって言うしさ!
(选择项1)…………なぜだろう。図られた気がした。
アーチャーフィッシュ:
(选择项1)何を考えてんの?あたしだけ奢ってもらっても、ほかのみんなが羨ましがっちゃうでしょ?
(选择项1)そもそも、ここまでついて来たのはあたしだけじゃなくて、みんなも一緒なんだから
(选择项1)気配り上手でイケてる指揮官がまさかあたしだけ特別扱いするわけないよねー?
(选择项1)(小声)ふふふ、今のはみんなも聞こえてるから、後悔してもダメなんだからね
(选择项1)潜水艦アーチャーフィッシュ――彼女は紛れもなくアルバコアの姉妹艦だと思い知らされてしまった。
アーチャーフィッシュ:
(选择项1)ははは!ということでよろしく♪
(选择项2)おっ、本気でご褒美くれるの?助かるー!
(选择项2)まあそれはそうね、あたしここまで結構頑張ったし?
(选择项2)それにイケてる指揮官がご褒美くれるというのなら最後までもっともっと頑張れる気がする!
(选择项2)んー、どういうご褒美がいいかなー?
(选择项2)やっぱ美味しいご飯連れてもらって栄養補給したいからその方向で?
(选择项2)今度ディナーにでも連れて行くか。
アーチャーフィッシュ:
(选择项2)マジ!?豪華ディナー!?しかも指揮官持ちで?
(选择项2)潜水艦が先行して偵察してくれている分、彼女をねぎらってやりたい気持ちは――
アーチャーフィッシュ:
(选择项2)ヘレナ、今の聞いた?指揮官はあたしたちに豪華ディナーを奢るって!
ヘレナ:
(选择项2)わ、私たち??
アーチャーフィッシュ:
(选择项2)そうそう!遠慮せずみんなも呼ぼうよ!せっかく指揮官が奢ってくれるって言うしさ!
(选择项2)…………なぜか図られた気がした。
アーチャーフィッシュ:
(选择项2)(小声)ふふふ、今のはみんなも聞こえてるから、後悔してもダメなんだからね
(选择项2)潜水艦アーチャーフィッシュ――彼女は紛れもなくアルバコアの姉妹艦だと思い知らされてしまった。
アーチャーフィッシュ:
(选择项2)ははは!ということでよろしく♪
思わぬ出費が発生することになった……
が、これで彼女たちが喜ぶならそれはそれでいい。
通信機:
「認証完了、指揮官と作戦任務艦隊」
「艦隊の進入航路は事前連絡通りでお願いします」
「ようこそPH基地へ」
人類の航路を脅かす敵、セイレーン
その行動原理には不明なところが多い
ときには量産艦を操り、輸送船団を直接攻撃してくる
ときには「駒」をけしかけ、艦船に戦いを挑んでくる
ときには「駒」と「駒」で戦闘を行わせ「戦場」を作り出す
セイレーンと艦船が入り乱れた隔絶された領域
人々はその海域を「鏡面海域」と呼ぶ――
PH基地・臨時指揮所
ユニオンの離島基地には自分の臨時執務室兼、陸上での臨時指揮所が設置されていた。
部屋に入った途端、調度品や家具が普段ユニオンで使用している執務室と同じ感じで置かれていることに気づいた。
自分を迎え入れる艦船は、さぞ自分のことをよく知っているようだ――
ニュージャージー:
ふふん、好きなんでしょ?こういうの
あたしなりにちょっと調べておいたけど、まあ再現できるのはこの程度までかな?
あっ、あたしはニュージャージー、アイオワ級戦艦よ。
どうやらこの執務室は彼女の手によるものらしい。
ニュージャージー:
それとも「ユニオン最大最強のブラックドラゴン様!」のほうが覚えやすいかな?ははは♪
…コホン。というわけで戦艦ニュージャージー、これより指揮官の指揮下に入るわ。どうぞよろしく
白い軍服のような衣装を羽織っている少女がこちらに向けてユニオンの軍隊式で敬礼した。
ニュージャージー:
というわけで指揮官、最初の指示はなに?
选择项1:基地の状況を教えてほしい
选择项2:いきなり言われても……
(选择项1)そうだったっ、それを先に説明しなきゃね
(选择项1)先日の「再現」とセイレーン活動活発化により、サラトガの指揮のもとで一度出撃したわ
(选择项1)そこでヨークタウンが大破したため急いで後方に送られ、自分が上層部に派遣されたというわけだ。
ニュージャージー:
逆に聞くけど、この私を出撃させたい?前にサラトガが「再現」に挑んでいたときに出撃できなかったのは残念だったわ
まあ、この私が出なければならないって状況になりそうだから指揮官がここに派遣されてきたんでしょ?
確かに、アイオワ級である彼女が出撃しなければならないような状況は相当大変な場合だろう。
ニュージャージー:
先日の戦いもかなり厳しかったし、指揮官が来てくれればもう安心!ってね
自分がやってきたせいでセイレーンの攻撃が厳しくなった、となるのだけは勘弁してほしいが。
ニュージャージー:
セイレーンの動きを予測するのはナンセンスって言うじゃない?
もしかしたら、今までのは全部指揮官を誘い出すための罠!ってこともあるかもしれないね
それだと余計にまずいのでは…?
ニュージャージー:
はい、冗談はここまでにして…指揮官から特に指示がなければ、このまま哨戒艦隊を連れて基地周辺の海域を見回ってくるわ
それじゃあ、また後で!…ってまだ何か聞きたいことでもある?
なぜ彼女がこの執務室にいたのか聞きたかった。
ニュージャージー:
ん?普通に状況を説明するためだけど?
そしてもう一つ説明してほしいのは――
なぜ彼女は急に自分の机の下に潜ろうとしているのか…?
ニュージャージー:
探しもの?
執務室で探しもの…?
ニュージャージー:
んっしょ…AF基地の説明資料がさっき落ちてて…
それなら自分にも手伝わせたほうが…
ニュージャージー:
(小声)ついでに映画のディスクも一緒に……んっしょ…
映画のディスク……?
いや、やっぱり深く考えないほうが良さそうだ。
ニュージャージー:
ごめん、ちょっと好みがバレちゃうから探させて…
トントン
タイコンデロガ:
あら、指揮官。もうニュージャージーには会えた?あの子どこに行ったのかしら…
ニュージャージー:
ここにいるわよ!タイコ、いいタイミングで来た!ちょっと手伝って――
執務机から顔を出したニュージャージーは新たにやってきた艦船に助けを求めた。
タイコンデロガ:
はいはい、分かったわ。申し遅れましたけど…私はエセックス級のタイコンデロガ、よろしくね、指揮官
あーちょっとこの机を動かさないといけなそうだし、ここは私達に任せてもらえないかしら?
仕方ない。ここは一旦外で待機するか
ニュージャージー:
ふふふ、助かるわ
PH基地・執務室 数時間後
サンフランシスコ:
おっ、プリンちゃんの執務室なかなかサマになってんじゃん
哨戒任務に出かけたニュージャージーとタイコンデロガたちを見送って、今は執務室で資料の整理に勤しんでいる。
そして目の前のソファに我が物顔でいるのは――
サンフランシスコ:
あ、この資料はもしかしてタイコンデロガが用意したやつ?
―彼女が手にしている資料はこちらがさっき整理したものだ。
サンフランシスコ:
そんなことがわかるのかって?そりゃ付き合いが長いし筆跡とかで分かるってば
そう言われてみれば、確かにみんなの資料には何かしらのクセがついている気がしなくもない。
サンフランシスコ:
筆跡なんてまだまだ基本中の基本だよ。本気で調べれば書いてある順番とかページの折り方とかで色々ヒントが分かるって
すごい技術だが、そこまでやる必要は果たしてあるのか…?
サンフランシスコ:
ははは、鈍いな~全く鈍いんだぜプリンちゃ~ん♪
ちなみに「プリンちゃん」とは自分のことを指している…らしい。
サンフランシスコ:
女の子ってのはそういう気配りにめっちゃ弱いよ?それができればさぁプリンちゃんも人気者待ったなしだって!
………………
サンフランシスコ:
なんて今のはウソだよ~ははは、マジで信じちゃった?っていうかこれ手書きの資料じゃないし!
24時間人生を楽しむ、ちょっといたずらっぽい性格の少女――サンフランシスコとはそういう艦船だ。
サンフランシスコ:
んで、確か上層部の資料だと今回はレッドアクシズが絡んでる作戦だっけ?
レッドアクシズ――名目上、アズールレーンとは敵対関係にある組織。
艦船側の思惑が何であれ、それでも上層部の政治的な話が絡むと話がややこしくなってくる。
サンフランシスコ:
前回の「再現」で重桜があの海域に現れたから?それとも……~
ヘレナ:
指揮官、NYシティからの連絡だわ
……NYシティから?
サラトガ:
指揮官の様子が心配なサラトガちゃんだよ!今そっちはどんな感じ?
通信機からアイドル艦船・空母サラトガの元気な声が響く。
サラトガ:
実は指揮官にちょっと相談があって……
ええと、そちらの基地からちょっと距離があるけど、重桜の大規模艦隊が集結しているって情報があったらしいわ
誰が率いているのか、どこに向かっているか全然わからないけど
ちょっとこのタイミングではまずそうね。上層部は結構ピリピリしているし
サンフランシスコ:
うわっ、レッドアクシズの話をするんじゃなかった……
あっ、でも一応今回の作戦はセイレーンの警戒って名目だけど?
サラトガ:
そう!だから多分出会っても戦いは回避できると思うけど…
とにかく気をつけて!「再現」が絡んだらなにか変な状況になるかもしれないわ!
彼女らの警告を気に留めておこう。
サラトガ:
サラトガちゃんからのお話は以上!指揮官、がんばってね!
サンフランシスコ:
なーんかちょっと悪い予感がするわね…
自分も同感だ。ここは気を引き締めて――
サンフランシスコ:
よっしゃ今日は上がるわー!ワークライフバランス!
なんかあったらみんなに知らせてね!ファイトだプリンちゃん!じゃあね~
选择项1:サンフランシスコを引き止める
选择项2:サンフランシスコを見送る
(选择项1)言い忘れてたけど一応ここでの指揮官の健康管理云々はあたしが担当するから、あまりにも残業すると――
(选择项1)へへ、これで気絶させてでも寝かせるってな♪ははは!
