碧蓝回忆录日服文字版/闇靄払う銀翼
阅读
2021-08-16更新
最新编辑:芙兰朵露琪露诺
阅读:
更新日期:2021-08-16
最新编辑:芙兰朵露琪露诺
闇靄払う銀翼
通信:
こちらNYシティ、定時連絡を頼む
こちらボルチモア、運河要塞に向けて無事進行中。位置はさきほど送信済みだ
NYシティ了解。艦隊の位置を把握した。随時連絡を
こちらNYシティ、定時連絡を頼む
こちらメンフィス。現在艦隊周辺に異常なし。今日も平和かしら
そうであればいいが…気象観測からの連絡によると、そちらの進路で霧が発生したようだ
了解。気をつけるわ
こちらNYシティ、定時連絡を頼む
……………
ボルチモア艦隊、こちらNYシティ、返事を
こちらNYシティ、ボルチモア艦隊、聞こえているか?
ボルチモア、ヘレナ、メンフィス、こちらNYシティ、応答頼む
繰り返す、こちらNYシティ、連絡を――
ザザ――
…こちら……セイレーンと………運河要塞………至急支援を…………
繰り返す、至急支援を――
2つの大洋をつなぐ大運河と、それを守る「運河要塞」。
大洋をつなぐ航路を守る要衝だけあって、
幾度もセイレーンの攻撃を受け、その都度艦船たちがそれを撃退し、
定期的なパトロール体制が確立された。
その海域は今、突如現れた海霧に覆われている。
白き闇靄(やみもや)に呑まれた味方艦隊を救援するために
今、ユニオンの戦士たちが海を駆ける――
パトロール艦隊――ボルチモアが率いる艦隊が突如現れた海霧に突入した後、行方不明。.
要塞への支援、そしてボルチモア艦隊救出のための増援艦隊が早速編成された。
運河要塞・周辺海域
ブレマートン:
へーこれが伝説の運河要塞?噂は聞いてたけど、実際に見たらやっぱりすごいわね
イントレピッド:
ブレマートンは確かずっとNYシティ配置だったっけ?この辺りに来たことなかったんだ?
そりゃ運河要塞は運河航路を守る要だから、これだけ大きく作られてるのは頷けるわね
カサブランカ:
そうですね。軍事輸送だけでなく、民生にも決して欠かせない重要な航路ですもの
セイレーンの大規模攻勢が収束しつつある今でも、決して警戒を緩めていい場所ではありませんから
ブレマートン:
先行のボルチモアたちのことはやっぱり心配ね…
エセックス:
要塞が見えるところまで来たというのに、敵の影すらないのね……
ボルチモアたちが何の抵抗もせずセイレーンに攫われるはずがない。なのに、ここには戦闘の痕跡が一切見当たらない…
イントレピッド:
もしかして鏡面海域に巻き込まれた?ほらあの突然発生した海霧、明らかにおかしいし
エセックス:
その可能性は低いと思う。鏡面海域では外部への通信が不可能なのに、最後の連絡を受信するまで何度も連絡してきたじゃない
カサブランカ:
それに当日パナマ運河周辺を通る輸送船団も、無事海霧を通って要塞に到着しましたから
ただ、イントレピッドが言ってた海霧ですが、沿岸部ではその範囲を測れないほど広く発生していたってことが判明しましたね
イントレピッド:
つまり海霧の中に入って、通信機器が故障して、セイレーンと遭遇して…流石に「すべて偶然だー」とは言えないね、これ
エセックス:
そうね…エンタープライズ先輩はどう思います?
エンタープライズ:
私もイントレピッドと同意見だ。この状況はどう見ても普通じゃない
ただ、海霧が消えた今、探すにも手がかりはない。あの広さではとても手に負えないしな
ひとまず要塞増援の艦隊と合流しよう。そして情報を整理してから救援計画を練るとしよう
運河要塞・周辺海域
バンカー・ヒル:
……えー運河要塞の防衛支援艦隊を率いる、エセックス級のバンカー・ヒルと申しますー
(小声)……っ。次に言うべきは…
コホン。はるばるお越しいただき、感謝いたし――
イントレピッド:
バンカー・ヒル、それ無理して読まなくてもいいよ…
ここにいるのは皆ユニオンの仲間だから、そうかしこまらなくてもいいって!
エセックス:
久しぶりね、バンカー・ヒル
バンカー・ヒル:
久しぶりだ。エセックス、イントレピッドとエンタープライズせんぱ…
エンタープライズ:
エンタープライズでいい。皆までエセックスの真似をしなくていいから
バンカー・ヒル:
助かる。ではこちらの状況だが、哨戒航海に出かけたブルーギル以外みんな揃っている
クーパー:
アレン・M・サムナー級のクーパーだ!長旅お疲れさま!……あれ?そういえば指揮官は?
エンタープライズ:
指揮官は今サラトガたちと一緒に北方連合との共同作戦に参加している。流石に呼び戻すわけにはいかないな
マーブルヘッド:
それはちょっと残念ですねー。どこまでイケてる人か確かめたかったのにぃ
リノ:
今回はメインヒーローが登場しないのね…そっか。だったらサポーターが活躍するスピンオフって感じかな?
クーパー:
大丈夫!クーパーがいるからきっと上手くいくよ!リノは安心して!
ブレマートン:
「機関も凍って動かなくなる」北方連合ね…うわっ、聞いただけでなんだか寒気がしてきた
マーブルヘッド:
冬の平均気温が氷点下――と言っても、ユニオンの飛び地もそんな感じですし、動いている機関部の温度からすると突然止まらないでしょ。普通~
カサブランカ:
く、詳しいですね…あははは
イントレピッド:
意外と底知れない、マーブルヘッド……
バンカー・ヒル:
コホン。雑談は要塞の中でしてほしいのだが
クーパー:
そうだ!トロピカルジュースもあるよ!
イントレピッド:
ここで立ち話しても何だし、みんな要塞に移動しよう
エセックス:
そうね。このあとの捜索計画も立てなければならないから…エンタープライズ先輩?
エンタープライズ:
ん?あ、すまない今考えごとをしてたんだ
ブレマートン:
お?エンタープライズさんもしかして気になることでもあった?
