碧蓝回忆录日服文字版/虚畳なりし限象
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2021-08-16更新
最新编辑:芙兰朵露琪露诺
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更新日期:2021-08-16
最新编辑:芙兰朵露琪露诺
虚畳なりし限象
タラント港にて
リットリオ:
なるほど…つまり我々サディア艦隊を鉄血の基地に「見学」として招待してくれるってわけか?
プリンツ・オイゲン:
ええ、盟友であるサディアとの情報共有と連携を重んじる鉄血として、総旗艦殿にぜひ我が基地の演習風景をご覧頂きたく
リットリオ:
これはまた、微妙なタイミングに誘ってくれたものね…
プリンツ・オイゲン:
そう?てっきりサディアの方は好奇心に負けて手元の仕事を投げ出す勢いで積極的に食いついてくれるものかと思っていたわ
リットリオ:
しかし、この基地の場所…よく見たら昔セイレーンに落とされた場所じゃない。奪還したのかしら?
プリンツ・オイゲン:
そこは着いてからのお楽しみということで
リットリオ:
うむ……ヴェネトに行かせるかどうかはともかく、これは確かに魅力的な提案だ
しかし、いくら私がヴェネトより適任だろうと、総旗艦が易々とサディア…地中海から離れるわけにはいかないね
プリンツ・オイゲン:
フリードリヒは総旗艦ご一同とどうしても会いたいそうよ?
リットリオ:
………では、こちらは代表を立てて向かわせるとしよう
その代表は私とヴェネトに近く、かつ「素直」な子だが、それでもよいだろうか?
プリンツ・オイゲン:
ええ。ただし今回の「見学」は鉄血が外に出していない機密研究に関するものがあるから、信頼できる相手でお願いしたいわ
リットリオ:
それなら心配ない。「見学」で知ったことを一切口外しない子であると保証しよう
プリンツ・オイゲン:
頼もしいわね。では、出発まで部屋でくつろがせてもらうわ
カラビニエーレ:
カラビニエ―レ、入ります!
リットリオ様、何かご指示が?
リットリオ:
ああ、よく聞いてくれたまえカラビニエ―レ、あなたに重要な任務を――
「座標設定、完了」
「鏡面海域ナンバー:T2-XI-N002」
「プロフィール、照合」
「操作権限、確認」
「セキュリティシステム、解除」
「上書き、開始」
「制御権限、変更完了」
「次の指示まで待機――」
鉄血・浮島要塞E2
ペーター・シュトラッサー:
(鉄血の秘密基地――浮島要塞。基地の施設更新が今終わろうとしている)
(かかった時間は想定内。更新対象施設、浮島飛行場――できれば飛行船の格納施設も追加したかったけど)
(実戦に耐えうる飛行船は‥……うぅ……ふぅ、時間ね)
ハインリヒ、ヴェーザー、フィーゼ、いる?
ヴェーザー&Z46:
はい
ペーター・シュトラッサー:
浮島要塞の施設更新が終わった。本日より私と卿らの訓練項目に対空戦闘が加わるわ
施設の利用方法は手元に送ってあるから熟読するように。それと、最初の訓練がてらに島の施設の点検も行うから、
艤装のコンディションをチェックして、3時間後、浮島B3に集合しなさい
Z46:
了解した
ヴェーザー:
3時間後ね、わかったわ。ハインリヒは?
Z46:
経験論で言うなら、このサロンにいないなら大体「特訓」しているはずであろう
ヴェーザー:
例の「特訓」か?私からすれば遊んでいるだけに見えるけど…
ペーター・シュトラッサー:
あのコらしいわ。…卿らは引き続き準備を続けなさい、こちらからハインリヒに知らせるわ
浮島要塞訓練エリアF
プリンツ・ハインリヒ:
装甲艦 los!Los!
P級装甲艦――プリンツ・ハインリヒは浮島要塞の訓練エリアで浮標を使って航行しながら射撃訓練(?)を行っていた。
ペーター・シュトラッサー:
(このコースを走るのに17秒、ドリフトしながら主砲を撃つつもりなら次の射撃までに照準できる時間ははわずか3秒間――)
――――――!!
ハインリヒの艤装――「アイゼンくん」と呼ばれた鋼鉄の巨獣の砲口が唸った。
プリンツ・ハインリヒ:
やった!アイゼンくん!
ペーター・シュトラッサー:
(ちょっと照準の時間が想定より遅かったけど及第点ね。……って今は感心してる場合じゃないわ)
ハインリヒ――
プリンツ・ハインリヒ:
ペーター?あ、ちょうどいい所にやってきた!射撃標的を復活させてくれないかな!
ペーター・シュトラッサー:
ん?あ、いいわよ。ここをこうして……終わったわよ
プリンツ・ハインリヒ:
おっ、出てきた出てきた!射撃練習用の標的!
ペーター・シュトラッサー:
そんなに驚くことかしら?いつも訓練に使っているじゃない
プリンツ・ハインリヒ:
そう?ペーターはすごいと思わないの?
ペーター・シュトラッサー:
いや、確かにすごい技術とは思うわ。鏡面海域
プリンツ・ハインリヒ:
じゃあ驚いてもいいじゃない!ありがとうペーター!さて、次はあっちの――
ペーター・シュトラッサー:
(しまった。またこのコのペースに乗せられちゃったわね…)
ハインリヒ、このあとの点検と訓練なんだけど――
プリンツ・ハインリヒ:
よぉし、次の戦闘でみんなに特訓の成果を見せちゃうぞー!アイゼンくん!
ペーター・シュトラッサー:
(……………どうやら一度大人しくさせたほうがよさそうね)
プリンツ・ハインリヒ:
プリンツ・ハインリヒ、全弾はっし――って痛っ!
ペーターの艦載機が投下したミニ訓練弾がハインリヒの頭に直撃した。
プリンツ・ハインリヒ:
ペーター!?なんでいきなり!?
ハインリヒの問いを受け、ペーターは何も言わず懐中時計を取り出して掲げてみせた。
プリンツ・ハインリヒ:
あっ……もうこんな時間?
ペーター・シュトラッサー:
卿が私の話を聞かないから行動に出たまでよ。今日の訓練の集合場所は――
プリンツ・ハインリヒ:
あわわわ!もう時間がない!アイゼンくん、ちょっと整備して早く整備エリアに戻ろう!!
ペーター・シュトラッサー:
浮島B3よ。このコ、私より先に行ってどうするつもりなの……
浮島要塞B3
ペーター・シュトラッサー:
…というわけで、卿らも知っての通り、本日浮島要塞の飛行場施設の整備・更新が完了し、これより施設機能の点検を兼ねて対空訓練を行う
今回の更新により、浮島飛行場の規模が強化されただけでなく、敵機のシミュレーションもより本物の「駒」に近くなった
よって、今日は各陣営を模したセイレーンの「駒」を仮想敵とする
ヴェーザー:
ペーター、質問していい?
ペーター・シュトラッサー:
どうぞ
ヴェーザー:
資料を読んだけど、つまり今日の敵はセイレーンの量産艦以外にも鉄血や重桜・サディアの艦船と同じ形をした敵もいるってわけね
ペーター・シュトラッサー:
そうよ
プリンツ・ハインリヒ:
そうなの!?…コホン!そうなの、ね!私も知ってたよ!
でも本当にいいの?「駒」のことがあるとはいえ、仲間のデータを使って訓練の標的を作るなんて…
ペーター・シュトラッサー:
最新のデータを使った浮島飛行場のシミュレーション機能がどこまで強化されているか、実戦演習でテストするのがもっとも合理的よ
…ちゃんと説明資料を読んでいれば分かる話に、私に説明する時間を割かせないで
プリンツ・ハインリヒ:
そ、そうだよね
ペーター・シュトラッサー:
ほかに質問は?ハインリヒはもう分かってくれたみたいね
ヴェーザー&Z46:
ええ
問題ない
ペーター・シュトラッサー:
訓練いえ、実戦演習といっても簡単よ。目標エリアに現れる演習標的――艦艇だろうと飛行機だろうと全部撃破すること
それと演習の効果を期して各演習弾の重さを15%上げてるから、各員それを踏まえて演習を行うように
プリンツ・ハインリヒ:
スパルタだ…
ペーター・シュトラッサー:
怪我をしないような訓練なら実戦で命を落とすわ
Z46:
真に迫る実戦演習なら経験済みだ。この訓練もその一環と思って良い
プリンツ・ハインリヒ:
フィーゼちゃんもそう言うのなら…よし!それで訓練はいつ始まるの?早く今日の特訓の成果を新しい敵に試したくて――
ペーター・シュトラッサー:
やる気だけは十分のようね、ハインリヒ。では、これより浮島要塞機能点検兼実戦演習をかい――
プリンツ・ハインリヒ:
アイゼンくん!早く行こう!Los!Los!