(选择项2)言い忘れてたけど一応ここでの指揮官の健康管理云々はあたしが担当するから、あまり残業しすぎないようにね♪
翌日
AF基地との連絡が途絶えた。
臨時指揮所…執務室に艦船たちが集まっている。
ヘレナ:
AF基地の連絡、まだ回復しないわ…!
サンフランシスコ:
飛ばした偵察機も――途中から連絡が途絶えたわね
連絡する間もなく落とされたか、鏡面海域に入ってしまったか
选择项1:状況の確認を急ぐように指示する
おうよ。みんな頑張っているしね
AF基地側からの連絡が完全に途絶えたってことは、少なくとも通信機器だけの問題じゃなさそうね
直近の連絡はいつだったのだろうか……?
ヘレナ:
発信時間が深夜のメッセージが一通あるわ
AF基地との距離を考えると、深夜に発信したメッセージはすぐ届いたはず
ヘレナ:
それが…実はこのメッセージは今受信したばかりで…内容は……
サンフランシスコ:
なにこれ……
アレン・M・サムナー:
―――重桜の―――来襲――緊急事態―――
―――救援を――損傷が―――このままでは――
ヘレナ:
復号できたのはこれぐらいが限界…ごめんなさい…
………………
アーチャーフィッシュ:
重桜艦隊に襲われたか、「重桜艦隊」になりすましたやつに襲われたかのどっちかね
AF基地に早く救援に行かないと!
サンフランシスコ:
昨日って確か、サラトガから重桜の大艦隊が集結しているって情報があったね
それでAF基地が急に襲われたってのは、いかにも「怪しい」んじゃない?
そもそも重桜艦隊が急にAF基地を襲う理由もない。
アーチャーフィッシュ:
襲ってきたのはセイレーンの「駒」ってこと?
サンフランシスコ:
分からない。「駒」だったら普通にアレンちゃんでも倒せるし、逃げようと思えば逃げられるしね
アーチャーフィッシュ:
………もしかして「余燼」?飛龍っぽいやつとかと遭遇した記録があるし
余燼でも、AF基地を襲う理由はない気がする。
いずれにしても味方の救援要請を無視するわけにはいかない。
また、偵察機の連絡も途絶えていることからセイレーンの関与の可能性も高まっている。
……艦隊を編成し、AF基地の救援に向かうことにした。
哨戒艦隊
ニュージャージー:
AF基地が襲撃を受けて連絡が途絶えた?
あたしが基地を留守している間に?それで指揮官の対応は?
タイコンデロガ:
ええ、もう救援艦隊を編成してAF基地に向かっているわ
ニュージャージー:
指揮官も一緒なの?
タイコンデロガ:
そのようね…
ニュージャージー:
よし、あたしの出番がついに来たわ
タイコンデロガ:
ニュージャージー?
ニュージャージー:
哨戒任務を切り上げて、あたしたちもAF基地に向かうわ
今の話を聞くと、セイレーンの仕業である可能性が高いでしょ?
だったらあたしたち大型艦も出撃しないといけないじゃない!
タイコンデロガ:
熱いわね~
ニュージャージー:
こういうの指揮官だって好きでしょ?
ユニオン最大最強のブラックドラゴンであるあたしが、敵が現れたというのに戦いに挑まないのはNGよ
タイコンデロガ、ほかの子に通信つなげて
みんなも今の話を聞いてたでしょ?これより指揮官の支援に向かうわ!
ボイシ:
はい…!ボイシ、了解…!
モリソン:
モリソンも、了解しました…!
ニュージャージー:
ニュージャージー艦隊、進路反転!AF基地に出航よ!
ニュージャージー艦隊 数時間後
ニュージャージー:
えええ!?
指揮官の連絡も途絶えた!?
タイコンデロガ:
ええ、どうやらAF基地に向かっている途中で連絡が途絶えたみたい
PH基地との連絡はもちろん、こちらからの通信も届かなくなっているわ
ニュージャージー:
攻撃を受けたのかしら…それとも…
タイコンデロガ:
……わからないわ
ただ、指揮官のいた海域に「海霧」が急に発生していて、現在も空中からの偵察ができなくなっている
ニュージャージー:
指揮官と一緒にいる艦船は…?
タイコンデロガ:
サンフランシスコにヘレナ、そしてアーチャーフィッシュね
ニュージャージー:
ヘレナまで……タイコ、あたしの記憶が間違っていなければ、たしかユニオンの作戦記録にこの「海霧」に関する報告があったわ
運河要塞でボルチモアが一時的に行方不明になっていた事件で……
タイコンデロガ:
はい、海霧と鏡面海域、つまりセイレーンの仕業で艦隊丸々いなくなったようね
エンタープライズさんたちだけでなく、ヘレナも…
ニュージャージー:
そう、ヘレナもあの艦隊にいたわ
……タイコ、ボルチモアたちにも念の為連絡して、この「海霧」を攻略するにはどうすればいいか情報が必要よ
タイコンデロガ:
もちろん構わないけど…
もう一つ、仲間たちへの連絡はどうする?指揮官の行方不明はかなりまずい事態よ
やっぱり私達だけじゃなくて更に援軍を編成させたほうがいいのでは…
ニュージャージー:
確かに、そういうのもあるわね…せめてサラトガに連絡だけ入れておいて――
サラトガ:
そういうことなら心配ないわ!
仲間たちへの連絡はこのサラトガちゃんがするから、ニュージャージーたちは安心して指揮官の捜索をしてきて!
指揮官を見つけないと、AF基地もPH基地も全部セイレーンの脅威に晒されてしまうもんね!
ニュージャージー:
わかったわ!このニュージャージーに任せて!
…ってサラトガ、いつの間に!?
サラトガ:
それはね、タイコンデロガから状況を聞いて急いでニュージャージーにも連絡を取ったからよ
タイコンデロガ:
ありがとう、相談を聞いてもらって
ニュージャージー:
いいよいいよ、こうした方が効率的だからね
サラトガ:
応援や上層部の対応はサラトガちゃんがするから、みんなは指揮官の救援に集中していいよ
ニュージャージー:
……にしても、AF基地…前の「再現」のときのことを思い出すね
サラトガ:
あのときは大変だったね
あの戦いに指揮官はいなかったし、サラトガちゃん的に今回の件とは関係ないと思う!
あっ、レポートの方はあとで送るよ!サラトガちゃんが早速頑張ってくる!みんなも頑張ってー!
ニュージャージー:
あ、通信が切れた…
サラトガが頑張ってくれるのは心強いけど、今回の作戦は可能であれば自力でこなしたいわね
早く指揮官が行方不明になった海域に向かわなくちゃ…!
AF基地周辺?
普通に航行していたら、気づいたら違う場所に「飛ばされ」てしまったようだ。
回りを見渡すと、どうやらどこかの量産艦の艦橋にいるようだ。
しかもこの艦橋の構造と装置――重桜の量産艦に間違いない。
ヘレナ:
……Zzzzz
サンフランシスコ:
プリンちゃーん…スマイル…美味しいプリンちゃんがあるぞ……
アーチャーフィッシュ:
アルバコアと今度何のいたずらをしようかな……
一緒にいる仲間たちはどうやら眠りについているようだ。
……怪我をしている様子はない。しかし身にまとっていた艤装が見当たらない。
アーチャーフィッシュ:
あ...ありのまま 今 起こった事を話すわ
あたしたちはAF基地に向かっていたと思ったら、気づいたら違う場所にいた
ヘレナ:
はい……
アーチャーフィッシュ:
間違いなく、催眠術だとか幻覚だとかではなく…いや、そんなチャチな手品ではないわ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わった気分……!
サンフランシスコ:
ドドドドドド……
アーチャーフィッシュ:
これはセイレーンの新兵器!もしかしなくても誘拐だと思う!
緊張感がないのは落ち着かせるためだと思いたい。
これはもう少ししっかりと分析したほうが良さそうだ。
ヘレナ:
たしか私たち、海霧に遭遇していたわね
ほら、この前にボルチモアたちが運河要塞を通っていたとき、海霧に遭遇して、気づいたら違う場所にいたって…
ボルチモアたちの話によると、セイレーンの「海霧」という兵器が存在するらしい。
ヘレナ:
はい、そこで「余燼」の艦船と遭遇して、セイレーンと戦って脱出できたわ
サンフランシスコ:
つまりあたしたたちは今「鏡面海域」の中にいるってこと?
こりゃ笑えないかもね…早く艤装の様子をチェックして…
あれ?気づいたら艤装が呼び出せなくなってる?
(呼び出すというか、こう艤装を装備しようと思ったら普通にいけてたのに…?)
アーチャーフィッシュ:
こっちも同じよ。困ったわねこれ……
サンフランシスコは水密扉のレバーに手を伸ばしてみた。
サンフランシスコ:
扉も開かないって…完全に閉じ込められたよこれ!
ヘレナ、窓の外に何か見えたりする?
ヘレナ:
SGもない…なにも分からない……あぅ…
サンフランシスコ:
おーい、ヘレナー
ヘレナ:
あ!窓の外?…ええと、霧でなにも見えないーー
ううん、ちょっと距離があるけど、何か船らしい影がうっすら見えているわ
サンフランシスコ:
それがセイレーンか味方の量産艦か…誰か通信機とか持ってない?
アーチャーフィッシュ:
普段の通信は艤装で行っているからね。あと作戦中は流石にスマホとかを持ち込んでいないよ
サンフランシスコ:
指揮官も持っていなさそうだし、結局この扉をなんとかするしかないかー
バットとか…いやダイナマイトとか探して……
アーチャーフィッシュ:
ダイナマイト!?
ヘレナ:
みんな、ここに通信機みたいな装置があるわ!
サンフランシスコ:
ナイスヘレナ!これで指揮官を探しに来た艦船と連絡できれば――
って、もう通信が入ってきた!?
飛龍:
「前線ノ戦況ヲ報告スル」
「味方重桜艦載機、敵基地ヘノ攻撃ヲ開始スル」
「敵空母艦隊ハマダ発見デキズ。偵察機ノ増勢ヲ求ム」
赤城:
「敵基地ヘノ攻撃ヲ優先ナサイ。第一波ノミデ作戦目標ノ完遂ハ困難ト判断」
「攻撃隊、サラナル発進ノ準備ヲ急ガセヨ」
アーチャーフィッシュ:
重桜の艦船の通信?なんか違うような…
サンフランシスコ:
内容から察するに基地を攻撃しているようね…もしかしてこの量産艦も重桜のもの?