エンタープライズ:
いや、特にこれといったものはないな。このあとの捜索だが、皆で手分けして探そう
運河の東だけでもかなりの広さだ。…忙しくなるな
運河要塞・東部海域
運河要塞から離れた東部海域にて、仲間たちと手分けして単独捜索を行っているエンタープライズ。
エンタープライズ:
………行方不明になったボルチモア艦隊。そして謎の救援信号、か
ボルチモアの通信によると、セイレーンが出現したようだが、戦闘の痕跡が見当たらない
鏡面海域に入ると通信機器が故障して使えなくなるのが今までの経験則だ。だが――
もし、その経験も当てにできないというのなら……
となると、やはり突然発生したあの海霧のほうが怪しいか
もう少し考えよう。この海域は沿岸部で海霧が発生するが、さすがに外洋の気象観測範囲の外まで広くはならないはずだ
となると………
そんなこと、ありえるのか…!
あの海霧はそもそもセイレーンが作り出したもので、通信機器をジャミングする効果がある
そしてあえて「通信機器を使えるようにして」、私たちを誘い出す罠だとしたら…!
―――――瞬く間に、周囲が白い海霧に包まれた。
エンタープライズ:
!?いつの間に!
やはりこれはセイレーンの―――
……………………
………………………………
運河要塞内
マーブルヘッド:
エンタープライズさん、戻ってきていないですね……
ブレマートン:
まあまあ、実際景色に見惚れてつい寄り道をした、ってオチかもしれないし
エンタープライズ、いつも張り切ってるじゃない?少しリラックスさせてあげても大丈夫っしょ
リノ:
ヒーローの休憩タイムってやつね。スカイスクレイパーで俯瞰したくなるし、わかるよ
バンカー・ヒル:
……よし。この度の任務編成についてだが
ブレマートンと私が1隊、エンタープライズさんとエセックスが1隊をそれぞれ率いて
セイレーンの来襲に備えつつ、ボルチモア艦隊の捜索を行う――
という理解でいいのか。エンタープライズさん自身が戻ってきていないのだが
クーパー:
どうする?一回連絡してみる?
エセックス:
ううん、ここはこのまま再出撃して先輩と合流しよう。探す海域が同じなら絶対どこかで会える
イントレピッド:
(エセックス、相変わらずエンタープライズさんのことになるとせっかちだね…)
あ、それなら私が先頭に出るね。エセックスがリーダーだし先行する必要はないわよ
エンタープライズさん…どこだろ……
せっかくマーブルヘッドのやつから差し入れのコーヒーまで持ってきたのに…
あれ?
エンタープライズさんの…艤装のパーツ?
エンタープライズの艤装と思われるパーツが海に浮かんでいた。
イントレピッド:
戦闘の痕跡がない…ということはうっかりパーツを落とした?
いやいや、イントレピッド、エンタープライズさんは私のようなうっかりさんじゃないって。……
「要塞周辺海域にセイレーン艦隊の反応を探知!各員至急戦闘態勢を!」
「繰り返す!要塞周辺に来襲するセイレーンを至急迎撃されたし!」
イントレピッド:
こんな時にセイレーンが!?やっぱり要塞を狙っているのね…!
運河要塞・外洋
エセックス:
イントレピッド、こっちのセイレーンも撃破した!
要塞の火力支援の元で戦いたいのは山々だけど、NYシティの防衛線のことを考えると敵を叩いていかないとキリがないよね
ところで、エンタープライズ先輩は見かけなかった?
イントレピッド:
ないね。見つけたのはこのパーツだけ……
エセックス:
エンタープライズ先輩……
クーパー:
エンタープライズ、さっきから通信にも出ないよ…
マーブルヘッド:
このセイレーンの襲撃と関係あったりします?もしかして、鏡面海域に入ったりしたとか
イントレピッド:
防衛艦隊の戦力を少しずつ分断し、各個撃破して最後は要塞を襲う――
って、つまりボルチモアたちも鏡面海域に入ったってこと!?
クーパー:
そ、そんな!?
イントレピッド:
Such terrible!イントレピッド、なんてことに気づいてしまったんだ…!
マーブルヘッド:
それ、遅かれ早かれ分かることでしょ。心配でしたら、なおさらここのセイレーンをやっつけるのを急いだほうがいいですよ
エセックス:
……うん。迷ってる時間はない!
イントレピッド:
ええと、つまり――セイレーンの指揮艦を叩いてから捜索再開ってことでいい?
エセックス:
そういうこと!バンカー・ヒルの隊もきっと同じことを考えてるはず!
クーパー:
クーパー、華麗にセイレーン撃破をフィニッシュ!
イントレピッド:
「イントレピッド了解。バンカー・ヒルのほうもエンタープライズさんの捜索をよろしく」
エセックス、向こうも同じくセイレーンと接敵したけど、無事倒せたみたい
エセックス:
よし。でもセイレーンを倒せても、エンタープライズ先輩の行方がわからないままね…
イントレピッド:
要塞のほうでも、エンタープライズさんが運河を通ったって報告はないって
クーパー:
それならこのぼく、クーパーが華麗に事件を解決してみせるよ!
早速推理だけど……ってあれ?この霧は……
気が付けば、辺りが白い海霧に覆われていた。
イントレピッド:
確かボルチモアたちも海霧に突っ込んで行方不明になったみたいだけど…
あれ?霧ってこんなに早く出るものでしたっけ?
???·???
エンタープライズ:
……一体何が起きた…?
海を覆っていた霧が晴れ、目の前の風景が一変した。
どこか懐かしく感じる海。
しかし同時に、強烈な違和感に襲われる。
まるで激戦が繰り広げられたばかりの場所にあるような、硝煙の匂い…
エンタープライズ:
運河要塞の周辺ではないようだ。
また霧か…今度は一体何なんだ…
エンタープライズの言葉に応えるように、霧の中から機関の駆動音が鳴り響く。
エンタープライズ:
ほかにも誰かがいるのか…?
運河要塞・湾内
ブレマートン:
しっかし、まさかここまでのものとは思わなかったよ。運河要塞って
試しにゲートを通ったけど、もう圧倒的過ぎて敵わないわ~今日の艦船通信のネタは決まりね
カサブランカ:
昔セイレーンが襲来した時に大いに役立ったって聞きました
沿岸航路とはいえ、それまでは大陸沿いで回り道しなければならなかったけど、通る距離が短くなるだけでどれだけありがたいことか…
その運河を守る要塞がどんどん増築、改修されるのも自然というべきでしょう
ブレマートン:
で、その要塞を今私たちが守らなければならないってことね。道理でボルチモアがやる気なわけよ
リノ:
やる気があるのはいいこと。ヒーローは戦場を選ばない!