ペーター・シュトラッサー:
………開始するわ
ヴェーザー:
いつも通りね。ふふ
ペーター・シュトラッサー:
ハインリヒ、聞こえてる?
プリンツ・ハインリヒ:
よく聞こえてるよ!
ペーター・シュトラッサー:
敵の艦載機の攻撃パターンが変わったわ。浮島要塞の制圧に向かってる?
プリンツ・ハインリヒ:
そうそう!今飛行場近くの敵を撃破して向かってるところ!
ペーター・シュトラッサー:
ちょっと待て、戦闘に入る前に【浮島要塞の制圧状況】を確認しなさい。戦闘中に敵機から奇襲されるような状況がないように
プリンツ・ハインリヒ:
了解!
ペーター・シュトラッサー:
標的のセイレーン待ち伏せ艦隊を発見したわ。人型の「コンダクター」が今回の攻撃対象のようね
プリンツ・ハインリヒ:
こういうのでもランダムで出現させることができるんだ…やっぱりすごいね!ペーター!
ペーター・シュトラッサー:
だからちゃんと説明資料を……こちらとヴェーザーは今艦載機の対処をしてるわ。コンダクターの撃破は任せたわよ
プリンツ・ハインリヒ:
おっけー!ちゃっちゃとやっつけてくる!
…その前に、コンダクターってどんな感じのやつでしたっけ?
ペーター・シュトラッサー:
………卿は…いやあんたそれもわかってないの!?
プリンツ・ハインリヒ:
だってこの実験場?の敵が弱いもん!毎回あっという間に倒しちゃって顔を見る暇もないし!
と、とにかく今回は――
ペーター・シュトラッサー:
…もういいわ。あそこにいるイソギンチャクっぽい兵装を装備しているセイレーンがコンダクターよ
ほら、さっさと攻撃を始めなさい。卿の時間も私の時間もこれ以上無駄にするのは許さないわ
プリンツ・ハインリヒ:
ペーター、スマッシャーとかスカベンジャーとかコンダクターとか色々いて紛らわしいし、もうデータベースでの名前を「イソギンチャク」にしたら良くない?
ペーター・シュトラッサー:
全っ力で拒否するわ。通信を切るわよ
プリンツ・ハインリヒ:
わ、分かったから怒るな!アイゼンくん、早く敵をやっつけちゃお!
浮島要塞B7・メンテナンスエリア
プリンツ・ハインリヒ:
ただいま~全部倒したよ
ヴェーザー:
あら、ご苦労さん。次の訓練が始まるまでまだ時間があるから、艤装の整備でもやってて
プリンツ・ハインリヒ:
いいよー。そういえばペーターは?
Z46:
次の敵の難易度を調整したい、と言って先に行ったわ
プリンツ・ハインリヒ:
更に難しくするの?今日のペーターっていつもと様子がちょっと違う気がしない?浮島要塞の改修が終わってウキウキしてるというか…
ヴェーザー:
そう?普段とそう変わらないと思うわね…
Z46:
同感だ
プリンツ・ハインリヒ:
……んーそうかなー?私はやっぱり違う気がするんだよねー
ヴェーザー:
ハインリヒの直感って当たったことあったっけ?
プリンツ・ハインリヒ:
ないね。…って、またこの間の話?
通信に答えてくれないのは「駒」、よくわからない通信してくるのも「駒」、いきなり攻撃してくる敵ももちろん「駒」よね!
Z46:
前よりは進歩したようだ。喜ばしい
ヴェーザー:
いきなり攻撃してきた敵はもう「駒」かどうか関係ないでしょ?
プリンツ・ハインリヒ:
あ!だからこの間の対抗演習であんなに攻撃してきたんだ!ヴェーザー!
ヴェーザー:
ふふふ、次もよろしく頼むわ
浮島要塞B7-D11防衛区画
ヴェーザー:
「ロイヤル艦隊」のおかわりね…ペーターのやつ、ノリノリで敵を追加してない?
Z46:
ハインリヒの言う通り、いつもと違うと見た
プリンツ・ハインリヒ:
やっぱり私の言うとおりでしょ!ペーターまだ戻ってこないのかな
ヴェーザー:
その話だけど、さっき通信施設に異常が発生したって調べに行ったらしいわ
プリンツ・ハインリヒ:
やっぱり実験場の管理は大変だな…
ヴェーザー:
ペーターがいないとこちらの航空戦力も落ちるわ。あなたもあまり味方の艦載機展開範囲から離れすぎないようにして
プリンツ・ハインリヒ:
分かってるよ!さあみんな、次のエリアに行こう!
浮島要塞D11防衛区画
ペーター・シュトラッサー:
(おかしい…一通り点検したけど問題なんてない…これは単なる偶然?)
プリンツ・ハインリヒ:
ペーター、迎えに来たわよ
ペーター・シュトラッサー:
訓練に参加できずすまないわ
ヴェーザー:
いいわよ。そもそもこの訓練、施設点検のためでもあるもの。通信施設の異常原因は分かった?
ペーター・シュトラッサー:
少なくとも通信装置…つまりハードウェアの故障ではないわ。もしかして私たちではなく、こちらの定時通信の受信側にトラブルがあったのかも
あとは饅頭たちにでも任せる。で、今日の訓練相手はどうだった?
Z46:
陣形、戦術、策略…ただの訓練プログラムではなく、より本物の「敵」に近づいたと感じた
ヴェーザー:
そうね…例の「ロイヤル艦隊」の艦載機はアズールレーン側の最新鋭機なのかしら?
ペーター・シュトラッサー:
ええ、特別な手を使ってまで手に入れた情報よ。活用しないとね
ヴェーザー:
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」か
うちと比べて、向こうは鉄血の航空戦力があの手この手で充実してきているとは知らないでしょうね
ペーター・シュトラッサー:
簡単に知られては困るわ。ただでさえカンレキのあるフネに限りがあるもの
プリンツ・ハインリヒ:
つまり、私たちがこの実験場の守備に任されたのもその情報を隠すためってこと?
Z46:
……「実験場」
プリンツ・ハインリヒ:
セイレーンによって放棄された実験場、そして「鏡面海域」の発生装置、たしかにものを隠すには十分すぎるぐらい有効的ね
Z46:
カンレキのない艦船は鉄血では少数ゆえ、その戦力の存在を察知されないために、鏡面海域を利用する……
…………鏡面海域の「駒」を敵として訓練を行うこと、すなわち
紫紺の海に建設された、闇に包まれた「工場(ファブリック)」にして「射爆場」…
プリンツ・ハインリヒ:
まあ、そもそもここを建設したのはセイレーンだし、私達が利用したって何も悪くないからね!
Z46:
私たちだけでなく、以前にも鉄血の艦船がここを使っていた
ヴェーザー:
初耳ね。誰がここを使っていたの
Z46:
……秘密
プリンツ・ハインリヒ:
秘密と言われたら気になるー!
ペーター・シュトラッサー:
………雑談はここまでよ。こっちの仕事が終わったわ
さあ次の訓練エリアに直行しなさい。「ロイヤル艦隊」の「駒」の準備ができているわ
プリンツ・ハインリヒ:
はーい!
――――――!!
キング・ジョージ5世?:
……………………
ペーター・シュトラッサー:
「駒」の撃破を確認。訓練項目終了よ
プリンツ・ハインリヒ:
まあ「駒」は所詮この程度ね!楽勝楽勝!