アーチャーフィッシュ:
この通信どこから来たんだろう…?この量産艦は全く動いていないし、ほかの重桜の艦船どころか量産艦すらどこにいるか分からないし
サンフランシスコ:
でも通信がこちらに来たってことはこの船も何かしらの艦隊の一員に違いないね
どういう目的の通信か分からないが、脱出の手がかりはこの通信機しかなさそうだ。
気をつけて耳を傾けてみよう。
ニュージャージー艦隊
ニュージャージー:
指揮官が消えた座標はここね?
タイコンデロガ:
ええ、通信記録から計算するとこの海域に間違いないわ
薄っすらと霧があるし、「海霧」の情報とも合致しているわね
ニュージャージー:
(ここはまだPH海域との距離がそんなに離れていないし、襲われても余裕で戻れるはず)
ボルチモア:
「海霧に急に覆われ、気づいたら違う海域にいた」
メンフィス:
「確かボルチモア艦隊のときは…行方不明になった座標と脱出したときの座標が全然違ったのよね」
「セイレーン海域での計器の不具合による航行方向のズレもあるけど、流石にそこまで大きくはズレないわ」
「なので上層部の見解としては、『違う場所に飛ばす』機能を有する兵器ではないか、って話ね。あの海霧は」
タイコンデロガ:
AF基地の状況は大丈夫かしら…?
ボイシ:
AF基地は無事よ…!
ニュージャージー:
先行お疲れ!もうアレンちゃんとの連絡はついたの?
ボイシ:
はい!モリソンが先にAF基地に着いたみたい
私も今連絡がつながったばかりだから…ええと、直接アレンちゃんのほうにつなげるよ
アレンちゃん、こちらの声が聞こえる?
アレン・M・サムナー:
聞こえているよ~ごめんなさい、ちょっと基地を守るのに集中してて連絡できなくて…
昨日の夕方頃に急に基地周辺に海霧が発生して、そして「重桜」の艦載機に襲われたんだ…
ニュージャージー:
それから急いで救援要請をPH基地に打電したってわけね
アレン・M・サムナー:
はい。打電をしたのは夕方だったのに、なぜか翌日にようやく届いたみたい…
タイコンデロガ:
重桜の艦載機っていうのは、本当にあの「重桜」の?
アレン・M・サムナー:
確かなことは分からない…襲ってきたのは艦載機だけだったから、レッドアクシズのものなのかは…うーん…
モリソン:
アレンちゃんに残骸とか見せてもらったけど、「重桜」の艦載機以外何もわかりませんでした…
クマちゃんのカメラで写真を何枚か撮りました
ボイシ:
AF基地周辺は晴れているけど、北西海域はまだ海霧に覆われているよ
ニュージャージーたちはそちらに行って調査したほうが…
ニュージャージー:
分かったわ。タイコと私はそちらに向かう
ボイシとモリソンは合流をお願い。あとアレンちゃんは引き続きAF基地の警備を
アレン・M・サムナー:
あいよー
ニュージャージー:
(さて、とりあえずAF基地の状況は無事確認できたし…)
(次は指揮官の捜索と、セイレーンの鏡面海域の調査ね)
(正直この戦力だとちょっと心もとないけど、指揮官の身の安全のことを考えると援軍を待ってるヒマはないわ)
(指揮官、ちょっと待ってて今行くから!)
―――!!
ボイシ:
敵艦載機?モリソンちゃん、ありがとう…!
モリソン:
わ、わたしもびっくりした…クマちゃんにレーダーパーツを装備していてよかった…
ボイシ:
クマちゃん、また新しい強化パーツを追加したの…?
モリソン:
うん…えへへ、どんどんパーフェクトなクマちゃんに……
ボイシ:
モリソンちゃん、危ないっ!
モリソン:
か、艦載機がまた…一体どこからあんな数の艦載機が……?
ボイシ:
タイコンデロガたちと早く合流しよう…!
タイコンデロガ:
エセックス級空母・タイコンデロガ、航空支援を行うわ!
ボイシ:
た、助かった……
モリソン:
弱くてもあれほどの数の艦載機だと流石にちょっと危なかったですね…
タイコンデロガ:
まったく、物量任せとは感心しないわね。二人とも大丈夫?
ボイシ:
損傷はないわ。モリソンちゃんは?
モリソン:
はい、大丈夫…敵の艦載機、大したことなかったから
数が多いから、ちょっと緊張してて…あぅ…
タイコンデロガ:
(あの艦載機、数こそ多いけど攻撃の精度が全然ダメね…私だって余裕で対策できるぐらい)
やっぱり量産艦か、セイレーンの「駒」から出てきたものかしら
モリソン:
そうだと思います
あっ、セイレーンを追えば指揮官の居場所が分かるかも…!
ニュージャージー:
ええ、そうね!ちょうど帰還しようとしている敵艦載機がいるわ
ボイシ:
つまり……?
ニュージャージー:
その後をつければ、攻撃してくるセイレーン艦隊をキャッチできるってこと
もっと上手くいけばそのセイレーン艦隊が指揮官の居場所を案内してくれるかもよ
タイコンデロガ:
なるほど、じゃあこちらも手を抜いたほうがいいわね
ニュージャージー:
ええ、頼んだわよタイコ!
タイコンデロガ:
これは……面白いことになっているわね
ニュージャージー:
どうしたのタイコ?セイレーン本隊を見つけた?
タイコンデロガ:
ううん、艦載機はまだ追跡中よ
ニュージャージー:
そこそこ距離が離れているわね…こちらの速力では追えなくなっているわ
タイコンデロガ:
ええ、艦載機の追跡を行うのが精一杯よ
でも一つだけ敵の正体に関するヒントを見つけたわ
ニュージャージー:
敵の正体?ああ、本物の重桜なのか、セイレーンの「駒」なのか――
タイコンデロガ:
当たり。敵の艦載機の弱さだけでは分からないもんね
ニュージャージー:
状況証拠ってやつ?ごめん、あたし推理はあまり得意じゃないわ
タイコンデロガ:
海霧に入ろうとしていた艦がいたわ。しかも艦隊ではなくただの一隻
海霧がセイレーンの兵器であることを重桜も知っているなら、単身で中に入るのは危険極まりない行動なの
ニュージャージー:
つまりその子は「駒」である可能性が高いってこと?
タイコンデロガ:
ええ、あとは遠目から見ても分かるように艦船とは雰囲気が違うの。こればかりは個人的な意見なんだけど…
この「駒」たちはやっぱり、「再現」のために動いているんじゃない?
ニュージャージー:
「再現」…?AF基地を襲ったのも含めて…?
んーどうかな。確かにタイコの言っていることはわかるけど、情報がまだ圧倒的に足りないわね
再現とかじゃなくても、セイレーンが基地を襲うのは時々あるし、「駒」の配置も今は何も分からないわね
(もしくはただあたしたちをおびき寄せる作戦だったのかもしれないわ)
(ううん、むしろその可能性が高いわね。指揮官が行方不明になったのも含めて「再現」とは関係ないし)
タイコンデロガ:
そう…ごめんね、私ちょっとせっかちだったみたい
ニュージャージー:
別に大丈夫よ。本当に「再現」なのかどうかは戦ってみれば分かるし
それにいずれにしても今回のメンツは「再現」云々とは一切関係ないし!
タイコンデロガ:
まあ、それはそうだけどね
ニュージャージー:
あー、頭を動かしたら疲れた気がする~
(やっぱりこういう情報分析なんかより戦う方が好きね、あたし)
(もしかしたらセイレーンもこちらの頭脳を奪うために指揮官を行方不明にしたのかも?)
(考えれば考えるほどよくわからなくなるパターンね、これ)
やっぱり早くセイレーンを見つけて一回バトったほうが色々分かるわ!うん!
海霧海域・謎の量産艦
通信機が時々連絡を受信していることを除き、艦橋での調査で目ぼしい発見はなかった。
ヘレナ:
通信機で発信してみたけど、特に反応はなかったわ
サンフランシスコ:
指揮官、ここからはどうすれば……
アーチャーフィッシュは何をやってるの?
アーチャーフィッシュ:
しーっ、ちょっと機関の音がないか聞いているよ
サンフランシスコ:
そっかー、潜水艦は耳がいいもんね~
アーチャーフィッシュ:
まあなにも成果はなかったよ。なーんにも聞こえない
サンフランシスコ:
なんだか錨を下ろしてどっかで停泊しているみたいな雰囲気よね…
つまんなくて死んでしまいそう……
ヘレナ:
通信機がまた何かを受信したよ!
サンフランシスコ:
……!!
飛龍:
「飛龍ヨリ報告スル。AF基地ヘノ爆撃ニ成功」
「作戦目標未達。第二次攻撃ノ要ヲ認ム」
ヘレナ:
さっきも同じ内容のがあったけど、やっぱり状況報告…かしら
アーチャーフィッシュ:
AF基地への爆撃って…アレンちゃんが言ってたのは連中の仕業だよね
となると、その連中は本物の重桜か、セイレーンか。
考えるまでもない。海霧に通信異常、通信機での無機質な声、どう考えても重桜の艦船たちではない。
アーチャーフィッシュ:
となると「再現」ね…この通信機での声もその一部…?
サンフランシスコ:
じゃあ問題なのは、どうしていきなりあたしたちをここに連れてきたか?
まさか、鏡面海域でセイレーンの「演習」…あるいは「再現」を特等席で観戦させまぁす!
なんて、セイレーンがそんな「親切」なことをするはずがないよね!ははは
通信がセイレーンの「再現」の一部なら、間違いなく奴らは単純に「駒」を戦わせているだけではない。
アーチャーフィッシュ:
それにしても…セイレーンはどうしてこちらの通信を真似ているの?
选择项1:(各勢力を考える)
选择项2:(別の理由を考える)
(选择项1)ユニオンとロイヤルはともかく、鉄血や重桜のセイレーンとの関係はよく疑われている。
(选择项1)仮に彼女たちがセイレーン技術を吸収した際に、逆にセイレーンに情報を探られていたら…
(选择项2)セイレーンの技術をもってすれば、各種通信の傍受など不可能ではないはず。
(选择项2)あるいは、こちらの情報が漏れたのではなく、「再現」と称されるように、ここまでの出来事全てがセイレーンに誘導された事だとすれば……
サンフランシスコ:
へー、そうやって「再現」しながら、上層部には「重桜の艦載機がAF基地を襲った」という事実だけを伝えさせる
まあ、そう簡単には騙されないと思うけど…
相手が相手なので、こちらも重桜とセイレーンの関係を考えなくちゃならないってことね
……彼女たちを疑うつもりはなくても、戦いの端緒を開いてしまえば状況がかなり複雑になるのだ。
サンフランシスコ:
大変なんだよね…プリンちゃんって
そして今までの「通信」とAF基地からの連絡を察するに、「重桜」は未だに「ヨークタウン」役の位置を見つけられていないようだ
つまり、このまま「再現」が続くのであれば――
サンフランシスコ:
プリンちゃん、ちょっとストップ!