猫探しからヴィランを倒すまで、全力でこなしてこそ人類の親愛なる隣人こと…
通信:
「要塞周辺海域にセイレーン艦隊の反応を探知!各員至急戦闘態勢を!」
「繰り返す!要塞周辺に来襲するセイレーンを至急迎撃されたし!」
カサブランカ:
……………
リノ:
まあ空気を読んだらヴィランじゃないしね…
バンカー・ヒル:
この航路が通行不可となれば、場合によっては文明の逆戻りもありうる
カサブランカは湾内の輸送船の退避を。リノはセイレーンの航空攻撃の対処を
リノ&カサブランカ:
了解!
バンカー・ヒル:
ブレマートンは私と一緒にセイレーンの掃討を行う
……何を見ているんだ?
ブレマートン:
別に?目つきが悪いって言われているけど、カッコいいところもあるんじゃないって思って
でもセイレーン艦隊かぁ…ちょうど運動したかったところよ
ふふん、こっちの気が済むまで相手してもらうわよ!
運河要塞・外洋
バンカー・ヒル:
結構やるな。ブレマートン
ブレマートン:
ふふん、ボルチモアほどじゃないけど、戦うのって別になんとも無いわよ
バンカー・ヒル:
先日NYシティにセイレーンが襲来した際に、ボルチモア型が大いに活躍したと聞いた
ブレマートン:
そりゃどうも。私はあの時戦場にいなかったけど、まあ褒め言葉として受け取っておくよ
もっとも、ボルチモアと一緒に戦いたかったけどね
バンカー・ヒル:
ボルチモアのことが心配なんだな。やっぱり
ブレマートン:
もちろんさ。友達だもん
ブレーマトンの顔が一瞬だけ曇った。
ブレマートン:
あのボルチモアのことだから、今頃セイレーンの本陣で大暴れしてるんじゃないかなーって
バンカー・ヒル:
ああ、きっと彼女たちは無事だ
……待て。これは…霧?
カサブランカ:
……ブレーマトン…カー・ヒル…こえていますか…
…霧に乗じて…レーンが…湾内に……
…早く…抜け出して…
……………………
バンカー・ヒル:
カサブランカの通信の通りだ。あの霧が通信機器を故障させたな
ブレマートン:
そして湾内に侵入しようとするセイレーンがいると。こりゃ捜索どころじゃなさそうだ
――こっちは運河要塞の防衛に専念して、ボルチモアとエンタープライズのことは仲間に任せる
バンカー・ヒル:
問題ない。エセックス級の前では、セイレーンの攻勢など無意味だ
ブレマートン:
こっちだってボルチモア級の一員、これぐらいの敵など楽勝よ!
(ボルチモア……大丈夫かな……)
運河要塞?・外洋?
エセックス:
イントレピッド、偵察機の様子は?
イントレピッド:
無理だよ。この霧の中じゃ直掩機の発着もギリギリだから
通信機、レーダー、ナビシステムが全部ダメ。目視ではお互いぶつからないようにするのが精一杯
鏡面海域でも聞いたことないよ、こんなの
エセックス:
つまり私たち、霧の中で完璧に迷い込んだってわけね
イントレピッド:
「この霧がただの霧じゃなくセイレーンの仕業。そしてボルチモアもエンタープライズさんもこの霧の中で行方不明になった可能性が高い」
これだけ分かれば十分な気がする
マーブルヘッド:
んじゃあ逆に考えますと、この霧の正体さえ分かれば、ボルチモアたちを救出できる可能性も高いですよね?
エセックス:
要塞の防衛が先か、エンタープライズ先輩たちの救出が先か……
ダメ、そんな話じゃないの。せめて運河要塞の位置か脱出ルートを確保しないと。このまま探しては危険よ
クーパー:
艦載機が使えないってことは、つまりぼくが活躍する番!先頭の偵察なら任せて!
探照灯、ライトオン!
イントレピッド:
ああちょっと!敵に狙われるわよ!
クーパー:
ん?でも敵が攻撃してきたら居場所がばれるんじゃない?
イントレピッド:
(この子、ポジティブというかバカというか…)
はいはい!じゃあこっちの直掩機もつけてやるから、気をつけて!
クーパー:
大丈夫大丈夫!ぼく、こういう時は結構やるんだから!
駆逐艦クーパー、出撃!
???·???
……霧の中での航行が続く。
――どれぐらい時間が経ったのか。やがてエンタープライズの前に「影」が現れた。
エンタープライズ:
あなたは……アーク・ロイヤル!
アーク・ロイヤル!あなたもここに迷い込んだのか?
「影」は振り返り、そして言葉を放った。
アーク・ロイヤル:
「エンタープライズか?ついにやってきたか。待ってたんだ」
「思ったより少なかったが…いや、みんなよく来てくれたな」
エンタープライズ:
「みんな」って…何を言っている?ここはどこだ?
アーク・ロイヤル:
あと少し待たせてもらう。もしかしたら別の仲間も――
エンタープライズ:
アーク・ロイヤル!答えてくれ!アーク・ロイヤル!
「影」はそれ以上答えることなく、踵を返し霧の中へと歩いていった
エンタープライズ:
一体どうなっているんだ?!アーク……
エンタープライズの手が「影」に触れた途端、「影」はまるで霧に溶け込んだかのように消えてなくなった。
エンタープライズ:
まぼろし、というのか…?
セイレーン、一体何を企んでいる……
運河要塞?・外洋?
エセックスたちは霧の中に現れるセイレーンを撃退しながら、慎重に脱出ルートを探していた。
マーブルヘッド:
もぉ、一体敵はどこから湧いてくるんですかねー
(このままでは戦力を消耗してジリ貧に…なんとかしなくちゃ…!)
クーパー:
マーブルヘッド、どうしたの?
マーブルヘッド:
クーパーちゃんちょっと静かにしてくれません?さっきから「サイクロンスマッシャー!」とか叫び続けるせいで集中できませんって
クーパー:
それぼくの新しい必殺技の名前だよ!カッコいいでしょう!
マーブルヘッド:
変に叫んでセイレーンを引き寄せなければいいですけどぉ
クーパー:
い、言われてみれば確かに……
イントレピッド:
(脱出ルートが全然見つかりそうにない…今の所はまだ戦えるけど、このままではいずれ倒れる)
(セイレーンなら私たちが消耗しきった時に現れるはず、そうなっては――)
(エセックスがさっきから全然喋らないけど…エンタープライズさんが行方不明でかなりショックなのかもね)
(…ないか。エセックスはただ「エンタープライズ先輩ならどうするか」って考え込んでるだけかも)
エセックス:
(エンタープライズ先輩なら何をするか…)
イントレピッド:
(エンタープライズさんの評価をいちいち気にしすぎだと思うけどな。あの子)
エセックス、大丈夫?