ペーター・シュトラッサー:
じゃあ次は例の女王陛下とイラストリアスを3人ずつ追加しようか?
Z46:
苦戦は必至と思わざるを得ない
プリンツ・ハインリヒ:
すいませんでした今のは聞かなかったことにしてください!
ペーター・シュトラッサー:
調子に乗りやすい奴め
ヴェーザー:
次の「重桜艦隊」はどうする?訓練項目はまだ残っているけど
ペーター・シュトラッサー:
いいえ、残りは午後に回すわ。時間が惜しいけどむやみに挑むより休憩を取って能率を上げたほうがマシよ
プリンツ・ハインリヒ:
やった!じゃあ食堂に行ってくる!
Z46:
私も要塞の方に戻るとしよう
ヴェーザー:
‥……みんな行ったわね。ペーター、まださっきの通信異常のことに悩んでる?
ペーター・シュトラッサー:
ここの機材はセイレーン技術によるもの。なにもないときにいきなり異常発生ってのは考えられないわ
ヴェーザー:
つまり?
ペーター・シュトラッサー:
誰かが接触を試みていた。セイレーンかもしれないし、アズールレーンかもしれない……いいえ、アズールレーンの技術では無理ね
ヴェーザー:
いつまでもこんなことに気を取られていたら休憩できなくなるわ。ここは私に任せて、ペーターは昼食でも食べてちょうだい
ペーター・シュトラッサー:
恩に着るわ。ヴェーザー
海
金剛:
なにもない所にいきなり海霧が発生し、艦隊を覆いました。さて、思いつくことは何かありませんこと?
山城:
方向を失って迷子になっちゃいますね…ううん、ほかの計器に異常がなかったら迷わないかも?
翔鶴:
そもそも海霧が急に発生するのも異常ですから、それに続いて他の異常も発生したとしてもおかしくありませんね
瑞鹤:
これってつまり鏡面海域……!?
山城:
鏡面海域……!?
瑞鹤:
鏡面海域が発生したら、まず考えるべきなのは中枢装置を叩いて鏡面海域を解除することね
金剛:
もしくは鏡面海域から脱出する方法……航行方向を変えずに海域を「突っ切る」のがもっとも一般的なやり方ですわ
瑞鹤:
うん。さっきからずっと方向をそのまま前進してきたし
翔鶴:
あーあ、先輩たちの使いっ走りは辛いです~なんで私たち、貧乏くじを引いちゃったのかしら~ねえ瑞鶴?
もしかして先輩たち、わざと私たちを遠回りさせたんじゃないでしょうね‐
瑞鹤:
か、考えすぎよ翔鶴姉!ほら、これはきっといざという時の撤退路を作るために――
翔鶴:
なるほどね~。撤退路を使うときに突然セイレーン海域がありましたーじゃあ加賀先輩が「ゲキオコ」になりますからね~
瑞鹤:
………………………………………
まあ幸か不幸かこうして鏡面海域を発見したし!
金剛:
……………ええ、計器が狂い始めましたわね…
山城:
山城、どうやら今日は運が悪い日なんですぅ…
翔鶴:
同感ですわ。瑞鶴、これからは――
――――――!!
金剛:
鏡面海域といえばセイレーンの待ち伏せですわね!突っ切るのも許してくださらないみたい
瑞鹤:
じゃあ戦うしかないわね!みんな、戦闘準備!
浮島要塞D11防衛区画-D12防衛区画間
ペーター・シュトラッサー:
フィーゼにヴェーザー、ハインリヒ…時間よ。訓練の続きを始めるわ
プリンツ・ハインリヒ:
「駒」の「重桜艦隊」と「鉄血艦隊」を倒せばいいのよね!
ペーター・シュトラッサー:
そうよ。ただし、以前のままの編成だと流石に手応えがなさすぎるから、少し「駒」を追加したわ
プリンツ・ハインリヒ:
来るなら来い!この私が全部片付けてやるわ!
ペーター・シュトラッサー:
勇ましいわね。こっちの陣形は午前中と同じく、ハインリヒとフィーゼは前衛で、私とヴェーザーで航空支援を行うわ
みんな:
了解!
ペーター・シュトラッサー:
もう一つ、気をつけてほしいことがあるわ
例の通信異常の原因がまだ判明していないから、一応この実験場のセキュリティーレベルを上げたわ
よって、D12防衛区画全ては現在進入禁止になっているのよ
プリンツ・ハインリヒ:
訓練標的を追撃するときでも入っちゃだめなの?
ペーター・シュトラッサー:
だめに決まってるでしょ。そもそもD13区画より先は量産艦でも実弾装備で展開しているから、標的がそこにたどり着いたら木っ端微塵ね
少なくとも通信装置の異常が判明するまではセキュリティーレベルを維持するつもりよ
ヴェーザー:
D13区画より実弾装備って…侵入者に無差別で攻撃するモードだっけ?
プリンツ・ハインリヒ:
ちょ、ちょっとやりすぎじゃない?もしここに味方艦隊が入ってきたら…
ペーター・シュトラッサー:
来訪する予定なんてないし、通信でみんなにはしばらく来ないようにって打電してるもの。万が一誰かが巻き込まれても量産艦の配置を解除すればいいわ
プリンツ・ハインリヒ:
さすがペーター、よく考えてるね!
ペーター・シュトラッサー:
当然よ。ここはよそからすればあくまで「セイレーンの鏡面海域」だから、何も抵抗がないとかえって怪しまれるわ
プリンツ・ハインリヒ:
そうと決まれば、次の訓練項目に入っていいよね!
ヴェーザー:
そんなに焦らなくてもいいと思うわ
ペーター・シュトラッサー:
…もう時間だから、ちょっとは焦りなさい
――――――!!
プリンツ・ハインリヒ:
「駒」の赤城を撃破したよ!
Z46:
こちらも、神通の「駒」の撃破に成功した
ヴェーザー:
よし、これで「重桜」の「駒」も片付けたわね。そろそろ次のエリアに向かっていい?
ペーター・シュトラッサー:
…………おかしい。重桜の艦載機がまだいる
ヴェーザー:
「駒」の空母が破壊されたら、艦載機も無力化されるはず…もしかしてまだ「駒」が残っている?
ペーター・シュトラッサー:
そんなはずないわ。………っ!?
ヴェーザー:
どうしたの?
ペーター・シュトラッサー:
こちらが設定した「駒」じゃない。演習弾じゃなくて実弾装填機よ!
ヴェーザー:
設定が狂ったとは思えないわ。浮島要塞の装置に故障でもあったのかしら
ペーター・シュトラッサー:
故障か、もしくは……ううん、そんなはずがない……
プリンツ・ハインリヒ:
ペーター!大丈夫?さっき重桜の艦載機とかなんとかって……
Z46:
通信チャンネルで聞いた
ペーター・シュトラッサー:
何かしらの手違いでD13区画以外にも「駒」と量産艦艦隊が展開されているわ。しかも実弾でね
プリンツ・ハインリヒ:
そんなのありえる??
ヴェーザー:
ありえるも何も現にそれが起きてるのよ。そもそもこのセイレーン装置、ビスマルクでも100%把握できているわけではないしね
ペーター・シュトラッサー:
今の所、外周にある侵入者対策用の量産艦と同じに見えるわ
プリンツ・ハインリヒ:
そっか……これからどうする?
ペーター・シュトラッサー:
一回合流するわ。とりあえず「駒」の空母を探し出して、施設に被害を与えられる前に破壊しなきゃ
演習弾から実弾への換装も忘れずに
Z46:
了解した。後ほどまた会おう
プリンツ・ハインリヒ:
アイゼンくん!実戦だよ!しっかり頑張ってね!
ペーター・シュトラッサー:
重桜の艦載機、四散して逃げたわ。「駒」の行動ルーチンにも障害が発生したのかしら
全部追うのは無理ね。ヴェーザー、空母を発見できた?