今まで話してきたのは、あくまで「あたしたちに伝わっている通信」がそのままセイレーンの行動を反映しているって仮定でしょ?
こっちが何の情報も掴んでいない以上、そういう推測は自分を悩ませるだけだって!
ヘレナ:
指揮官、また通信機が「駒」の通信を受信しているよ
サンフランシスコ:
(さて、この「戦況」がどこまで進んでいるのか?)
(自分で考えるなって言ったものの、やっぱ気になるわね…もし「ユニオン役」が「駒」じゃなくて艦船だったら…)
ニュージャージー艦隊
タイコンデロガ:
さっきから追跡しているけど、セイレーンの「駒」はまだ現れていないわね
艦載機のほうの追跡がまだうまく進んで――
ニュージャージー:
タイコ、どうした?
タイコンデロガ:
ちょっとこれは……重桜機を迎撃してくる艦載機がいるわ!
しかも重桜ではなくユニオンの艦載機?どういうこと?
ニュージャージー:
ユニオンの艦載機?この海域に仲間が展開されているの?
ボイシ:
ううん、この辺りにいる空母はタイコンデロガだけのはず、それに――
アレン・M・サムナー:
「AF基地の爆撃で滑走路が結構ボロボロになっているから、こちらの支援は期待しないほうがいいよ」
「本当にニュージャージーの言う通り『再現』なら、地上目標相手にも全然手を抜いていないよね…セイレーンって」
ニュージャージー:
「本物」の味方からの艦載機じゃないとすれば…
タイコンデロガ:
おそらくは重桜の「駒」の相手をしているユニオンも「駒」じゃないかしら…
この艦載機たち、そのまま重桜機が飛んでいった方向に向かっているわ
ニュージャージー:
重桜の艦載機はまだ残っている?
タイコンデロガ:
ううん、今のでこちらが追跡していたのが全機落とされちゃったわ
ニュージャージー:
じゃあ作戦変更よ。重桜機ではなくユニオン機の方を追跡して…あっ、高度には気をつけて
ボイシ、モリソンは引き続き先行をお願い。海霧の中に突っ込むしかなさそうね…!
――!
タイコンデロガ:
重桜からの迎撃機…!
ニュージャージー、こちらを狙ってくる敵機も増えているわ
ニュージャージー:
セイレーンが本気を出してきたってわけね!というかこれも「再現」なの?
タイコンデロガ:
分からないわ。少なくとも今こちらを攻撃している敵機の強さは海霧の外の敵機より数段階上ね
ニュージャージー:
あたしたちを攻撃してきているのと、ユニオンの「駒」を攻撃しているのが同じかどうかもわからないものかしら…
って、追跡の方は大丈夫?
タイコンデロガ:
ええ、大丈夫だけど…ユニオン機が今度は別の重桜の迎撃隊に落とされたわね
ニュージャージー:
困ったわね…これじゃあ自力で「駒」の艦隊を探すしか…
タイコンデロガ:
大丈夫よ、今の迎撃機のおかげで、重桜の「駒」の艦隊の位置はもうキャッチしたわ!
ただ、重桜の「駒」とユニオンの「駒」のどちらに指揮官がいるのかまでは――
ボイシ:
つ、通信機が何かを受信したわ…!
ニュージャージー:
通信機?この海域に別の艦船がいるの?
ボイシ:
ううん、このチャンネルは前にAF基地周辺で「再現」に巻き込まれたときに使ってたもので…
ニュージャージー:
ボイシ、こちらに繋げて。何を言っているかを――
通信機:
……………
ホーネット:
「敵艦隊上空ニ直掩機多数。攻撃機隊ハ敵ニ有効打ヲ与エラレズ――」
エンタープライズ:
「コチラモ敵ニ命中シタ攻撃機ナシ。スマナイ」
「コノママ味方艦隊ノ場所ガ露見スルノモ時間ノ問題ダ」
ヨークタウン:
「敵ノ攻撃準備マデマダ時間ヲ要スル。主導権ハ私達ニアリ」
「エンタープライズ、ホーネット、今度ノ攻撃ハ私ガ先導シテ――」
「皆、重桜空母ヲ撃破シヨウ!」
ニュージャージー:
ホーネット…それとエンタープライズ、ヨークタウンの声?
モリソン:
クマちゃんの受信アンテナがチャンネル走査していたときにキャッチしたんです…
まさか、エンタープライズとヨークタウンたちだなんて…
ボイシ:
ヨークタウンは前の作戦で負傷していたから、やっぱりこれって…
ニュージャージー:
確定ね。この海域にはええと、あたしたち、重桜の「駒」、そしてユニオンの「駒」がいるわ
あとは指揮官とサンフランシスコたちがどこかに隠れているはずね
ボイシ:
じゃあ今の通信は一体……?
ニュージャージー:
もしかして「駒」たちの間の通信なのでは?
タイコンデロガ:
ええ、「再現」の一環だと思うわ。少なくとも前の戦いではサラトガさんが艦隊を率いていたからこのような会話には…
ボイシ:
つまり、わざわざこちらに聞かせるようなものではない…?
ニュージャージー:
こちらに聞かせたところで何もならなくない?セイレーンって相変わらずよくわからないわね
タイコンデロガ:
まあまあ、この線で行くと、やっぱりこの海域でセイレーンの「駒」による実験が行われているわね
重桜の「駒」とユニオンの「駒」を戦わせてデータを集めるための、ね
モリソン:
データを集めて…クマちゃんみたいに強化するのでしょうか…?
でしたら、もし再び仲間たちが襲われたら……!
ニュージャージー:
(間違いなくまずいわね…セイレーンがこうして無限にレベルアップして、AF基地がもう一度襲われたら今度は守りきれるかどうか)
タイコ、偵察機を回収して制空権確保に集中するのよ
モリソンたちは引き続きチャンネルをつないで、なにかがあったらすぐ知らせて
指揮官の捜索でいずれぶつかる相手だし、こちらから打って出るわ
セイレーンの「駒」が戦っている間に横から突入して、このMK7の主砲でぶっ飛ばす!
??·??
飛龍:
「敵攻撃隊ノ撃破ヲ確認、味方空母被害軽微」
サンフランシスコ:
おお、頑張っているね~
飛龍:
「敵空母機動部隊ノ位置ヲ確認、攻撃隊ノ編成ノ要ヲ認ム」
サンフランシスコ:
ユニオンの空母の「駒」もいるって…タイコンデロガたちは苦労しそうね
飛龍:
「敵空母機動部隊ノ撃破ヘト目標ヲ修正。現在編成中ノ基地爆撃部隊ノ装備転換ヲ行ウ」
サンフランシスコ:
なるほどなるほど、戦いながら装備転換って大変そう~
飛龍:
「爆弾装備カラ魚雷装備ヘノ換装ヲ認ム。コレヨリ攻撃隊ノ発進準備ヲ行ウ」
サンフランシスコ:
次は一体どうなるんだろう!
飛龍:
「…………」
アーチャーフィッシュ:
何をやってるの…
サンフランシスコ:
ははは、聞いてるだけじゃつまらないっしょ?こうやって反応してやってみたわけ
アーチャーフィッシュ:
あたしもやってみようかなー
サンフランシスコ:
いいよー次はアーチャーフィッシュの番ね~
通信機:
嗚呼、これもまた夢幻か……
サンフランシスコ:
あれ?今度は別の声…?
ヘレナ:
通信機から声が出ているけど、さっきのセイレーンの「駒」とは違うわ
サンフランシスコ:
一体誰なの?姿を見せな!
???:
汝らの反応…今までの夢とは異なり申す…
ユニオンの艦船たち…汝らのことを識るも、汝らは妾のことを識らぬと見る…
信濃:
嗚呼、夢の因果は如何ほどに人を翻弄するか…夢の旅路は御せぬゆえ、何卒ご容赦を…
アーチャーフィッシュ:
あんたってもしかして……信濃?
サンフランシスコ:
信濃って重桜の空母の?ってこの人あたしたちに話しかけてる?
ヘレナ:
そ、そうなのかしら…?
サンフランシスコ:
プリンちゃんは信濃のことは知ってる?
空母信濃――確か「祭儀の島」にて儀典を携わっている艦船だと重桜の艦船から聞いたが、対面するのは今回が初めてだ。
この状況を見るに、「再現」に関わっていないのは確かだ
信濃:
この光景…確か重桜の量産艦の艦橋と見るも…汝らはなにゆえここに…?
サンフランシスコ:
(あれ?セイレーンの作り出した幻とかじゃなさそう…?もしかして「本物」?)
それはこっちが知りたいね~航行していたらいきなりここに飛ばされてさ
信濃:
では妾と同様…何かしらの縁ゆえにこの場所に閉じ込められた者と……
嗚呼、「再現」を見せられし存在として、妾と同じく…
サンフランシスコ:
(やば、こういう人一番苦手なタイプだ。何言ってるかさっぱり分からないわ…)
信濃:
妾の観る夢の中で、現になりえたものも…ここと同じくいつしかウツシヨに転ずる夢なら……
されどこの夢、妾が干渉することが叶わず…妾のここでのあり方がそう定められたがゆえ…
アーチャーフィッシュ:
「私はこうして貴方達と会話するしかできないから、ここから出ることができない」
つまりあんたもあたしたちと同じでここに巻き込まれたということね?
信濃:
説明に感謝を…妾、言の葉を紡ぐのはいささか苦手なゆえ…
サンフランシスコ:
な、なんで分かるの?