エセックス:
(エンタープライズ先輩なら…)
イントレピッド:
エセックス!
エセックス:
わわわ!?
イントレピッド:
……流石に考え過ぎじゃない?セイレーンの新手が接近しているってクーパーちゃんから連絡があったよ
エセックス:
だ、大丈夫よ!ただエンタープライズ先輩なら……
イントレピッド:
エンタープライズさんならきっと、皆を率いて敵を攻撃するだろうね
というかエンタープライズさんの戦い方とか、基本参考にならないと思うよ……
エセックス:
――そうだ!ここが鏡面海域と同じくセイレーンが作り出したのなら、発生源が絶対どこかにあるはずよ!
その発生源を壊せば、きっとこの霧を解除できるはず!
イントレピッド、ありがとう!助かった!
イントレピッド:
えええええ!?
イントレピッド:
「こちらクーパー。巡回中の紫に発光している新型のセイレーン量産艦を発見」
「なんか強そうだし、ぼくのサイクロンスマッシャーが効かなそうだけど頑張る」
「でも多分勝てないから、増援をお願い!助けて!」
あの子、やっぱりぶっ飛んでるよね…
エセックス:
新型のセイレーンが巡回しているってことは、もしかすると敵の重要拠点も近いかもね
マーブルヘッド:
これは中々ノッてますね~
エセックス:
よし、クーパーの支援に向かおう。新型セイレーンを倒して、霧を解除する!
イントレピッド:
Roger!
イントレピッド:
Pushing on!一気に突破するよ!
マーブルヘッド:
イントレピッド、危ない!
―――!!!
イントレピッド:
せ、潜水艦?!
マーブルヘッド:
潜水艦対策は得意なほうでしたよね…!
さあ、こそこそ覗いてないでさっさと上がってき・や・が・れ!
…………!
セイレーン潜水艦の航跡を発見したマーブルヘッドが大量の爆雷を一気に投下した。
クーパー:
そんなに一気に?!
マーブルヘッド:
潜水艦は一隻見たら三隻いると思えって聞いたことあるんですよね~
イントレピッド:
よし、浮上したやつが現れた!艦載機たち、攻撃開始!
マーブルヘッド、クーパー、引き続きソナーでの索敵を頼むよ!
エセックス:
あのセイレーンは艦砲も装備している!砲撃にも気をつけて!
イントレピッド:
ふぅ…どうやらこれで最後のようね。対潜戦も大変ね
みんな兵装が揃っていてよかった!
エセックス:
新型セイレーンの一群を撃破したけど、特にこれといった変化はないね
イントレピッド:
つまりここは「ハズレ」ってことか……
(まあ、そういう時もあるよね……)
クーパー:
せっかくぼくが頑張ったのに…しょうがない!
次からはもっと頑張るぞー!おー!
イントレピッド:
そうね!今までは順調じゃなかったけどそのうちきっと霧の発生源が見つかるよ!このまま――
―――!!!!!
何も見えない霧の向こうから突如、巨大な波の壁が押し寄せてきた
エセックス:
…っ!?みんな気をつけて!この波も霧と同じく自然発生したものなんかじゃない!
イントレピッド:
そんなの見たらわか……っ!?
――衝撃、爆発、荒れる波、白から一転して深蒼へと変わる目の前の景色。
イントレピッド:
(ちょっと、私、海に呑まれた…!?そんなはずが……!)
――沈む。体がまるで重りに引っ張られているかのように、どこまでも沈んでいく。
イントレピッド:
(艤装が故障した?違う…セイレーンの攻撃?!さっき全部やっつけたはず…)
(ま、まさか…ただバランス崩れて転んだだけ…?!)
(ちくしょう!台無しにしやがった!あんたのカンレキはいつもそうだ。あんたはいつもドックに入ってばかりだ)
(ひとつだって大きな戦果を手に入れられない。誰もあんたのことを――)
ブルーギル:
おーい!イントレピッド、だいじょうぶかー!
イントレピッド:
(い、いた!この声は…ブルーギルちゃん!哨戒航海から戻ってきたのね!)
た、助けて……!!
ブルーギル:
まさかイントレピッド、潜水艦に改造された!?
イントレピッド:
………(Ouch!誰がそんな事するか!溺れかけてるだけよ!)
ブルーギル:
わわ!暴れないで!今引き上げるから!
ピュリファイアー:
んああああ疲れたああああああ!
???:
戻ったか
ピュリファイアー:
「」って聞いたことないの?
???:
ない
ピュリファイアー:
にしてもさあ、なんでここまで霧で覆ってんの?リソースの無駄じゃない?
???:
ミステリアスの演出
ピュリファイアー:
…………
???:
……
ピュリファイアー:
子プログラムの分際でよくもまあそんな態度取れるなぁ!
???:
無駄に動かない。
通信、ナビゲーション、磁気ジャミング適用、海霧濃度30%増大、化合率50%向上
以上。指差し確認
アイドリング中ならもう一度時間稼ぎすれば?
ピュリファイアー:
嫌よ。こっちの仕事はもう終わってんの。早く次行きたいもん
???:
行って。邪魔しないで
ピュリファイアー:
言われなくても出ていってやるよ
???:
………
記録再生。次の「キオク」を
???·???
「影」が消えた方向を辿って別の場所に踏み入ったようだ。
エンタープライズ:
……これは……各陣営の……
識別信号を探知できない。これがすべて「幻」だというのか
アーク・ロイヤル:
……いまので全部か?
高雄?:
今の所はな。合流できない者もいる
???:
……厳しい状況ですね。この戦いは
アーク・ロイヤル?:
できればこっちからも救出したかったが、組織的な動きができない以上、合流を優先せざるを得ない
アーク・ロイヤル:
落ち込んでいてもしかたない。エンタープライズがここにいるんだ。きっと上手くいく
高雄:
そうなると良いがな。エンタープライズ殿、早速だが、「名前」を伺っても良いか
エンタープライズ:
……「名前」?
高雄:
うむ、「炬火(きょか)」か。拙者たちに気を使わずとも構わないが…いずれにしても、いい名前だ
???:
それより本当にあいつらと協力するんですか?あいつら、「セイレーン」は本来、私たちに代わって戦う存在として――
エンタープライズ:
……!?