ヴェーザー:
予定外の区画に配置された重桜の量産艦艦隊は見つけたけど、空母はいないようね。どうやら装置の故障というより…
ペーター・シュトラッサー:
……………あまり考えたくないけど、セイレーンの介入ね
ヴェーザー:
うん。ここの装置を操作できるのは私たち以外だと、作った張本人のセイレーンしかないわ
ペーター・シュトラッサー:
まさか、こんなことが起きるなんて……
D13区画の制御権限はまだこちらが握っているわ。ヴェーザー、あの量産艦たちをうまく誘導できるかしら?
ヴェーザー:
ペーター、もしかして…
ペーター・シュトラッサー:
ええ、卿の思っている通りよ。…フフフ、この実験場の主が誰か、決めようじゃない…!
翔鶴:
鉄血の艦載機、中々しつこいわね…瑞鶴、このまま撹乱し続ければいいの?
瑞鹤:
はい、翔鶴姉!敵の陣形をバラバラにして、数の利を活かして敵を各個撃破よ!
翔鶴:
はいはい~…しかし、「駒」の艦載機とは思えないほどの強さですね…
瑞鹤:
ここに鉄血の空母がいるってこと…?でも赤城先輩、グラーフ・ツェッペリンなら鉄血本土にいるって…
そもそも、鉄血の空母がなんでいきなりこちらを襲ってくるの!
翔鶴:
そこはほら、重桜の「駒」と遭遇したんじゃない?もしかしたら鉄血も私達のことを「駒」だと勘違いしているのかも?
金剛:
私は艦隊の位置が心配ですわ。海霧を抜けたと思ったら更に大規模な鏡面海域だなんて、今はどこまで来ているのでしょう…
瑞鹤:
……さっぱり分からないわね…隣に妙な島と建物があるし、どう見てもセイレーンの実験場だけど、ここらへんの航行記録にそんなの載っていないし
金剛はこの島々に見覚えがあるの?
金剛:
全くありませんわ。南方大陸航路にこんなに島が密集しているところなんてありませんもの
山城:
鏡面海域に迷い込んでしまいました…金剛ちゃん、どうしよう
金剛:
どうもこうもありませんわ。セイレーンの実験場やら海霧やら鏡面海域は現実に違いありませんっ
あとの作戦のために戦力を温存しようというのでしたら、一刻も早く脱出経路を探すことに集中すべきですわ!
瑞鹤:
金剛の言う通りね。ごめん翔鶴姉、やっぱり鉄血艦載機を撒くのを優先して!鏡面海域から脱出する!
金剛:
鉄血艦載機の追跡から逃げる間に島々の位置も把握してちょうだい。戦わずして偵察できるチャンスは今だけかもしれませんわ
翔鶴:
了解よ!任せてください!
瑞鹤:
翔鶴姉、頼んだよ!みんな、引き続き警戒陣形で行こう!
鉄血浮島要塞周辺
U-37:
ようこそ鉄血の秘密基地・浮島要塞実験場へ!案内任務って潜航任務と比べるとおしゃべりできる相手がいて楽しいね~!
カラビニエーレ:
ここが目的地ですか?すみません、鉄血の施設らしきものは見当たらないのですが…
ニュルンベルク:
そうですね…U-37、本当にここであっているのでしょうか…?
Z28:
もしかして秘密基地って、もっと小さくて可愛くて、この廃墟のどこかにあるオフニャハウスみたいなものですか?
Z24:
ククク…闇に隠されし恐怖の真実を見通せる目を持たんとは…やっぱり凡愚はこの魔王(デビルロード)たる我に及ばんのだ
カラビニエーレ:
や、闇に隠されし…恐怖の真実……!
ニュルンベルク:
ひぃ!?ニーシェだけが知っている場所ってこと!?
Z24:
ニーシェと呼ぶな!…コホン、暗闇に隠されし瞳、確かに我はすでにそこを知っている
Z28:
???
Z24:
だがあれは蠱惑の魔眼の持ち主でも知り得ぬ真実。闇が光を飲み込むまではモータルなどには永遠に――
プリンツ・オイゲン:
つまり「わたしにもわからない」ってことね
Z24:
お、オイゲン!?
プリンツ・オイゲン:
図星のようね。ふふっ
ニュルンベルク:
ここは昔鉄血が掌握した海域でしたけど、セイレーンが現れたときにあっという間に奪われました
そして戦略的な価値が低いし航路からも離れていたから、ずっと奪還せずに放置していたんですよね
プリンツ・オイゲン:
そういうことよ
ニュルンベルク:
ふん、そういうこと……ですっ。その後何が起きたのでしょうか?
U-37:
それを知るにはもう少し前に進まないとね~今見えているのは真実を隠すための幻にすぎないんだから!
カラビニエーレ:
一体どういう技術を使って秘密基地を…
プリンツ・オイゲン:
企業秘密よ。「竜騎兵」ちゃん
カラビニエーレ:
はっ。申し訳ございません
プリンツ・オイゲン:
……冗談よ。これを見せるためにサディアを招待したのよ
ただ…説明するより、直接見せたほうが実感できると思うしね
U-37:
(オイゲン、ちょっといい?出迎えてくれる人が見当たらないけど…)
プリンツ・オイゲン:
(別に大丈夫よ。秘密漏洩防止のため出発直前に打電したから、まだ準備途中かもしれないわ)
(ま、最悪の場合こちらから強引に行ってもいいわ)
U-37:
(えっ!いいの?今日飛行場施設の点検をやるって聞いたけど…)
プリンツ・オイゲン:
(尚更いいんじゃない?鉄血の最新鋭訓練施設を拝見ってね)
ニュルンベルク:
(て、適当ですね…)
Z28:
(オイゲンさんはこんな感じですよ…)
プリンツ・オイゲン:
コホン。U-37、秘密基地に案内を頼めるかしら?
U-37:
はいよー。ここは大洋の島々を利用して作られた鉄血の秘密基地、それぞれの島・区画には役割があって…
って今話してもしょうがない!防衛システムを作動させたら大変だから、とにかくあたしにしっかりついてきてね!
浮島要塞C4
カラビニエーレ:
こ、こんなに大きな基地を隠しているとは…!それにこの感覚…もしやセイレーンの鏡面海域技術を使っているのですか!?
プリンツ・オイゲン:
そうよ。ここは「私たちの」鏡面海域だわ
ニュルンベルク:
あれはこの鏡面海域が作り出した艦載機……?
Z24:
モータルに代わってこの遠見の目で確認してやろう――うん、重桜の艦載機ね
U-37:
あれは量産型の「駒」が装備するもので、「駒」も含めてこの秘密基地での訓練でよく出てきたりはするね
カラビニエーレ:
つまりセイレーンが作ったのと同じ、っと…重桜のだけでなくサディアの艦もありますね
U-37:
あー、あれはただのデータ検証用で、別に特別な意味はないよ!
ほら、うちは鉄血艦隊の量産艦だって演習相手にすることもあるから、サディアの艦があったって別におかしなことなんて……
カラビニエーレ:
鏡面海域だからこそ、自分の陣営の艦の戦力を知っておかなくちゃ、ですね!感心しました!
ニュルンベルク:
……それにしても、すごく迫力のある演習ですね…まるで本当に戦っているような…
U-37:
そうでしょーすごいでしょー……あ、あれ?普段はそんなに大きな演習弾を
――――!!
Z28:
こちらに向かって撃ってきました!?
Z24:
バカな!ポンコツ量産感の分際でこのグレートデーモンである我にあわわわわ!?
――――!!
Z24:
ほ、本当に撃ってきた!?
カラビニエーレ:
て、鉄血の演習はここまでやるのでありますか!?
プリンツ・オイゲン:
ええ、そうよ。今の襲撃は演習のリアリティを増す演出なの
ここまでやらないと、実戦の時に腰が引けちゃうでしょ?
カラビニエーレ:
なるほど!ご教示感謝します!
ニュルンベルク:
(て、適当に流しちゃいましたね……オイゲンさん……)
Z28:
(聞いたカラビニエーレちゃんも簡単に流されちゃいましたね……)
プリンツ・オイゲン:
U-37、客人とZ28を連れてD13区画から応急ルートを取って、浮島要塞のほうに向かいなさい
U-37:
オイゲンはどうやってこの秘密基地の機密ルートを知ったんだ…?!