信濃:
そこにいるのは、指揮官と見る…一度お話したいと存じていたが、よもやこの様な形になるとは…
信濃と名乗った艦船はこちらに顔を向けてきた。
信濃:
汝にとっては初見なれど、妾は夢にて幾度お世話になったゆえ、謹んで御礼申す…
大きな尻尾を軽く揺らせながら、深く一礼した信濃。
信濃:
流れ転ずる夢での出来事で、妾の独りよがりに過ぎぬゆえ、どうかお気になさらず…
汝にとって妾は敵ならぬ…友、仲間、想ふヒトなることを、どうか知らせたまえ…
嗚呼、汝に語る想いも、夢も、あまりに多く……
起こりうる未来を夢見る「予知夢」、そしてその夢に自身が現実の存在として干渉する「投影」。
信濃の言葉の難解さもあいまって、なんとも信じがたいが…アーチャーフィッシュの翻訳(?)でなんとかなった。
ただ、彼女の力をもってしてもみんなをここから開放することができないようだ…
サンフランシスコ:
信濃は体を動かしておいたほうがいいよ?ずっと眠ってばかりじゃいざというときに筋肉が言うことを聞かないからね
信濃:
嗚呼…夢を観る力ゆえ、体を動かそうにも機が欠けており…
サンフランシスコ:
アーチャーフィッシュ、今のどういうこと?
アーチャーフィッシュ:
この夢を見る力があるから、あまり体を動かすチャンスがないってこと?
信濃:
祭儀に携わることもあるゆえ…お詫び申す…
アーチャーフィッシュ:
そんなの一々気にしてたら何も始まらないよ?あんたはその力だけで生きてわけでもないでしょ?
信濃:
それは……汝の云う通りやもしれぬ……助言にお礼申す…
一度己の定めを変えると決めたにもかかわらず、行動には出せずにおる妾…嗚呼…
アーチャーフィッシュ:
そう落ち込まなくてもいいよ?自分を変えるにもいきなり変えられるわけないし、少しずつでいいって
信濃:
はい……!
アーチャーフィッシュ:
いやぁあたしってこういうセリフを言うタイプじゃないのにな…ごめん、いきなり説教臭いことしちゃって
信濃:
いいえ、本音を語るのは良きかな…
アーチャーフィッシュ:
まあ、アルバコアだったら多分ところ構わず意地悪なこと言っちゃうし?あたしはあたしでたまには良いこと言わせてもらお♪
二人がほのぼのとした雰囲気で会話している様子が中々微笑ましかった。
飛龍:
「飛龍ヨリ報告スル」
「装備転換中、敵艦載機ノ攻撃ニ遭イ、赤城・加賀・蒼龍ガ損傷ヲ受ケ戦闘不能」
「空母飛龍、戦闘能力ハ健在ユエ、敵空母機動部隊ヘノ反撃ヲ行ウ」
「敵空母セメテ1隻デモ多ク、ボクガ道連レニシテ進ゼヨウ」
ヘレナ:
これは…!重桜の「駒」が動いているわ!
サンフランシスコ:
うわっ、もしかしてここにいるあたしたちも危なくない?!
飛龍:
「重桜各艦ニ告グ、『飛龍ハ健在ナリ』――」
サンフランシスコ:
指揮官、どうする?このままだとあたしたちも戦闘に巻き込まれるよ?
舷窓から見る外の風景が相変わらず海霧に包まれているものの、「飛龍」の言葉通りかすかに炎の光が遠くから見える。
サンフランシスコの言うように、このままでは――
飛龍:
「『再現』進行度ノ向上ヲ認ム。重桜艦隊、戦力ノ上方調整ヲ行ウ」
「空母『ヨークタウン』ノ撃破ヲ条件ニ設定スル――」
「駒」たちが自分の戦力を調整している…?
飛龍:
「戦力向上ノ調整後、彫刻室ニ反映シ他個体ヘノ応用ヲ認ム」
「次ナル『再現』ヘノ投入ヲ承認スル」
信濃:
嗚呼…いと悲しき…永遠に戦を繰り返すが定め……
サンフランシスコ:
信濃、こいつらを止める方法はないの…?!
信濃:
妾にも、その様な方法は存じませぬ…
(鏡面海域はセイレーンの実験場ゆえ、ここで作られし「駒」もまた、セイレーンに操られた人形に過ぎぬ…)
(素体から彫刻されし「駒」は因果から脱した存在…汝らには「過去」しか存在せず…)
(赤城ら一航戦も、このことを知る上、かの「聖域」の研究を行っていたか、否か…)
「駒」の「再現」は海に映されし鏡の螺旋なり――妾も汝らも「実験」を止めれぬ
つまり、こちらはこのまま静観するしかない…か。
信濃:
ええ、全ては「リュウコツ」に映された鏡花水月――
エンタープライズ、ホーネット、私のことなら大丈夫だわ
貴方達二人が出ても向こうには何隻も空母がいるから、このままでは勝つことが難しいわ
……この程度の傷は…大丈夫よ
体を気にしていては勝てる戦闘も勝てなくなるってエンタープライズのモットーでしょ?
ふふ、よくないけど…今回だけは大目に見てちょうだい
3日あればなんとか戦闘できるように持ち直せるわ
貴方達は大事な妹だから、お姉さんとして守らないと
どうしたの?ハムマンちゃんみたいな顔をして…
もうまだ私のことを心配しているの?本当に大丈夫よ
ふふ、そんなことよりあなたにはもっと心配することがあるでしょ?
そうよ、いつまでも最前線で体を張り続けるべきではないわ
みんなを率いるヒーローとして、少しは後ろで励ますことも勉強しなくちゃ
艦載機発進、これより敵空母機動部隊の偵察に向かうわ
艦砲での撃ち合いに持ち込まれたら数で不利…航空戦でなんとかするしかないわね
AF基地を襲ってきた敵が慢心しているスキに攻撃をしかければきっとチャンスがある
………
この戦いも、私は…勝つわ
………
「海霧」鏡面海域の中
モリソン:
ええと、確かこの方向のはずですよ?クマちゃんも同じ方向を指しているから…
ボイシ:
クマちゃんのレーダーなら「駒」の居場所が分かるはず…だよね…?
モリソン:
うん。でも離れすぎると精度が落ちてしまいますから…
ええと、クマちゃん、通信チャンネルの信号からもう一回方向を修正して…
ボイシ:
あ、「駒」の艦隊を見つけても、クマちゃんに勝手に攻撃を開始させないでね
モリソン:
分かりました。まずはニュージャージーさんに報告して――
い、今レーダーに反応がありました!
ボイシ:
もう見つけたの…!?
ハムマン?:
「………………」
ボイシ:
ハムマンちゃん……?!
違う…セイレーンの「駒」!
モリソン:
ニュージャージーさんに連絡して…すぐ追います!
「海霧」に囚われた指揮官と仲間たちを探すため
ニュージャージーたちはセイレーンの鏡面海域に突入する
そこで彼女たちが目にしたのは「再現」の戦い
ユニオンと重桜の「駒」
そして……
――照らす螺旋の鏡海――
――!
タイコンデロガ:
どんどん強くなっていく…!このままセイレーンを放っておくわけにはいかないわ!
指揮官を救出したら、この鏡面海域の発生源も叩くべきよ
ニュージャージー:
当然よ!AF基地の脅威もこれで解除できれば一石二鳥だわ!
さて、まずはここの「駒」たちを全部倒して……!
通信機:
―――――
エンタープライズ:
「敵空母艦隊ノ破壊状況ヲ確認。勝利ハコチラニ傾イテイル」
「ヨークタウンニ敵機ノ攻撃ガ命中。損傷ハカナリ大キイ」
ヨークタウン:
「大シタ損傷デハナイワ。状況ノ分析ハ冷静ニ」
「…………」
ホーネット:
「損傷度合イハ無視デキナイ…修理ガ要ル…」
エンタープライズ:
「ハムマン……!」
ハムマン:
「了解!ヨークタウンノ護衛ヲ開始…!」
通信機:
―――――
ボイシ:
ニュージャージーさん、今の声聞こえた…?
モリソン:
ヨークタウンさんのこと言っていますね…ど、どうしよう…
ニュージャージー:
焦らないで。さっき見た「ハムマン」はこの先の霧の中に消えていったわね
ボイシ:
はい…追跡しようとしたけど、この霧の先に入った途端レーダー信号が消えちゃって…
ニュージャージー:
「ハムマン」の行動になにか異常はない?
モリソン:
いいえ、わたしたちの前を通っただけです…
ニュージャージー:
じゃあ今の行動は「再現」と見たほうが良さそうね
(当たり前ね。ハムマンはもちろん、あたしだって一人でこんな鏡面海域の中で散歩したいわけじゃないの)
(でも同じ顔の敵…こういう時はあたしじゃなくて指揮官がみんなを激励してほしいわね)
モリソン:
あ、あの…追いますか?まだそう遠く離れていないはずですけど…
ニュージャージー:
追おう。相手はおそらくコチラに眼中にないか、今まで戦ってきた「駒」とは別系統なのかのどちらかと思う
この好機を逃すわけにはいかないわ!タイコもそれでいい?
タイコンデロガ:
はい、向こうの「再現」に私達が含まれていなければ、ある程度自由に行動できるはず
このままはぐれセイレーンや「駒」を倒し、「ハムマン」を追いましょう!
ニュージャージー:
じゃあ決定ね!ボイシ、モリソン、引き続き偵察を頼むわ!
通信機:
―――!
ホーネット?:
「被害ガ拡大シテイル…!コノママ戦闘継続ハ不可能…!」
「増援艦隊ノ位置ヲ――」
ボイシ:
また通信を受信しました…!
ニュージャージー:
今度はなに?ユニオンの「駒」が重桜の「駒」にやられてるってこと?
タイコンデロガ:
完全にこちらのことを無視して戦っているわね
…ふぅ、仲間と同じ見た目の敵と戦うより、潰し合ってもらったほうが気に病む必要がなくてある意味助かるわね…
引き続き進もう、もうすぐで想定座標に――
ニュージャージー:
あ、ちょっと待ってタイコ、一つ試したいことがあるの
タイコンデロガ:
試したいこと…?
ニュージャージー:
セイレーンに向けて通信して反応があるかどうか
こちらニュージャージー。ホーネット、今聞こえてる?
タイコンデロガ:
(ニュージャージー!?)
ニュージャージー:
(向こうがあたしたちのことを認識しているのかいないのか、それとも単に無視しているだけなのか気になるじゃない?)
ホーネット?:
「増援艦隊ノ位置ヲ知ラセテ!オネガイ!」
ニュージャージー:
(会話が通じた!?いやいや慌てるなニュージャージー!)
あっ、ええと、そちらの位置は?