高雄:
そういうことか。ここは一旦彼らの動きを見極めるとしよう
エンタープライズ:
セイレーンと…艦船(KAN-SEN)!?お前たちは一体何者だ!
「影」は消え、エンタープライズはただ一人、静かな海に取り残された。
運河要塞・湾内
霧に乗じて、セイレーンの艦隊が運河要塞に接近してくる。
しかし――
カサブランカ:
計画通り、艦隊機動で敵火力を引き付けて、要塞の支援砲撃で敵を撃退します
幸い要塞の物資備蓄は十分ありますから、今の敵勢なら数ヶ月は持ちこたえられるでしょう
攻めてくるセイレーンは…決して生きて帰しません!
ブレマートン:
ナイス発破!カサブランカは凄いね~まさかあんなに手際よく輸送船を退避させるなんて
カサブランカ:
いいえ、輸送船団のエスコートこそ自分の領分です。むしろ提案を聞いていただきありがとうございます!
バンカー・ヒル:
正しい提案を採用するのは当然のことだ。領分だの役職だの気にしてはやってられん
人型のセイレーンがいない量産型艦隊相手だと、たしかにこういう戦術が有効だと聞いたけど
まさかここまでとは……
カサブランカ:
イントレピッドたちも上手く捜索を続けられていればいいのですが…
バンカー・ヒル:
大丈夫だ。エンタープライズさんがいなくても、エセックスが上手く皆を指揮してくれる
――!
カサブランカ:
?!これはもしかして…
バンカー・ヒル:
要塞の砲台が破壊された。やっぱり量産型とはいえ物事はそう上手くいかないらしい。リノ、ブレマートン、様子はどうだ?
リノ:
それが…こっちを無視して要塞にまっすぐ向かってるよ!
カサブランカ:
こちらの計画がバレたのですか?!なんとか量産型の注意を引き付けられませんか?
ブレマートン:
ダメ、向こうは被害を無視して突っ込んでる。どうやら向こうも本気で要塞を狙っているみたいね…
バンカー・ヒル:
自我が無いとはいえ、やっぱり不気味だ
リノ:
戦闘員を使い捨てにするなどまさにヴィランの所業!リノとしては許すわけにはいかない!
バンカー・ヒル:
それだけ恐ろしい敵だ。セイレーンは
…いずれにしても、量産型で物量に物を言わせてやってくるのは厄介だな
ブレマートン:
そうね。このまま要塞に突っ込まれ続けたら防衛施設の被害は無視できないね。バンカー・ヒル、どうする?
バンカー・ヒル:
セイレーンが本気になった以上、こっちのやることも簡単だ
艦船と比べれば、要塞の火力の方が脅威的。だから向こうは量で押し寄せることにした
全力を挙げて敵本陣を叩き、これ以上援軍を湧かせなければいい…!
運河要塞?・外洋?
イントレピッドたちが運河要塞に到着する前――
ブルーギル:
よ、ようやく撒いた…早くみんなにセイレーンの状況を知らせなくちゃ!
―――・―――・―――
ブルーギル:
あれは‥…!!!!
妖しい光を放つ漆黒の影――無数のセイレーン潜水艦が運河要塞に向かおうとしていた。
……量産型セイレーンがまるで回遊魚群のように同じ方向に向かって行進しているその様は、なんともおぞましい光景だった。
ブルーギル:
いつ回り込んだの?!どうしよう……
運河要塞からそう遠くない距離かもしれない。だがセイレーンの「魚群」にバレずに追い越すのは、間違いなく不可能だ。
ブルーギル:
ここでセイレーンと戦ったら、仲間たちに情報を伝えられない!
…んん?よく考えたら、あのセイレーンにはブルーギルがいることがバレていない!つまりこのままこっそり…
いた!あの一回り大きなセイレーンはたしか…
岩礁の裏に隠れ、小さな狩人が狙いを定めた。
ブルーギル:
噂の中枢艦に違いない!あいつさえ倒せばセイレーンたちの指揮系統が動かなくなって、そうなったらこっちの勝ちだ!
そう!この勝利は「ブルーギル・スナイプ・ヴィクトリー」と呼ぶことにする!
あ、あれ?この白い靄は一体…なんで海の中でもこんな霧みたいのがあるの!?
一体……わわわ!?
うわああああああ!!
視界が真っ白になり、まるで渦の中に放り込まれたかのように激流に襲われる。
そしてしばらくして海が鎮まり――
ブルーギル:
あいててて…あれ?セイレーン艦隊は?ここは一体…
あそこにいるのは…イントレピッドさん!?
運河要塞?・外洋?
ブレマートン:
んじゃ、さいなら!
―――!!
カサブランカ:
目標撃破しました!セイレーンの動き…変化なしです!
バンカー・ヒル:
また「ハズレ」か…!今ので何体目?
カサブランカ:
に、21体目です!
ブレマートン:
まさかセイレーンの新型まで現れるとはね…全員が全員怪しく見えますけど…!
リノ:
みんな、諦めないで!最後に笑うのはヒーローサイドよ!
ブレマートン:
リノってチアやる素質がありそうね
リノ:
チアダンスをやるのは色々とねえ…でもこういうのはたしかに嫌いじゃないよ
ブレマートン:
まあ、中枢艦がわからなければ、このまま全員倒せばいいだけだわ
ボルチモアに言わせてみれば、「戦わなければ生き残れない」ってね!
リノ:
うんうん、その通り!
ブレマートン:
次の中枢艦らしいものも見っけ!やるわよ!
――――
バンカー・ヒル:
セイレーンの艦載機か!
リノ:
ここはリノに任せて!
奇襲してきた数機のセイレーンの艦載機はアトランタ級――オークランド級の彼女に撃破された。
バンカー・ヒル:
助かったな。感謝する、リノ
ブレマートン:
こっちも敵を片付けたわよ!
リノ:
敵影なし、っと…結局今のは敵の中枢艦でした?
カサブランカ:
「ハズレ」のようですね。霧がまだ消えていませんから
バンカー・ヒル:
むっ、要塞に戻るにしても、この状況では…
リノ:
しっ。今変な声が…
バンカー・ヒル:
こっちも聞こえた。これは…波の音にしてはちょっと距離感が掴めな……なっ!?
カサブランカ:
津波…波の壁!?
ブレマートン:
こんな波が普通突然現れるわけないっしょ!皆、注意して!!