プリンツ・オイゲン:
「資料を読み込んだ」だけよ。ひとまず失礼のないように案内してくれる?
今日の訓練もそろそろ終わりじゃないかしら。ニーシェ、ニュルンベルクは私と一緒に行動するように
さて、私たちならどんなスコアを叩き出せるのでしょうね
ペーター・シュトラッサー:
「鉄血」と「サディア」の量産艦もこちらに向かっているわね。装置の暴走を止めない限りキリがないわ
ヴェーザー:
何かしらの方法で同士討ちさせられないでしょうか
ペーター・シュトラッサー:
あるにはあるわ。昔この実験場を接収したとき、上層部は色々やっていたみたいだし
予めコマンドを入力していれば簡単な行動制御は行えるけど、作り出された量産艦にあとからコマンドを入力する方法なんてないわ
今「こちらに向かっている」艦を制御する方法はセイレーンしか知らないわよ
ヴェーザー:
つまりセイレーンが本気で介入してきたらこちらは打つ手なしってことね
ペーター・シュトラッサー:
量産艦と「駒」に関してはそうよ。製造・制御施設はあくまで「セイレーンが作り出したもの」を解析して運用してるもの
だけど、今駐屯している防衛艦隊と施設の制御プログラムは後から私たちが書き足したものだから、セイレーンでもバックドアは仕込めないはずよ
ヴェーザー:
つまり、一部施設の制御権は残ってるってわけね
ペーター・シュトラッサー:
ええ。それすら無理なら今こんな話をしている余裕すらないわ
この状況を乗り切るための「掃除」には私たちの時間を費やさなきゃね
プリンツ・ハインリヒ:
ペーター、聞こえてる?こっちはそろそろ指定座標に到着するよ!
ヴェーザー:
よく聞こえてるわ。「鉄血」の艦隊はどうやらこっちの意図を察知したようだから急いで
プリンツ・ハインリヒ:
了解!ってヴェーザー?ペーターは何してるの?
ヴェーザー:
今この量産艦と「駒」たちの暴走を止めるために作戦を準備しているわ。しばらくは私の指示に従いなさい
プリンツ・ハインリヒ:
ここに現れる「駒」を全員指定のエリアに誘導すればいいのかな?任せて!
また新しい「駒」っぽい艦船が出てきた!アイゼンくん、ここは――
ヴェーザー:
ハインリヒの直感って当たったことあったっけ?
プリンツ・ハインリヒ:
ないね。…って、またこの間の話?
通信に答えてくれないのは「駒」、よくわからない通信してくるのも「駒」、いきなり攻撃してくる敵ももちろん「駒」よね!
よし、とりあえず通信して……
通信機:
————————————
プリンツ・ハインリヒ:
答えてくれないってことは「駒」確定ね!アイゼンくん、行くよ!
————————!
ニュルンベルク:
敵艦からの砲撃です!演習弾の威力ではありません!
ここにいる人たち、実弾演習でも……きゃああ!?
————————!
Z24:
演習用の「駒」だな!我に楯突くものは沈むのみだと教えてやる!
ニュルンベルク:
お、落ち着いてニーシェ!演習用の「駒」は実弾を使いませんし、いきなり攻撃してくるようなこともありません!
Z24:
じゃあなんだというのだ?オイゲン、説明を求む!
おーい、おいげーん!
プリンツ・オイゲン:
なんか呼ばれた気がするわ。何か用?
ニュルンベルク:
オイゲンさん、いつの間にあんな距離に…
Z24:
もう何をやってるのだー!こちらは演習用の「駒」に実弾を撃たれてるのだぞ!
プリンツ・オイゲン:
ごめんごめん、もうちょっと時間がほしいわ。今重桜の子たちの通信を聞かせてもらってるの
Z24:
重桜…?この秘密基地の「駒」じゃないの?
プリンツ・オイゲン:
とにかく回避行動を取り続けてちょうだい。その距離なら当たらないわ
ニュルンベルク:
む、向こうは実弾ですよ!?
プリンツ・オイゲン:
じゃあ私の座標まで誘導してきて、なんとかするわ
Z24:
どういうことだオイゲン??
プリンツ・オイゲン:
あとでわかるわ。今は回避運動に集中して
ニュルンベルク:
ライプツィヒちゃんなら倒れてそう…りょ、了解しました!
プリンツ・ハインリヒ:
「駒」にしてはちょこまかと……アイゼンくん!もう一発よ!
Z24:
ニセモノに「駒」呼ばわりされるとは心外だな…この我に一発でも当ててみせろ!
プリンツ・オイゲン:
はいはい、いつまで追いかけっこやってるつもり?
プリンツ・ハインリヒ:
オイゲン??どうしてここに?
プリンツ・オイゲン:
さっきからずっと呼びかけてたけど、やっぱり通信を受信できていないみたいね
ニュルンベルク:
はぁ…はぁ……普通に話してたのになんでさっきから戦い続けたのふたりとも!?
プリンツ・オイゲン:
どうかしらね…お互いノリが良すぎて、会話できているように見えても誰も話を聞かなかったってオチじゃない?
プリンツ・ハインリヒ:
だって最初に通信で呼びかけても回答しなかったし…
ニュルンベルク:
こっちも同じでした。最初に回答がなかったからニーシェちゃんが「駒」だと言い張ってましたね
あれ?こうして普通に話せているのに、どうして通信がつながらないの?
プリンツ・オイゲン:
距離が近いと、「誰かさん」のジャミングが通じなくなるんじゃないかしら
プリンツ・ハインリヒ:
とにかくごめん!いまペーターに連絡してここを攻撃しないように注意するから!
プリンツ・オイゲン:
攻撃?ペーターはなぜここを攻撃するの?
プリンツ・ハインリヒ:
いま実験場の量産艦、「駒」が暴走してるから、ここに誘導して一網打尽にする気じゃないかなーって……カクカクシカジカ
プリンツ・オイゲン:
あら、そういう事情があったのね
ならこちらにも作戦があるわ。ハインリヒ、ペーターに今の状況を連絡しなくていいわ
その代わり重桜の子たちに打電しなさい…「『駒』じゃない」ってね
浮島要塞、D12防衛区画
ヴェーザー:
「鉄血」と「重桜」艦隊はD13に誘導されつつある…ハインリヒ、上手くやってるわね
ペーターのほうはどうかしら…
ペーター、聞こえてる?そちらの状況はどう?
ペーター・シュトラッサー:
今敵を蹴散らして制御装置に向かっているわ。卿らと約束した時間にはまだなっていないけど
ヴェーザー:
ええ、分かっているわ。ペーターが指定した時間まで「駒」と量産艦をD13区画に誘導して
そして飛行場の制御権を奪還して一気に実験場の全航空戦力で仕掛ける――そういう作戦でしょ?
ペーター・シュトラッサー:
飛行場施設の性能のテストにはちょうど良い状況だわ。フフフ…
瑞鹤:
通信テストー。えー。あーあー。オイゲン、聞こえてる?
プリンツ・オイゲン:
ええ、バッチリ聞こえてるわ。これからはその通信機を使ってちょうだい
瑞鹤:
分かったわ!重桜艦隊はもう座標に到着した!
プリンツ・オイゲン:
連絡感謝するわ。鉄血の特製通信機の使い心地はどうかしら?
瑞鹤:
鏡面海域でもこんなにはっきり通信できる機器があるなんて…本当にこれをもらっていいの?
プリンツ・オイゲン:
大丈夫よ。盟友からのプレゼントだと思ってありがたく受け取ってちょうだい
それと、協力してくれたお礼はまた後日に改めてさせてもらうわね
瑞鹤:
期待しておくよ!はははは
プリンツ・オイゲン:
…よし、重桜艦隊の準備も完了、と…
U-37:
オイゲン、あなたの推測通り、この鏡面海域に人型セイレーンが潜り込んでいるよ…!
プリンツ・オイゲン:
見つかってないわね?