ホーネット?:
「被害ガ拡大中。エンタープライズモ損傷シテイル。増援艦隊ノ位置ヲ――」
ニュージャージー:
こちらは近くまで来ているよ?早く場所を教えて、でないと救援に向かえないじゃない
信号弾とかは持っている?それでもいいから
ホーネット?:
「被害ガ拡大中。エンタープライズモ損傷シテイル。増援艦隊ノ位置ヲ――」
タイコンデロガ:
……やっぱりこちらと会話しているようには感じないわ
ニュージャージー:
ホーネット、今日の晩ごはんは何にする?あたしはステーキを食べたいけど
ホーネット?:
「被害ガ拡大シテイル…!コノママ戦闘継続ハ不可能…!」
ニュージャージー:
ホーネットは確かウェルダン派だっけ?ミディアム?それともレア?
ホーネット?:
「敵艦載機ノ攻撃隊ヲ確認。対空性能ノ調整ヲ求ム」
タイコンデロガ:
こちらのことを認識していないようね
ニュージャージー:
分かったわ、タイコ
この通信のようなものはおそらくは「再現」の一部か、セイレーン内部の業務連絡みたいなやつ
タイコンデロガ:
つまり、予め設定されたメッセージでやり取りしていただけ?
ニュージャージー:
ええ、だからこちらが呼びかけても答えないし、そもそも時々話す内容も「役割」から離れているわ
で、こちらが「役割」に関係ないから、ステーキの話でエラーを検出して修正してこなかったってわけ
タイコンデロガ:
ステーキの話題に反応されたらびっくりしちゃうわね…
ニュージャージー:
要するにこの「駒」たちは強くなりはするものの、思考や意思がない普通の「駒」と何も変わらないわよ
(指揮ユニットがいるようにも見えないし、もしかしてこの鏡面海域って結構特殊かも)
(指揮官…無事でいて)
??·??
神通:
「敵艦隊ガ損傷ヲ受ケ戦闘カラ離脱シマシタ」
信濃:
……これは…神通の声…
神通:
「飛龍モ損傷ヲ受ケ航行能力ヲ喪失。急ギ救援行動ヲ」
信濃:
嗚呼、これで「再現」が終わると思ふ…
神通:
「作戦目標デアル、AF基地ノ攻略、敵空母機動艦隊ノ撃破ニ失敗シマシタ」
「――テスト『AF作戦』、通信ログ再生終了」
信濃:
…素体より作られし仮初のリュウコツたち…どうか安らかにお眠りを…
神通:
「データノアップロードヲ行ッタ後、次ノ『再現』ノ準備ニトリカカル――」
サンフランシスコ:
ようやく終わった…これで「駒」たちが処分?でもされちゃうのか…?
信濃:
妾も知り得ぬこと…妾が掴み取れるは情報のカケラにすぎず…
カケラを集めて、異なる未来を――破滅から逃れられる未来を見出すのが妾の意思…
サンフランシスコ:
で、なにか気になる情報でもあったの?
信濃:
それは……汝らにも…指揮官にも今は教えられぬ…お詫び申す…
カケラから導き出した光景は申せても、道を誤らせ、異なる「枝」を生み出すに過ぎぬ…
信濃なりの考えがあるようだが、今深く詮索しても仕方がない。
信濃:
……して、残りは、汝らを如何にここから脱せしむか…
アーチャーフィッシュ:
そこが一番重要じゃないの~こちらで何もできないんじゃどうしようもないけど
そういう話題を信濃から持ち出したってことは、さては脱出方法でも分かったのかな?
信濃:
汝らをここに「飛ばし」、そして「閉じ込める」秘術…
その道理…その仕掛けまでは分からぬが…知っている者なら、この近くにいると…
???:
……流石端末の力の一端を備えているだけあって、察しがいいわ
???:
サンフランシスコにアーチャーフィッシュ、信濃、指揮官、そして「私」まで…
信濃:
汝も妾の存在を……?
???:
あなたが遠くまで「観測」できている分、私もあなたのことがわかるわ
信濃:
この「夢」に妾の体が存在せず…縁のある存在でしか妾を認識できないはず……
???:
「夢」のことは認識できていないわ。ただここの制御を抑えている以上、あなたの「存在」が分かるの
信濃:
…………
サンフランシスコ:
な、何がどうなっている?わけがわからないけど…
っていうかあんた誰??
???:
私は影、もう一つの――
サンフランシスコ:
ストップ!はい!セイレーンと信濃だけで十分だから、これ以上リドラーみのあるやつを増やすのはNGな!
???:
……ど、どういうこと?「りどらー」…?
サンフランシスコ:
ちゃんと喋らずにいちいち相手に意味を当てさせる面倒くさいキャラのことだよ!
???:
……違うと思うわ…
サンフランシスコ:
いいから素直に喋れってこと!
???:
……え、ええと…指揮官…あなたが指揮官なら私が誰だか……
サンフランシスコ:
指揮官は答えなくていいから!こいつはバットで一回バコンとやっておくに限るって!
謎の少女の正体は――
选择项1:ヘレナ…?
选择项2:余燼……!?
选择项3:セイレーンの偽装……!!
???:
ハズレよ。…どうやらまだ指揮官には明かさない方がよさそうね…
話を戻すわ。あなたたちはここから脱出したいんでしょ?
もちろん。このままここに閉じ込められた末路は考えるまでもない。
サンフランシスコ:
おっ、脱出させてくれるなんて優しいやつゥ!なんて言うとでも思ったか!
まずは敵か味方か言うのが先でしょ?
???:
私はあなたたちの仲間よ
サンフランシスコ:
(躊躇いもなく即答した?…とりあえず様子だけ見ておくか)
???:
ヘレナなら分かるでしょ?
ヘレナ:
私?ええと……急にそう言われても…
アーチャーフィッシュ:
とりあえず脱出させてくれるならやってみてよ、もう
サンフランシスコ:
変なことしたらパコンと1発お見舞いしてやるからね(ニコッ
???:
――ミラーハッキング、空間ロック解除。
もうここから出てもいいわ
海霧の鏡面海域 ユニオン「駒」集結地
ニュージャージー:
ユニオンの「駒」の調査はこんなところか…特に目ぼしい発見はなかったわね
モリソン:
量産艦のほうにも指揮官がいるような様子はありませんね
ボイシ:
ごめんなさい…ちょっと休ませて……
タイコンデロガ:
こっちもちょっと休憩…まさか、あの数の量産艦を一気に調べるなんて
ニュージャージー:
ついでに上手く「駒」も全部倒せたって褒めてくれてもいいわよ?
ユニオン最大最強のブラック・ドラゴンであるニュージャージーはさすがのスタミナだね!とか♪
タイコンデロガ:
ははは…次はあまり先に突っ走らないでお願いね?
ニュージャージー:
分かっているわ。さて、あたしも少し休憩しよっと
(次は重桜側の「駒」も調べなきゃならないから、体力を温存しないとっ)
ニュージャージー:
タイコ、そろそろ重桜の「駒」の集結地に着くわね
タイコンデロガ:
はい、さっき通信機から割り出した位置を計算するともうそろそろ到着するわ
ニュージャージー:
妙ね…今までは哨戒するセイレーン艦隊と遭遇してたから、そろそろ遭遇してもおかしくないのに
タイコンデロガ:
はい、「駒」ならともかく、量産艦もほとんど見当たらないなんて
「再現」が終わっていたら、鏡面海域が解除されなくてもセイレーンの再編成が行われるはずなのに、その様子も全然ないの
まるで私たちを……
ニュージャージー:
あたしたちを誘い込もうとしている、ということかしら?
(指揮官がもしほかの場所にでも移動させられていたら溜まったもんじゃないわ!)
この鏡面海域の様子はおかしい――
???:
それはそうよ。ほとんどの機能が停止されているから
タイコンデロガ:
あなたは……!?
―――!!
ニュージャージー:
今のは警告代わりよ。変な真似をしたら今度は直撃させる
「駒」でもなければ艦船でもない、セイレーンの人型個体と見たわ
???:
くっ…!いきなり砲撃してくるなんて…
ニュージャージー:
質問に答えてもらおうじゃない
???:
ニュージャージー…どうしてあなたがここに?
ボイシ:
この「ヘレナ」ちゃんと似ている子…レーダーに何も映らないわっ!
ニュージャージー:
…!こいつはまさか、噂の余燼…!?
じゃあ味方じゃないわね!ボイシ、目視で照準サポートを頼むわ!
???:
待ってください!私は…指揮官の味方よ
ニュージャージー:
指揮官って…指揮官をどこにやったの!早く教えなさい!
???:
落ち着いて。ここに来たのはあなたたちを指揮官のところに案内するためよ
あなたたちを攻撃するつもりだったらこうして姿を見せないわ
……私を、信じて
ニュージャージー:
……まぁいいわ
タイコンデロガ:
確かにね、あえて姿を見せる必要はないもの
彼女が「余燼」だったとしても…「余燼」とはまだ話し合いの道があるって指揮官は信じているわ。ここは指揮官に免じて―――
ニュージャージー:
あんたを信じるのではなく、指揮官を信じるわ
で、これからどうやって指揮官のところに案内してくれるの?
???:
…ありがとう。でも案内する前に追手を倒しておかなくちゃ
ニュージャージー:
追手?あたしたちの後ろにセイレーンが追っているってこと?
指揮官の安全の保証がされていない以上、あんたのパシリは勘弁よ
???:
いいえ、あなたたちに後ろを相手してもらうつもりはないわ
正確には「追手」というか、私達が会話している間にもう「包囲」してきたわね
……レーダーでは全く見えないけど、完全に包囲されているわ
派手にハッキングをしかけたから、ここの自動防御システムに見つかるのも時間の問題ね
私の反応をレーダーで観測できなかったでしょ?
ニュージャージー:
どういう意味?まさか……
???:
私ができることは、セイレーンもできる――という意味よ
その気になれば…警戒レベルを上げれば、あなたたちの電探装置なんてセイレーンの前では前世紀のものにすぎないわ
――ミラーハッキング、ステルスシステム作動停止…!
レーダーの方をよく見てごらん
ニュージャージー:
…セイレーン反応が…さっきまで何もなかった場所にこんなに?
あんたの言う通り待ち伏せされているってことね
???:
いいえ、これにはジャミングシステムで作り出したニセの反応もあるわ
タイコンデロガ:
つまりレーダーで表示されている数通りじゃないってことかしら
???:
そうよ、私のほうでセイレーンのシステム解除に専念するから、あなたたちは襲ってくる敵の対処をお願い
このままセイレーンに道を塞がれたら指揮官のところには辿り着けそうにないわ
3、2、1……来るわ…!
???·???