セイレーンの量産艦を文字通り「飲み込んだ」波に、艦船たちは慌てながらも――必死に対処していた。
アーク・ロイヤル:
エンタープライズ、くるぞ
いつの間にか「影」たちの会話に、新たな存在が加わっていた。
エンタープライズ:
セイレーン……?!
今まで何度も対峙していた危険な敵を目視したエンタープライズはすぐさま戦闘態勢を取った。
オブザーバー:
「シンパンシャ」様に代わって挨拶を申し上げるわ。「コードG」
エンタープライズ:
「コードG」……「シンパンシャ」……
オブザーバー:
量子時間跳躍装置は人類全体の存続のためにあるべきだと…「ソウゾウシュ」様も同意見だわ
必要な設備ならいつでもあなた達に提供する用意はできているの
――研究の成果が望ましくない存在の手に落ちないよう、その保証としてね
お互い立場があるけど、協力できる余地はあるはずよ
……では計画通り、こちらも協力するわ
これは「ソウゾウシュ」様、そして「シンパンシャ」様の総意だと認識して頂戴
「アビータ」の座標も共有するわ。あの子たちを上手く回避して
エンタープライズ:
セイレーンと協力?これは一体……
「影」たちは誰一人エンタープライズの問いに反応しないまま、霧の中へと溶け込んだ。
???:
「キオク」再生、完了
運河要塞?・外洋?
波の壁がそのまま通り過ぎ、まるで何事も起きなかったかのように海は元に戻っていた。霧に覆われ続けている以外は。
ブルーギルに救出されたイントレピッドは――
イントレピッド:
げほげほ……助かった……
エセックス:
イントレピッド、大丈夫?!
イントレピッド:
だ、大丈夫。ちょっと溺れて……
クーパー:
ブルーギル、ナイスタイミング!
ブルーギル:
ブルーギル、パトロールから帰還した!
セイレーンの大群に遭遇して、そして大きな波に巻き込まれて気づいたらここに…みんなはもうセイレーンと戦っていたの?
エセックス:
えっ…さっきからずっと戦いっぱなしだけど、ブルーギルはそうじゃなかったの?
イントレピッド:
(こっちは結構派手に戦ってたのに、気づかないなんてことはないはず…)
マーブルヘッド:
あっちからなにかが近づいて来ますよ。とりあえずこれで……
――!
リノ:
あわわ!みんな大丈夫?!ちょっと返事して!
マーブルヘッド:
リノ?なんでここに?
リノ:
マーブルヘッド!?
…って、なんでいきなり撃ってきたの!空砲だからセイレーンじゃないってのは分かったけど…
マーブルヘッド:
まあ、セイレーンの「駒」って可能性もありますしぃ?
イントレピッド:
あれ?リノはバンカー・ヒルたちとは別行動を取っていたんじゃなかった?
リノ:
え!そっちこそなんで要塞の湾内まで戻ってきたの?
クーパー:
さ、流石に今の波で要塞近くまで押し返されたわけじゃないよね…
リノ:
ブレマートン!カサブランカ!バンカー・ヒル!こっちこっちー
イントレピッド:
みんなもいるの?
ブレマートン:
あ、捜索チームのみんな!
カサブランカ:
どうやらみんな同じ異常気象?の波に遭遇したようですね
マーブルヘッド:
ブルーギルも大きな波に押されて気づいたら違う場所にいた…ってもしかしたら私たち、セイレーンに「転移」させられたってこと?
バンカー・ヒル:
にわかに信じがたいが、可能性を否定できないな
イントレピッド:
つまり…今の場所は要塞周辺海域でいうどの辺なの?
バンカー・ヒル:
それがわからないんだ。さっきから計器が狂いっぱなしでな。鏡面海域の中にいる、ってのもありうる
エセックス:
エンタープライズ先輩とボルチモアも見つかっていないまま、ね…
ブレマートン:
まあでも、合流できたのは戦力的に嬉しいことじゃない?ここでやるべきことは――
イントレピッド:
この霧の発生源を見つけること!
ブルーギル:
あ、そういえばブルーギル、中枢艦を見つけた!
確か潜水艦の大群に紛れ込んでる、すっごく大きなセイレーンのはず!
ブルーギルはそいつを攻撃しようとしたときにここまで転移されたけど…。
んー確かあのときの時間は……
バンカー・ヒル:
同じだ。私たちが波の壁に襲われたのと
エセックス:
こっちも。ってことは……
イントレピッド:
情報を総合すると、あの波の壁に巻き込まれてみんなが同じタイミングで同じ場所に「転移」された
ブルーギル:
な、なんだって!
カサブランカ:
今まで撃破した敵の編成の共通点からすると、ブルーギルが見たあの潜水タイプのセイレーンが中枢艦の可能性が高い…
クーパー:
そしてぼくたちが合流してから遭遇したセイレーンはほとんど新型艦…
エセックス:
敵の本拠地に殴り込んだか、それとも敵に包囲されているかのどちらかだね
ブレマートン:
いずれにしても、敵潜水艦の大群がいるってことは、対潜体制を整えたほうが良さそうだよね
イントレピッド:
(ブルーギルのおかげで一気に戦況が判明した気がする…!)
とにかくみんな、水面下からの攻撃に気をつけて!
ブルーギル:
ブルーギルも支援するよ!今度こそ「ブルーギル・スナイプ・ヴィクトリー」を達成してやる!
リノ:
散り散りになったヒーローたちが合流してスーパーヴィランに挑む…
ちょっとベタだけど盛り上がる展開だね!
クーパー:
正義のヒーロー大集合!クライマックス!
ブレマートン:
確かに熱いわね!
リノ:
ん?クーパーちゃんもヒーロードラマが好きなの?
クーパー:
もちろん!世界を華麗に救うヒーローたち、ぼくと同じでカッコいいもん!
リノ:
(リノと同じ趣味?!)あ、それならこのガジェットを見せるね!
ブレマートン:
あのガントレットっぽいもの、光るものなんだ!
リノ:
ふふん、それとここを押せば!
クーパー:
変形した?!凄い!!
リノ:
これは全てリノの手作り!ふふん、凄いでしょ!
クーパー:
ぼくもほしいなぁ~
リノ:
今度作ってあげてもいいよ。ギミックとか、予算とか教えてくれたら
しかし、まさかここでヒーロー好きに出会えるとは思わなかったね
リノ、帰ったらすぐコレクションを見せたい気分!
クーパー:
本当?!運河要塞に戻ったら見せて見せて!
リノ:
おう!ヒーローのサポーター・このリノの秘蔵ガジェットたちを存分にご覧あれ!