U-37:
まさか、この遠洋ハンターの潜入スキルを侮らないでよ?もう鏡面海域の発生装置は目の前だから
プリンツ・オイゲン:
やるじゃない。そのまま私からの合図を待ってて
U-37:
はーい。通商破壊作戦らしく、じっと…静かに……
Z28:
オイゲンさん、こちらも順調ですよ。飛行場の制御権を一部取り戻せました
プリンツ・オイゲン:
そのまま残りの島の制御権も。ペーターの作戦には必要よ
Z28:
はい!今次の飛行場施設に移動しますね~
カラビニエーレ:
オイゲン様、こちらも指示通り飛行場の制御権を取り戻しました
プリンツ・オイゲン:
さすがは総旗艦殿の側近ね。この演習プログラムを初見でここまで上手くクリアできるなんて
カラビニエーレ:
なんの!サディアの威光を広めるためにはこのカラビニエ―レ、粉骨砕身の覚悟です!
しかしセイレーンに施設を奪われた状況を想定した演習って…本当にあらゆる状況を想定していますね…
プリンツ・オイゲン:
ああ、セイレーンに施設を奪われた話は本当よ
いきなりのことでこちらも余裕があまりないから、こんな状況に巻き込んじゃって悪かったわ
カラビニエーレ:
……え?ええええええ!?
…だだだ大丈夫であります!セイレーンの侵攻なんて予測が困難でありますしむしろこの機密施設にここまで深く見学させていただけるなんて光栄でありまして――
……セイレーンとの戦いでしたら!盟友として、そして同じく艦船として協力して当然であります!
プリンツ・オイゲン:
頼もしくて結構よ。その飛行場の制御権を奪い返したってことにセイレーンが気づいたら大変だから、こちらの合図までしっかり見守ってくれる?
カラビニエーレ:
はい!ご安心ください!
プリンツ・オイゲン:
さて、あとはペーターの出番だわね。あの子が実験場の中枢制御権を奪い返したらこっちの勝ち…
とはまだ言えなさそうね。今回念入りに妨害してきたセイレーンを誘い出す役割は…
まあ、私が行くしかなさそうね
黒いメンタルキューブを使ってうちの大将を大怪我させた罪、いつまでも見逃してもらえるとは思わないことね
die Rache……ふふふ
鉄血浮島要塞D12防衛区画
ペーター・シュトラッサー:
こちらの準備はできているわ。D13区画にいる「駒」たちの状況は?
ヴェーザー:
「鉄血」と「重桜」艦隊が合流したよ。やっぱりお互い交戦していないようね
…待って。おかしい…量産型の艦隊が急に動き出した。今要塞のほうに向かっているわ
ペーター・シュトラッサー:
要塞へ……機密施設を狙ってくるつもり!?
ヴェーザー:
ええ、駐屯している量産艦隊でなんとか足止めしてみせるわ。しばらくは動かないはず
ペーター・シュトラッサー:
…こっちもいいタイミングで中枢制御権を取り戻したわ。機密を狙うつもりなら、後悔する時間を与える間もなく楽にしてやる
ヴェーザー:
飛行場の制御は大丈夫?
ペーター・シュトラッサー:
ええ、今試してみたら各飛行場の制御権も一緒に戻ってきたわ。これで火力不足の心配はない
浮島要塞より、飛行場A1からB3まで、支援航空機隊・全機発進!
目標、D13区画にある暴走した「駒」と量産艦たち――
さあ、木っ端微塵よッ!!!
プリンツ・オイゲン:
おっ、来たわね
鉄血の、重桜の、サディアの、そしてセイレーンの艦載機が、空をも埋め尽くす数の大編隊で現れた――
プリンツ・オイゲン:
なるほど、限界まで稼働させて、全力でぶつけるつもりね
発想はいいけど、フリードリヒと比べてもうちょっと繊細さが足りないわね
飛行機が目標座標上空に到達したその瞬間――一機、また一機と制御を失い、爆発…もしくは海に突っ込んでいった。
プリンツ・オイゲン:
オブストラクターの存在にどうやら気づいていないようね。このままでは攻撃を始める前に全機やられちゃうね
しかし、人型のセイレーンの存在を表に出すということはつまり…セイレーンもそれだけ余裕がなくなったってことじゃない?
ふふふ、予想以上にやるわねペーター。まさかここまでセイレーンを追い詰めるなんて
ではこちらも、フリードリヒの言う通り「詰め」を…
U-37、聞こえているかしら?
U-37:
聞こえているよオイゲン。どうすればいい?
プリンツ・オイゲン:
目の前にある装置を全部魚雷なり爆弾なり使って破壊しなさい
U-37:
え、ええ!?破壊するの??この秘密基地そのものを…!?
プリンツ・オイゲン:
ええ、そうよ。簡単にセイレーンに制御を奪われる施設が安心して使えるとでも?
それに、サディアはともかく重桜にまでこの状況を知られてしまった以上、もうこの秘密基地は用済みよ
セイレーン技術、そして鉄血の真の戦力…そろそろ威嚇…交渉に使ってみたいわ
さあ、ペーターがやつらの注意力を惹きつけている間にやっちゃって
U-37:
了解!
プリンツ・オイゲン:
次の一手はどう出る?セイレーン
コンパイラー:
……………っ!?
鏡面海域発生装置を破壊した…?
プリンツ・オイゲン:
今回の黒幕はあなたなのね。「コンパイラー」
鉄血に移管した施設に妨害を加えてきたのはそっちなんだから、それに対して反撃したって契約に反しないわ
コンパイラー:
……………いつ、バレたの?
プリンツ・オイゲン:
こちらからの訪問連絡にペーターからの返事がなかった時よ。同時に、彼女も「訪問するな」に対して返事が来なかったときね
それとD13区画は完全に実弾兵装ね。普通の状況ならまずそこまで上げないわ
ハッキングは完璧だけど、どうやらそういうヒトの機微を上手く察せられないようね
コンパイラー:
……………
プリンツ・オイゲン:
あなた、ピュリファイアーたちと違って戦闘タイプじゃないんでしょ?
ペーターの攻撃隊は今血眼になってあなたを探しているわ。あなたがここに現れる前に、もし私がペーターに打電をしていたら?
コンパイラー:
……防御モジュール起動。高速移動、潜航モード、工場出力70%に調整、オーバーロード開始――
プリンツ・オイゲン:
せっかくこちらが命がけで餌になってやったというのにもう逃げる気?
……………逃さないわよ
浮島要塞D12防衛区画
Z46:
これは……鏡面海域が…!
ヴェーザー:
鏡面海域が解除されている…?
ペーター・シュトラッサー:
やってくれたわね…破壊まで頼んでないわよ
ヴェーザー:
ペーター、識別信号が変わった。鉄血と重桜の「艦船」たちが脱出したわ
今攻撃エリアにはオイゲンとセイレーンたち、そして「コンパイラー」という個体だけよ
ペーター・シュトラッサー:
あとは量産艦と残りのセイレーンね
セイレーンのジャミングでこちらの施設の制御権が奪われ、さらに量産艦が暴走下という危機的な状況……
味方同士で「駒」と誤認しているのを逆手に取って、セイレーンを攻撃地点まで誘導し、
ヴェーザー:
同時に各艦で時間を稼いでいる間に飛行場施設の制御権を奪還し、戦力を集中して一挙にセイレーンを殲滅する作戦……
Z46:
虚に隠されし真実か。この短時間でよくこのような作戦を思いついた
ペーター・シュトラッサー:
ふん、時間は限られているから有効に使わないといけないわ
不可解な通信異常、本土への連絡不通、量産艦の暴走、そして思わぬ重桜艦隊の出現……
Z46:
どれも「セイレーンが裏で操っている」ことを証明しているだろう
ヴェーザー:
そして通信機能と実験場のレーダーもセイレーンに操られていると判断し、そのまま本当の「駒」とニセモノの「艦船」の見分けがついていない振りをして……
ペーター・シュトラッサー:
セイレーンをD13区画に足止めさせて攻撃を仕掛けたわよ
ヴェーザー:
セイレーンに私達が本当に騙されているように信じさせたのは…
ハインリヒ、ね
あの子はどこまで状況を把握しているのやら
ペーター・シュトラッサー:
ああ見えても結構できる子よ、ハインリヒは
あのセイレーンが本当に「コンパイラー」なら頭脳派のはず。だから途中でこちらが制御権を取り戻した途端に反転したわけ
そして今まで動かなかったのは、もっぱらハインリヒに惑わされただけかもしれない
Z46:
敵を騙す前にまず味方を、か
ヴェーザー:
………どうやら私も騙されたわね。まさかあの子が状況を把握しているとは思わなかったわ
動いたわ。…逃げるんじゃなくてこっちに向かってる?