謎の少女の助けにより、仲間たちと量産艦からの脱出に成功した。
このまま先ほどうっすらと戦闘の光があった場所へと航行すると、重桜の「駒」の集結地点らしき海域に到着した。
信濃:
「再現」が終わり、全ては記録の最後たる一瞬のまま……
焔も煙も、戦の傷跡はすべて、無に帰すまで海に捨て去られる
此の様な光景は、妾も初めて……
アーチャーフィッシュ:
あたしたちが戦ってたセイレーンは戦いが終わると急に消えたりするけど、鏡面海域の中ではこんな感じなんだ
サンフランシスコ:
ちょっと不気味!でも楽しそう!プリンちゃん、これ資料としてあとで見せて!
ヘレナ:
「駒」たちと戦わせるための海…なんだか悲しいわ…
時間が止まっている世界…!
北方連合のあの遺跡で体験した「静止」とも何か関係があるのだろうか……
アーチャーフィッシュ:
空母たちの「駒」はあっちよ!サンフランシスコ!
サンフランシスコ:
大破した飛龍…こっちも止まっているのね。目の前にいるあたしたちに全然反応しない
それとあっちは……
「再現」に使われたのは「駒」だけではないようだ。
もしかしたら自分たちがついさっきまでいた量産艦も「駒」の代役として使われていたのかもしれない。
今回は「駒」だけしか使っていないようだが、セイレーンは片方を「駒」、もう片方を「艦船」にしたり、
「駒」を使わず、アズールレーンとレッドアクシズの衝突を使って、艦船同士を戦わせたり…
このような光景にはさせない…航路を守るための艦船同士での戦いを終わらせたい。決意が一層強くなった。
…………まずはこの鏡面海域から脱出するのが先決だ。
アーチャーフィッシュ:
こうしてみると本当に見た目は同じなんだよね
…並べてこう、ポーズを取らせたらどっちが本物か分からなかったりするね
サンフランシスコ:
でも戦うとぜんぜん違うじゃん?こっちは意思を持って動いているし、あとなによりプリンちゃんがいるし
あれ、もしかして…
プリンちゃんの役目ってあたしが思ってたよりずっと重要なの?こやつめ~(ツンツン
量産艦から脱出したからか、彼女たちは元気そうだ。
さて、このままあの「ヘレナ」からの連絡を待って……
???:
待たせてごめんなさい。セイレーンの防御システム相手に手間取っていて
ええと、信濃さん、ひとつ聞きたいことがあるの――指揮官についてどう思う?
信濃:
……妾の想いを理解してくれる、大事な存在であり、そして…
???:
ならこの「夢」のカケラを覚えていて
信濃:
妾の「夢」がもう限界と言ふか……
???:
ええ、これから鏡面海域の機能を少しいじるわ
信濃さんの「夢」への干渉の原理はわからないけど、この仕事が終わったら「観測」の方が止まるし
あなたの「夢」もその時点で終わることになるの
信濃:
……短い夢なれど、このカケラはずっと大切に……ご健勝を
???:
(小声)……すまないわ
このまま自分の今いる場所から移動しないで、仲間たちへの道を開くわ
3、2、1……ニュージャージーさん!
――――!!!
―――!!
アイオワ級戦艦の主砲が響く。ユニオン最強クラスの砲撃が何もない海霧に覆われた空間に放たれた。
そして――なにもなかった空間に巨大な穴がニュージャージーたちの前に現れた。
ニュージャージー:
わっ!?いきなり強風が…って熱っ!?
一斉射したのはちょっとやりすぎかしら…我ながら主砲の威力には毎回驚かされるわね…
って、裂け目の「向こう」に艦影が!?
タイコンデロガ:
あの「ヘレナ」が言ってた指揮官がいる場所への道って…
ニュージャージー:
もしかしてこれがセイレーンの転送装置…!?
???:
上手くいった……こ、こんなに大きな穴が…
ニュージャージー:
は、ははは……
(もしかしてやりすぎたか…?いやあたしの責任じゃないわ。だって主砲で撃てって言われたし?)
???:
(向こうとの連携も上手くいったわね。ふぅ…危なかった…)
ニュージャージー:
これで頼まれたことをやったってことね!さあ、早く指揮官へと案内しなさいっ!
???:
は、はい
ニュージャージー:
(上手くいった……)
???:
強引にこじ開けたけど、これが指揮官のいる場所ヘと繋ぐ道よ
タイコンデロガ:
……次元の裂け目みたいね…でも向こうって禍々しすぎない?
もしかして、指揮官は違う世界のどこかに…!?
???:
そんなのセイレーンだってできないわ
ここも本当は大掛かりな転送装置なんだけど…海霧で上手く隠されているの
電探装置のジャミング、目視対策へのステルスクローク、そして感覚干渉の暗示機能も備えた化学煙幕
これがあのコンパイラの作った「海霧」…「海霧」の鏡面海域の正体よ
そして向こうは…さっあなたたちも見た「再現」の実験場よ
ニュージャージー:
つまり重桜の「駒」たちのいる集結地点ってことね
???:
ええ。指揮官がそこで私達を―――
いいえ、貴方達を…待っているわ
アーチャーフィッシュ:
な、なんだ!?地震?!
サンフランシスコ:
違う、あっちからの――ええと、地震じゃなくてとにかくすごい衝撃波だ!
ヘレナ:
レーダーに反応あり!識別信号は…ユニオンの艦隊!
「ヘレナ」のカウントダウンが0になった瞬間、「再現」の戦場のすぐそばから巨大な衝撃波が発生した。
しばらくして、海の様子が元に戻り――
ニュージャージー:
ユニオンの最大最強のブラック・ドラゴン――ニュージャージー、参上よ!
仲間の登場に自分も仲間たちも心が大いに奮い立った。
ニュージャージー:
指揮官はやっぱりこういう派手な登場が好きなんでしょ?ははは♪
まさかこちらが出港して1日も経たないうちに行方不明になるなんて…みんな心配してたわよ、全く
まあ、こういうのは指揮官のせいではなく、指揮官を誘拐したセイレーンのせいね
自分の責任ではないのだが、AF基地の救援に向かった自分が逆に救援される立場になったのは少し恥ずかしかった。
ニュージャージー:
あたしだけじゃなく、増援艦隊のみんなもいるわよ
タイコンデロガ、ボイシ、モリソン、そしてさっきまで通信でしか話せなかったもうひとりの「ヘレナ」。
彼女たち…そして信濃がいなければ、自分と仲間たちはもしかしたらあの量産艦に一生閉じ込められたままだったかもしれない。
???:
……再会したばかりでごめんなさい。最後にまだもう1回戦う必要があるわ
この鏡面海域の制御装置を破壊しないと、鏡面海域と海霧を解除することができないわ
ハッキングで防御システムを止められるのもそろそろ限界……
ハッキング…?
???:
ええ、この実験場の「駒」は基本素体の情報通り、かの大戦の「再現」を行うけど
ここまでは今までみんなが見聞きした通りだ。
???:
実験場の存続が脅かされる事態が発生したら、彼女たちはセイレーンの兵器と同じく防御システムに制御が移管されるわ
今彼女が言ったように、その防御システムをそろそろ止められなくなる。つまり――
???:
「駒」たちの役割は「再現の配役」からただの防御兵器に戻り――
部外者である自分たちを排除しに向かってくる……!!
???:
はい、私も一緒に戦うわ
ニュージャージー:
これよりニュージャージー以下4隻が指揮官の指揮下に入る!
さあ、指揮官が指揮するあたしたちの力をセイレーンに思い知らせてやるわ!
サンフランシスコ:
セイレーンの「駒」たちを全部倒した!ははは、楽勝楽勝!
一斉に攻撃してきた時にはどうしようかと思ったけど、大したことなかったわね
タイコンデロガ:
セイレーンの「駒」の強さが元に戻っている…?
「元に戻っている」って…?
ニュージャージー:
ここまで来る途中にもセイレーンの「駒」と交戦したけど、あの「駒」たちは「再現」の進捗に応じて性能や練度がどんどん強くなっていた
今戦ったセイレーンは…そうね、肌感覚だけど海霧に入った最初の頃の強さかな
……これは懸念事項として覚えておいたほうが良さそうだ。
???:
まだ気を抜いてはダメよ、こちらの狙いは鏡面海域の制御装置の破壊だから、どんどん抵抗も強くなっていくわ
「ヘレナ」と一緒に海霧の中で進んでいく。彼女の言う通り「駒」や量産艦からの攻勢が厳しさを増している。
制御装置を守るセイレーンは果たして……
???:
敵の艦載機が増えているわね。そろそろかしら
……この鏡面海域の制御装置を守っている「フネ」の居場所
…「フネ」?
???:
そう。私と違って、自分を見失った存在
一度助けられたけど、リュウコツを作り出した黒き力に圧倒された艦船
…………指揮官はこの世界でも似たような…ううん、まだ救えられる子を救ったわね
あの子と同じように、彼女のことも救ってあげてほしい
「彼女」とは一体……?
???:
………敵の艦載機が攻撃してくるわ。気をつけて
ニュージャージー:
レーダーに機影は特にないわ。……!
―――!!!
ニュージャージー:
この艦載機の数…鏡面海域の「駒」空母が全部ここに集まっているの!?
相変わらず敵艦の反応がないわ!これはさっきと同じくセイレーンのステルス能力…?
???:
違うわ。私に任せて!
ハッキング、クローキングモジュール!これで…!
これで「彼女」のことが見えるはずよ!
ニュージャージー:
サンキュー!はっきりと見えてるわ!…って、一隻だけ!?
???:
はい、それだけキューブの…「META」のポテンシャルが強いわ
戦場の様子を中止しながら、頭の中で「META」という単語の意味を反芻する。
聞き慣れない言葉だが、どうやら「キューブ」と関係している。
そしてこの「META」が「ヘレナ」が言った力の源であり……
???:
私達の作り出したキューブの性質が成すもの、それが「META」よ
つまり私達のキューブに封印されている禁断の力にして、呪い――
……謎の艦船たち「余燼」が持っている強大な力も「META」の成せる技だというのか。
???:
私達は「META」であり、そして一部の……フネが「余燼」に参加している
ニュージャージー:
つまりあなたが「余燼」ではないのは、そういう意味…
???:
………ええ
ニュージャージー:
(ボルチモアとエンタープライズたちが遭遇した「余燼」もレーダーに補足されない力を持っていた)
(指揮官の話だと重桜の祭儀の島を襲った「余燼」も姿を見せるまで誰も気づかなかった。それこそが彼女たちの共通の力なの?)