クーパー:
そしてぼくのガジェットを作ってくれ!必殺技があってもガジェットがないってずっと悩んでたよ!
リノ:
まあまあ、ヒーローのシンボルはそれぞれ、ガジェットがなくてもアビリティだけで有名なヒーローもいるし
ブレマートン:
「特殊能力あってのヒーローではなく、なす事あってのヒーロー」ってことね
リノ:
…あれ?今のドラマで聞いたことあるような気がする
ブレマートン:
私もたまにボルチモアと一緒に見るんだけどね
ヒーロー談義するほどじゃないけど、まああれね?たしか…
「ヒーローでありたいのではなく、ヒーローのすべきことをしよう!」
クーパー:
お!それそれ!ぼくもそう思う!
リノ:
そして今ヒーローのすべきことは――
クーパー:
リノは敵の艦載機を警戒して!
リノ:
クーパーちゃんは敵の潜水艦を警戒する!ってね☆
運河要塞?・外洋?
カサブランカ:
対潜哨戒の艦載機が敵を発見し次第、位置を連絡して…
ふぅ、潜水艦対策をしておいてよかったです。まさかセイレーンの潜水艦がこんなに…
マーブルヘッド:
護衛空母なのに戦おうとするなんて凄いですねーあたしも艦載機を装備できればね~
霧があるとはいえ、やっぱりちょっと高いところから偵察してみたいってカンジ?
カサブランカ:
ええと、水上機ならまだしも、空母艦載機の運用までとなりますと、航空巡洋艦に改造したほうが良さそうですよ
……
マーブルヘッドはメンフィスのことが心配ですか?
マーブルヘッド:
そうですねーメンフィスって苦労人気質じゃないですかー
運河要塞回りの観光スポットも紹介して、非番の日にはリラックスしてもらおうと思ってましたけどぉ
流石にこの様子だとちょっと無理そうですね…あははは
カサブランカ:
私もエンタープライズさんとボルチモアさんたちのことが心配です
姉妹艦ではないからマーブルヘッドとは違うかもしれませんけど、同じユニオンの仲間として、みんなの無事を祈る気持ちは同じです
だからマーブルヘッドがあの…「チャラい」感じのままでいられるよう、私も頑張りたいと思います
マーブルヘッド:
言いますね~マジメな子だと思ってたのに意外と冗談が通じるタイプ?
カサブランカ:
意外でしたか?
マーブルヘッド:
まぁ、お互いぼちぼち頑張りましょー
カサブランカ:
うん!みんなと一緒に頑張りましょう!
???・???
エンタープライズ:
誰だ!
???:
背景にいる、モブ
今の映像を見て、気になったこととかある?
エンタープライズ:
映像?この「影」たちのことか?
???:
「キオク」。つまりログ
エンタープライズ:
ログ?記憶?誰の?いつのものだ?
???:
あなたのも、「彼女」のも。未来でも、過去でも
それは今、あなたのものよ
エンタープライズ:
また訳のわからないことを…デタラメの映像を見せて揺さぶりをかける気か?
???:
ログはウソを付かない
来たね
――霧の中から、新しい「影」が現れた。
今まで出会った、そして記録にあるどの人型個体とも違う異様な雰囲気を出す存在。
エンタープライズ:
あなたは…
――――!
巨大な轟音が響く。まるで空間そのものが引き裂かれたかのような激震に襲われ、海が荒れ出す。
???:
……っ
今までの「影」と違って、視線を明確にエンタープライズに向けたセイレーンは、言葉を発することなく霧に溶け込んでいった。
まるで彼女の行動に呼応するかのように、霧が薄れていき――そして無数の量産型セイレーンが姿を現した。
エンタープライズ:
結局戦うしかないか…!
いくらエンタープライズでも、一人でこの数のセイレーン相手では無理だと分かっている。
しかし――
ボルチモア:
エンタープライズ!助けは要るか!
エンタープライズ:
ボルチモア!みんな!
メンフィス:
ずっと霧の中で迷っていたけど、どうやら脱出できたみたいかしら!
ヘレナ:
今はセイレーンの撃退を…!
思わぬ援軍の到来、そして行方不明になった仲間の無事――エンタープライズは胸を撫で下ろした。
エンタープライズ:
みんな、よく無事で……!今のは…!
???:
…………
「指揮官」…ここにいないか……
運河要塞?・外洋?
霧が薄くなっていく中、イントレピッドたちが次々と現れるセイレーンの大群相手に激戦を繰り広げていた。
敵の攻勢が確かに強くなったものの、海霧で全力出せずにいた空母たちもまた猛威を振るい始める。
バンカー・ヒル:
とんでもない数だ。「あたり」が近いとでもいうのか
エセックス:
かもしれないわね。艦載機に量産艦に潜水艦、そして霧の影響…
セイレーンの中枢艦を撃破するまでの勝負ってことね
イントレピッド:
このままではこちらが不利になる可能性が高い…どうすれば…
エセックス:
どうするもこうするもない。ここを切り抜けないといずれ全滅するもの
ほら、しゃんとして!恐れなきイントレピッドでしょ?
イントレピッド:
……!
エセックス:
エンタープライズ先輩がいない今、私たちが頑張るしかない!…ううん、私たちが先輩たちを助ける!
バンカー・ヒル:
そしてボルチモアたち、当然だが運河要塞もだ
みんなを心配してくれるのは嬉しいが、ここはあなたの前向きさを活かす番だな
イントレピッド:
……エセックス、バンカー・ヒル……
バンカー・ヒル:
ああ、「とにかく突っ込む」はなしだな。エンタープライズさんだって状況を見ずに無闇に突進したりはしない
イントレピッド:
しないよそんなの!
(でも、この状況をどうすれば……)
あ!そういえばさっきから霧が少しずつ薄くなってきているわね
バンカー・ヒル:
ああ、おかげさまで出せる艦載機も多くなったな
イントレピッド:
バンカー・ヒル、偵察機で霧の濃度を調べられない?見晴らしの良さ程度でいいから!
バンカー・ヒル:
……もちろんだ。しかしどうしてそれを…
エセックス:
霧が一箇所から発生するのなら、薄くなる時に濃度が均等には変化しないはず!
イントレピッド:
そうよ!つまり発生源の方向を特定できるってことよ!
エセックス:
やったわねイントレピッド!これでどこへ進めばいいか分かる!