ペーター・シュトラッサー:
機密施設へはなんとしてでも阻止するわよ!ヴェーザー、通信が回復しているならオイゲン、そしてこの海域の艦船全員につないで!
こちら鉄血空母ペーター・シュトラッサー!この海域にいる鉄血、及びサディア、重桜の全ての艦船に告ぐ!
我が鉄血の研究施設がセイレーンによるジャミングを受け、現在セイレーン量産艦・人型個体が進入している!
この施設にある鉄血の財産並びに研究成果は鉄血、そしてレッドアクシズのものであり、万に一つもセイレーンに奪われてはならない!
よって、我が艦隊はこれよりセイレーンの迎撃を行い、その陰謀を阻止する!
そして、鉄血の盟友たち…いいえ、全ての艦船に戦闘支援を要請する!
セイレーン個体「コンパイラー」を撃破せよッ!
プリンツ・ハインリヒ:
オイゲン!大丈夫!?怪我してない?
プリンツ・オイゲン:
大丈夫よ。でもそうね、あのコンパイラーの速力がもう少し遅かったらペーターの空爆に巻き込まれてたわ
プリンツ・ハインリヒ:
ヒッパーちゃんを心配させちゃダメだって!
プリンツ・オイゲン:
大丈夫よ。あなたこそいつもみんなに心配させてるからもう少し気を使いなさい
プリンツ・ハインリヒ:
ははは!アイゼンくんにも気を使わせちゃったね。ごめん!
プリンツ・オイゲン:
これからはコンパイラーの追撃…といったところかしら?
プリンツ・ハインリヒ:
そうね!よぉし、プリンツ・ハインリヒ、いっくわよー!
翔鶴:
まさか鉄血がここまですごい施設を隠し持っているとは驚きましたわね…
それにグラーフ・ツェッペリン級の2番艦…赤城先輩が知ったらどんな顔をするのでしょうね
プリンツ・オイゲン:
ペーターはずっとここを管理していたし、秘密基地だから重桜に名を知られていないのも当然よ
瑞鹤:
(重桜の秘密基地といえば…赤城先輩の「聖域」?あれも鏡面海域の一種だと聞いたわ)
(でも雰囲気が全然違うし、「駒」を作るにしてもあっちは「彫刻室」?って言う謎の装置で作るし…よくわからないわね)
プリンツ・オイゲン:
しかし、まさか重桜がこの実験場に入ってくるとは思わなかったわね
金剛:
私達は南大陸を経由してNA海域に向かう途中で巻き込まれましたわ
プリンツ・オイゲン:
あら、これは随分と遠い場所からやってきたのね
瑞鹤:
(遠い場所?もしかして金剛の言う通り、ここは航路からだいぶズレている場所にあるの?)
プリンツ・オイゲン:
まあ理由なんてどうだっていいわ。この戦いが終わったら、盟友として基地の補給物資を自由に使っていいわよ
南大陸の航路に戻るには大変な距離だわ~
金剛:
お気遣い感謝いたしますわ
プリンツ・オイゲン:
本来は何日間か滞在してもらって、鉄血の技術の成果を紹介したいところだけど、どうやら今回は無理のようね
瑞鹤:
気持ちだけいただくよ!私たちにはまだ任務があるから
プリンツ・オイゲン:
では前にも言った通り、あの通信機を持っていってちょうだい
瑞鹤:
ありがとう!これがあれば鏡面海域でも連絡できるのね!
プリンツ・オイゲン:
ええ、そうよ。それともう一つ
金剛:
……?
プリンツ・オイゲン:
「例のものをセイレーン中枢部に持ち込んではならない」
翔鶴:
例のもの…?中枢部?何が起きるのですか?
プリンツ・オイゲン:
さあ?私にはわからないし、言えるのもこれぐらいよ
瑞鹤:
そうなんだ…ありがとう!覚えておくよ!
プリンツ・オイゲン:
聞き流してもいいけど、忠告として捉えてくれると嬉しいわ
プリンツ・ハインリヒ:
フナムシのセイレーン発見!実験場をめちゃくちゃにしたのはお前ね!
コンパイラー:
……コンパイラー。名前はある
プリンツ・ハインリヒ:
フナムシのほうが私的に覚えやすいわ
コンパイラー:
兵装のモチーフなら、フナムシ……ダイオウグソクムシ
プリンツ・ハインリヒ:
だ、だいおう………?
――――!!
コンパイラー:
………………
プリンツ・ハインリヒ:
妙なこと言っても逃さないよ!さあ降参か倒されるか選べ!
コンパイラー:
全員の相手は不可能。一隻なら余裕
機体固定、防御モジュール再起動、出力調整、砲撃モジュール起動
プリンツ・ハインリヒ:
抵抗するならかかってこい!アイゼンくんとこのプリンツ・ハインリヒが相手よ!
普通の量産艦ならとっくに撃破できる火力にもかかわらず、コンパイラーの装甲には傷一つついていない。
ハインリヒと艤装の連携攻撃――残念ながらコンパイラーの防御モジュール―――バリアには有効打に至らなかった。
プリンツ・ハインリヒ:
か、硬い……!?
コンパイラー:
行動パターン解析完了。捉えて
プリンツ・ハインリヒ:
!!!!?
水面下よりコンパイラーの艤装の巨大触手がハインリヒに襲いかかった。
間一髪で回避できたが、巨大触手のまるで重量を感じさせない動きにハインリヒは瞬く間に苦戦に強いられた。
プリンツ・ハインリヒ:
なにこれ…!?あわわ!?
コンパイラー:
機体固定解除。移動モジュールヒートアップ30%――
プリンツ・ハインリヒ:
の、逃さないって言ったでしょ!?…ってこの触手邪魔っ!
ペーター・シュトラッサー:
ハインリヒ、後ろに下がりなさい
ヴェーザー:
こいつの攻撃は私たちに任せて
プリンツ・ハインリヒ:
了解!!
―――――!!!
コンパイラー:
………………………………
ペーター・シュトラッサー:
ふふふ、そのバリアは何発耐えられるのかしら?そのまま滅ぼされなさい!
―――――!!!
プリンツ・ハインリヒ:
ペーターとヴェーザーの艦載機以外に、実験場で生み出された支援航空機も来てるのね!
Z24:
次の攻撃隊への繋ぎはこの我が引き受けた!黒き魔王の炎を食らわせてやろう!
ニュルンベルク:
大人しく倒されなさい…!って、やっぱり艤装が大きすぎて手応えがありません…!
カラビニエーレ:
ソルダティ級駆逐艦、カラビニエ―レ、加勢するのであります!
Z28:
ハインリヒ、みんなが来ていますよ!
プリンツ・ハインリヒ:
バリアは破れそうになってる!みんな、もう少しよ!
―――――!!!
ヴェーザー:
バリアの撃破を確認した!
ペーター・シュトラッサー:
さあ、破滅の時間よ!コンパイラー!
コンパイラー:
緊急展開。シールド、再起動
プリンツ・ハインリヒ:
なっ!?バリアが復活した!?
Z24:
こ、ここまでやるとは………
ニュルンベルク:
しかも本体はいまだに無傷…どうして…
金剛:
重桜艦隊金剛、参りますわ!
瑞鹤:
まだ諦めるのは早いわよ!私たちも攻撃に参加する!
翔鶴:
補給物資を自由に使っていいと言われたからには、少しでも手伝わないと気が済みませんからね
山城:
山城も手伝います!
―――――!!!
金剛:
バリアが破れましたわ!今がチャンスよ!
コンパイラー:
…………っ!?
プリンツ・ハインリヒ:
アイゼンくん!全力でぶっ放すわよ!