(だから「ヘレナ」はその「META」の偽装を破れる技術を持っているわけね)
…もしかして、同じ「META」の仲間を探している…?
???:
…………
それは今あなたが知るべきではないことよ
ニュージャージー:
いいわよ。別に無理してまで聞きたいわけじゃないし、あなたが本気で逃げようとしたらあたしたちじゃ捕まえられないし
一つだけ、あんたの言ってた「指揮官の味方」ってのはこの場限りなのかしら?
???:
…違うわ。私は指揮官の味方……ええ、ずっと
ニュージャージー:
なら一緒に来ればいいじゃない。何かが起きたら指揮官がなんとかしてくれるよ!
???:
……そんなの…できない
ニュージャージー:
無理強いはしないわ。あんたがそう決めているのなら
で、例の「彼女」を倒せば、この鏡面海域を解除できるってのは本当なのよね?
???:
はい、保証するわ
ニュージャージー:
じゃあ支援を頼むよ!どれだけ強いのか見せてもらおうじゃない!
???:
……はい!
??:
……………
ニュージャージー:
重桜の…蒼龍?いや、雰囲気が違う…あれが「META」だというの?
タイコンデロガ:
禍々しい雰囲気…遠くから見ただけでも威圧感を感じるわ
???:
蒼龍さんはここの鏡面海域の制御装置を手に入れたわ
ニュージャージー:
(「ヘレナ」の言う通り、この様子だと「余燼」と違って会話できそうにないね…)
(「余燼」は聞いてる限り似たような雰囲気みたいだけど、艦船と普通に会話していたようね)
???:
……蒼龍さん………
ニュージャージー:
大丈夫よ。あたしがいるし、指揮官もいるから、彼女をあんたと同じ言葉を喋れる状態に――
???:
………多分…もう……
ニュージャージー:
……どうしたの?
「ヘレナ」の表情が翳る。
???:
あの「フネ」は指揮官が知っている蒼龍さんではないわ
「META化」の過程は一方通行、あのようになったら「余燼」も彼女のことにはもう……
だから安心して…戦って
まるで道を誤った自分の仲間――のような感情を持っている「ヘレナ」。
???:
(小声)アンジュさん、オースター博士…
この名前、北方連合でもどこかで……
???:
「ソウゾウシュ」と「シンパンシャ」のことよ。指揮官は知っているの?
……エンタープライズが指揮官のことを気にかけている気持ちが分かったわ
………?
???:
ごめんなさい。これ以上この話をするつもりはないわ
选择项1:戦いに集中しよう
选择项2:…………
蒼龍·META:
――――!!
???:
……来る!みんな、気をつけて!
アーチャーフィッシュ:
セイレーンの上位個体並…いや、もっと強い!
アルバコアだったら一回離れて頭脳戦にするんだけど――
???:
アーチャーフィッシュ、今そちらに来ているわ!
アーチャーフィッシュ:
あたしは動き回る方が好きよ!
???:
魚雷攻撃で動きを止めた…!
ニュージャージー:
ファインプレーよアーチャーフィッシュ!次はこのあたしの出番!
最大最強のブラック・ドラゴン、その力を思い知らせてやるわ!全砲門、ファイア!!
―――!!
蒼龍·META:
!!
ニュージャージー:
直撃なのに無傷!?こういうのあまり好きじゃないけど!
???:
ここまでの火力でも装甲を貫けないなんて…!一体どうしたら……
ニュージャージー:
そうだ!この鏡面海域ってセイレーンの強さを設定できるわよね!試しに蒼龍にも試してみて!
???:
ハッキング…?ううん、ここはやってみるしかないわ…
(ヘレナも…お願い、手伝って……!)
ミラーハッキング――よし!できた!
少しの間だけ、この鏡面海域の力を使わせてもらうわっ!
指揮官、全力攻撃の指示を!
私達を――勝利に導いて!!
――全艦、全機、火力全開!
持てるすべての力を…こちらの想いをぶつけよう!
艦船たち、そしてもう一人の「ヘレナ」の全力攻撃で、蒼龍の姿のMETA艦船は少しずつだがダメージが蓄積していった。
膝を折るにはまだ及ばないが、しかしその回避行動も、艦載機の操縦も戦いが始まった直後と比べて精度が落ちていた。
このままいけば、いずれ勝機がこちらに訪れるだろう――
ニュージャージー:
これで最後よ!
吠えろ!ブラック・ドラゴン・バスター!
うわっ、適当に必殺技っぽい技名叫んだら本当に破壊力が増した!
というか一発でまさかの木っ端微塵に…!?
???:
違うわ。あれは倒したのではなく……
ええ、逃げたわね
サンフランシスコ:
でも鏡面海域の制御装置はどうすんの?このままじゃあ皆ずっとここに閉じ込められたままよ
ニュージャージー:
せっかく一生懸命叫んでたのに、めっちゃ恥ずかしい…!
タイコンデロガ:
みんな、落ち着いて…あれだけの傷を負ったのだから移動するにしても…遠くに行けるかどうか分からないわ…
ヘレナ:
どうしよう…
タイコンデロガ:
ちょっと待って、ユニオン識別信号の艦載機がコチラに向かっているわ!
???:
ニュージャージーさん、ボイシ、モリソンちゃん!迎撃しないで!
あれはきっと…私の仲間の艦載機よ!
ニュージャージー:
了解!
――!!
まるで海霧をかき消す勢いで現れた数機の艦載機が、ついさっきまで「蒼龍」のいた位置に爆弾を投下した。
爆発。そして――
数分もしないうちに、霧に包まれていた戦場が平和な海へと戻っていった。
???:
まさか、転送装置がもう一個あったなんて……
ニュージャージー:
どうする?もう一発撃って追っかけてみる?
???:
…大丈夫よ。あの転送装置も鏡面海域と一緒に消えちゃったから。それと……
ニュージャージー:
むぅ、あたしの砲撃じゃ穴どころか装置そのものをふっとばしてしまいそうって言いたいわけ?
タイコンデロガ:
よっぽどトラウマになったのね……
???:
(蒼龍さんがどうやって鏡面海域の制御を手にしたのか、調べなきゃ)
(…あと、指揮官をなぜここに巻き込んだのかも…)
……そろそろ行かせてもらうわ
选择项1:「ヘレナ」について聞いてみる
选择项2:「余燼」について聞いてみる
…………まだあなたがそれを知るときじゃないわ
私も、あなたのことをそんなに知らないから
語りたくなければ仕方がない。…強引に捕まえるのはもちろん論外だが。
それにさっきの艦載機――つまり彼女の仲間もまたどこかでこちらの様子を窺っている可能性が高い。
???:
……指揮官と一緒に、頑張って幸せになって、「私」
ヘレナ:
……わ、私?
???:
…………もう行くわ
ニュージャージー:
また会いましょう
???:
ええ、いつか……
言葉を残すと、もうひとりの「ヘレナ」は仲間の艦載機と一緒に水平線に消えていった。
ニュージャージー:
本当に追わないの?「余燼」といいこの子といい、ここまで明らかに怪しい連中を野放しにして
謎の存在「余燼」と「META」――もちろん調べたいが、彼女たちへの接し方はまだ色々と考えなくてはならない。
ニュージャージー:
「仲間になれるかもしれない」って?さっすが指揮官ね。ははは♪
じゃあそんなお人好しの指揮官には今回の作戦のレポートをよろしく~あまり働きすぎないようにね♪
数日後・ユニオン某所
サラトガ:
「META」と余燼の関係性について…うーん、今調べられるのはこれぐらいね…
航行記録はまあ、だいたい話聞いたし、目ぼしい情報はないね
AF作戦と「再現」の関係性について…鏡面海域での「再現」はもう分かったからなんとも
「蒼龍」と思しき艦船との交戦レポート…これはいいわね!ほかの子とも確認したほうがいいかも
ニュージャージー:
そこはあたしに直接聞けば良くない?
サラトガ:
後で聞くよ。でもみんなのレポートを整理したいからね
あの謎の「META」?の人たちだけでも色々事情がありそうだし
指揮官のことを狙ったりする子もいるし、あまり関心がない子もいる
(…というかそれを考えると指揮官ってみんなから奪い合いになってない!?)
(北方連合滞在中はお宝探しとか誘われてたし、みんなで心配していたね…)
(でも同じことをユニオンもしているのよね…最前線に何度も行ってもらったり、今回は思いっきり鏡面海域に拉致されたし)
……やっぱり指揮官のことを、私達がもっと大切にしないと
メンタルキューブの適性云々とか関係なく、あの人がいっちばん、私達の世界を守っているわ
(指揮官がいなかったら、アズールレーン…ううん、レッドアクシズを含む「アズールレーン」はどうなっちゃうんだろ)
……………
サラトガちゃん、もっと頑張らないとね!
ニュージャージー:
あたしも、指揮官のために頑張るわよ!
サラトガ:
そこは相槌打たなくていいから!
ええと、次の指揮官が指示した調査内容は……
??·??
ヘレナ(META):
やっぱりセイレーンに利用されていないか心配だわ
……ごめんなさい。私転送装置のこと気づいていなかった
???:
大丈夫よ。誰しもミスをするときがあるから
ヘレナ(META):
指揮官、もう「余燼」のことを調べているのね
???:
………ヘレナは「余燼」のことが嫌いだったの?
ヘレナ(META):
「余燼」は……知りたくないわ
???:
……………無理する必要はないわ
ヘレナ(META):
……うん
???:
お互い過去のことを詮索しないと決めたからね
ヘレナ(META):
過去を知るのは、無意味なことよ
過去の懺悔をし続ける余燼、
過去の使命にしがみつくセイレーン
???:
……過去に縛られ続けてきた私達
みんな同じよ。螺旋に囚われ、海という鏡にある自分だけを見て
ヘレナ(META):
………………指揮官は、違う
???:
…………ええ、指揮官は違うわ
ヘレナ(META):
ところで体調は大丈夫?まだ過去のことが見えたりする?
???:
私はまだいいわ。それより蒼龍のことよ
このままでは、彼女はいずれ――
ヘレナ(META):
私に任せて
???:
ヘレナちゃん、無理をしないで。あなたまでそうなったら…
ヘレナ(META):
……
私は知らないわ。過去のことを
コード…エンタープライズの足取りはまだ捕捉できていないの?
???:
うん、私にはなにも…
ただ、彼女がしてきたことのおかげで、私達はしばらくはアビータに察知されずに済むわ
ヘレナ(META):
……まだ「さまよって」いくのね。私たち