コンパイラー:
移動モジュールヒートアップ完了。潜航モード――
プリンツ・ハインリヒ:
はあああ!!ってあわわわわ!?
ペーター・シュトラッサー:
どうした、ハインリヒ!?こちらからコンパイラーの位置を確認できなくなったわ!
ニュルンベルク:
コンパイラーはその…潜水艦みたいに海に潜ったんです!
プリンツ・ハインリヒ:
水上戦闘用の艤装と潜航艤装両方持ってるっていうの!
コンパイラー:
さようなら
プリンツ・ハインリヒ:
このままじゃあ見失っちゃうよ!
プリンツ・オイゲン:
U-37、最後はあなたの出番みたいね。あのセイレーンを足止めできる?
U-37:
こっちはもう待ち伏せ位置にいるよ!ふふん、遠洋の狩人の力を見るがいい!
U-37:
止まれコンパイラー!このU-37と勝負だ!
コンパイラー:
……待ち伏せ
U-37:
まさかあのでかい艤装であんなに速く動けるとは思わなかったよ…
でもあたしの魚雷と果たしてどっちが速いかな!?
コンパイラー:
装甲、直撃に耐えられない
ピュリファイアー:
おーおーやられてるみたいじゃないか子プログラムぅ!
コンパイラー:
緊急通信チャンネル、開くな
ピュリファイアー:
そう固いこと言うなって!オブザーバーに言われて迎えにやってきたぜ?「サンプル」はもう回収した?
コンパイラー:
うん。面倒くさかった
ピュリファイアー:
なんだ上手くやってんじゃん~殿はこのピュリファイアーがやってやってもいいぜ?
コンパイラー:
疲れた。「サンプル」の運搬も、よろしく
ピュリファイアー:
ちょっ、てめえ!
コンパイラー:
壊れやすいので、注意
ピュリファイアー:
ちっ!今回も戦えないのかよ!
―――!!!
U-37:
わわわ!?セイレーンが爆発した……!?
こっちはまだ魚雷を撃っていないのに、もう!
そんなーーー!
浮島要塞E2・数日後
プリンツ・ハインリヒ:
よし終わった!今日の戦術講義はこれで完了!ありがとうペーター!
ペーター・シュトラサッサー:
まだ15分しか経っていないわよ?私が貴重な時間を割いてまで教えてやっているんだから逃げるのは許さないわ
プリンツ・ハインリヒ:
もう15時間は経っている気がする……なんで私はここにいるの…はあぁぁ……
オイゲン助けて……
ペーター・シュトラサッサー:
オイゲンは機密施設の中にいるわ。もっとも、卿の解放を助言するほどオイゲンはバカじゃないわ
プリンツ・ハインリヒ:
そんなー
ペーター・シュトラサッサー:
卿らのポテンシャルを見込んで我が鉄血艦隊の主力に仕立ててやろうというのに、その態度は感心しないな
プリンツ・ハインリヒ:
戦闘だけじゃダメなのー!?
ペーター・シュトラサッサー:
イソギンチャクだのフナムシだの、盟友の艦船を前にセイレーンをふざけて呼ぶのは鉄血の沽券に関わるわ
なに、卿らのためなら時間を多少用意しても構わないの。なんならニーミのように説教してやっても構わないのだが?
プリンツ・ハインリヒ:
そ、それは絶対に嫌だー!こういう本なんて読んでるだけでも眠くなるというのに…
せめてなにかカッコいいものとか……
ペーター・シュトラサッサー:
なるほど、難解なのが望みか?我が姉グラーフ・ツェッペリンの世界観など、いささか哲学的なものだが……
プリンツ・ハインリヒ:
もっとわからないよ~!!
タラント港
カラビニエーレ:
以上、鉄血の「見学」に参加した内容の報告でした。リットリオ様
リットリオ:
ご苦労。大いに参考になったわ
カラビニエーレ:
リットリオ様、新型兵器や技術のデモンストレーションについて、鉄血からの自分の滞在期間の延長要請についてはいかがお答えいたしますか?
リットリオ:
向こうがそこまで私たちに見せたいというのなら断るのも失礼ね。申し訳ないけどもう少し滞在していてくれる?
カラビニエーレ:
はっ!サディアの威光のためにカラビニエ―レ、どんな任務でも遂行するのであります
リットリオ:
(鏡面海域を使って建設した施設がセイレーンに襲撃された……ねえ)
(事件のことも気になるが…鉄血の戦力、思っていたよりずっと大きいのはショックだった)
(うーん、サディアの指導者として、このリットリオは一体どうすればいいものか…)
コンテ・ディ・カブール:
リットリオ、使節団が到着した。出迎えはどちらが行くのかね?
リットリオ:
私が出る。ヴェネトにも連絡するように
コンテ・ディ・カブール:
了解
リットリオ:
(まあいい、面倒なことはまたあとで考えよう)
(今日は遠方の客人を迎えるめでたい日だからな)~
浮島要塞――セイレーン来襲当日
翔鶴:
鉄血の艦船…連絡してきてくれたプリンツ・オイゲンが間もなく到着します
金剛:
今回は「駒」じゃないですのね?この海域に出没した「駒」は多国籍過ぎて困りましたわ
瑞鹤:
今回は違うようね…!
重巡洋艦プリンツ・オイゲン……でしたっけ
プリンツ・オイゲン:
そうよ。そっちは重桜の五航戦、瑞鶴で間違いないかしら?
瑞鹤:
合っているわ
金剛:
鉄血もこの鏡面海域に巻き込まれましたの?
プリンツ・オイゲン:
そういったところかしらね。正確に言えば艦隊ではなく、ここの鉄血施設ね
瑞鹤:
困った…私たち、航行していたら急に霧が出てきて、気づいたら鏡面海域にいて
翔鶴:
それに隣同士でも通じにくくなっていますわね。艦隊行動が大変…
プリンツ・オイゲン:
そうね。こっちもこの新型通信機で打電するまで通じなかったわ
瑞鹤:
なにか気になることはない?
プリンツ・オイゲン:
ええ、今までの鏡面海域でもこの距離なら普通は通じるから、ここはまるで「あえて艦船を同士討ちさせる」ためにジャミングを特化しているみたいに感じたわ
瑞鹤:
……同士討ちさせる…?どうやってそんなことを
プリンツ・オイゲン:
簡単よ。「駒」を大量配置させて、艦船同士の作戦距離でも通信を通じなくさせるの
金剛:
つまり向かってくるヒトが「駒」であるかどうかを判断出来なくされてしまい、お互い慎重になればなるほど、コミュニケーションが取れなくなって
結果的に乱戦になり、そして仲間と同士討ちになることも…なんて卑劣ですこと…!
プリンツ・オイゲン:
幸いなことに、こちらにはまだ通信手段が残っているわ
これを使えば、ひとまず同士討ちにならずに済むけど、問題は黒幕をどうやって見つけ出すかってことね
こちらには作戦があるけど、よければ重桜の皆に協力してもらえないかしら?
瑞鹤:
目的が同じなら協力するよ!早くセイレーンを倒してここから脱出しましょう!
プリンツ・オイゲン:
ええ、承諾してくれてありがとう
じゃあまずはこの通信機を、重桜のどなたかが持って――
???·???
通信機:
………………………………
プリンツ・オイゲン:
そういえば、ペーターとはよくチェスしてたわね、フリードリヒ
通信機:
………………………………
プリンツ・オイゲン:
だからこそ早いうちにあの子の作戦だと気づけたわ。私一人では難しかったでしょうね
通信機:
………………………………
プリンツ・オイゲン:
鏡面海域を一つ使ってセイレーン捕獲を試みるなんて。まあ、あの鏡面海域を消したのはフリードリヒの案だけど
通信機:
………………………………
プリンツ・オイゲン:
なに、こちらこそあなたが羨ましいわ。余計なことに邪魔されずに集中できる
通信機:
………………………………
プリンツ・オイゲン:
ああ、土産がほしい?今度556かティルピッツに渡しておくわ
通信機:
………………………………
プリンツ・オイゲン:
一つ聞き忘れたわ。セイレーン…ううん、キューブの話なら貴方が一番知ってると思ってね
「META」というのは、知ってる?