イントレピッド:
よし、次はどうやって敵の中枢艦に接近するかだけど……
バンカー・ヒル&エセックス:
時間がないから、とにかく突っ込め!
イントレピッド:
えええ!?
……ふふ、やっぱりみんなエセックス級だね!
さあ、偵察機、かっとべ!敵の中枢艦に私たちを導いて!
―――!!!
巨大な轟音が響く。まるで空間そのものが引き裂かれたかのうような激震に襲われ、海が荒れ出す。
クーパー:
わわわ!どうなってるの!?
マーブルヘッド:
霧がまた急に晴れ始めましたね…前方になにか浮上してきます!
巨大なセイレーン潜水艦とともに、異形の艤装を纏い、だるそうな表情をしている人型セイレーンが立ちはだかる。
カサブランカ:
あれは…セイレーンの中枢艦!
ブレマートン:
そしてここに来てまた新型セイレーン…記録のどこにもないわね、あれ
???:
ちっ
エセックス:
この霧を作り出し、運河要塞に攻撃をしかけたのはあなたね!
エンタープライズ先輩とボルチモアたちをどこへやった!?
???:
面倒くさ
ブレマートン:
艦載機…!?こいつは今までのと違う!
???:
水上戦闘モード、起動
バンカー・ヒル:
あの主砲…水上戦闘も可能か!
???:
出力、70%
イントレピッド:
攻撃してくる!みんな、気をつけて!
――!
カサブランカ:
潜水艦とはわけが違いすぎません?!
ブレマートン:
艦載機に主砲、魚雷、そしてシールドまで!いくらなんでもデタラメよ!
バンカー・ヒル:
間違いなく強敵…!
イントレピッド:
でも攻撃に手応えがあるよ!このまま攻撃し続ければあの厄介なシールドも貫けるはず!
???:
オーバーヒート寸前。モードチェンジ
エセックス:
艤装が変形しようとしている?!あれがやつの潜航モード!?
イントレピッド:
やらせはしない!艦載機、行け!Roll on!
エセックス:
リノ、マーブルヘッド!イントレピッドを援護して!ブルーギルはやつの変形を阻止して!
ブルーギル:
了解!ブルーギルに任せて!
イントレピッド:
運河要塞を、エンタープライズ先輩たちを襲ったセイレーン――絶対に逃さない!
イントレピッドたちの集中攻撃により、セイレーンは変形が阻止され、大ダメージを受けたように見えた。
リノ:
(フィギュアもガジェットも可動部とか接続部とかが一番強度が弱いから!)
そのまま関節部を狙い続けて!そうすれば敵の変形を阻止できるよ!
カサブランカ:
リノ、機械にも詳しいのですか?
リノ:
え?あはは…そ、そうかもね!
???:
……しょうがない
!!!
ブルーギル:
エセックス、ブレマートン、水上にいる皆聞こえてる!?
今すごくやばいものが向こうから近づいているよ!海面下に気をつけて回避して!!
マーブルヘッド:
ってもう来ていますけど!!なにこれ?!
カサブランカ:
機械の触手!?…ど、どこから!?
マーブルヘッド:
いくらなんでも水圧とか摩擦とか計算が合わないじゃありませんかーーー!
エセックス:
このままでは攻撃できない…!くっ…!
カサブランカ:
ふぅ……あのセイレーンに逃げられてしまいましたね……
リノ:
でもちょっと妙だったね…殺気とか全然感じられなかったし……
クーパー:
よくわからない触手を避けるのに気を取られたし…
イントレピッド:
セイレーンたち、撤退し始めているよ。通信もそろそろ回復するところかな
ここの場所は…よし!とにかくこれで要塞は大丈夫なはず!
エセックス:
うん、次はエンタープライズ先輩とボルチモアたちの捜索…えええ?!
エンタープライズ先輩!?
バンカー・ヒル:
ボルチモアもいる!?いつの間に……
ボルチモア:
突然で悪かったな。すまん、ちょっとセイレーンの追撃を撒くのに時間をかけすぎた
イントレピッド:
一体何があったの?
ボルチモア:
ん?ああ、迷っていたらよくわからないやつが現れて、そしてエンタープライズと出会って、そのままここまで来ただけさ
まあ話すとまた長くなるから、みんなまずは要塞に戻ろう
エンタープライズも、ほら
エンタープライズ:
ああ、帰ろう。みんな、無事で良かった
バミューダ海域・海霧
ボルチモア艦隊がピュリファイアーと戦っていた。
ピュリファイアー:
アタラナイヨ―
ボルチモア:
ちっ、ちまちま逃げるんじゃなく、正々堂々と戦え!
ピュリファイアー:
ダーメ。こっちはデータ収集がメインなんだから、無駄な出力を出したくないもん~
メンフィス:
さっきの波の壁が現れてからピュリファイアーは時間稼ぎしているとしか思えないわ…
―――!!
ヘレナ:
今のは…戦闘の音?
ピュリファイアー:
(お。ついに餌に食いついたかな)
あら大変~これは逃げないと駄目のようだね~オボエテイロヨ―(棒読み)
ボルチモア:
待て!……今度は後ろか!?
霧の中から現れたのは――
???:
…………
ボルチモア:
「余燼」…か
???:
指揮官は一緒じゃなかったのか
ボルチモア:
…君に言うことはなにもないよ
???:
そうか……
メンフィス:
待ちなさい!…ううん、助けてくれて感謝するわ!
???:
……
メンフィス:
しかし、ここは一体どの海域なのかしら…私たち、一体どうすれば…
???:
お前たちが行きたい場所からそう遠くは離れていない。セイレーンも雑な仕事をしてくれる
ヘレナ:
私たち、この海霧の中を「移動させられている」ってこと?
???:
…またセイレーンに翻弄されているのか。『微層化混合物』のジャミングフォッグごときに
ボルチモア:
ああ、悪かったな…
メンフィス:
私たち、どうすれば帰れるのかしら…
ボルチモア:
海霧を解除しない限り無理だろうな。もっとも、こいつが戦う気なら――
???:
……ジャミングフォッグの発生機構……
……ふっ。お前たちの仲間が放った「空の目」を借りるとしよう
炎と硝煙、破壊と暴力に満ち溢れる赤い海。
破れた旗、数え切れないほどの残骸、倒れる「ヒト」たち。
エンタープライズ:
ここは…どこだ?
彼女たちの戦闘が続いている。知った顔も、知らない顔も。
エンタープライズ:
……各、陣営の……
しかし、向かい撃つ敵は「セイレーン」ではない
エンタープライズ:
敵は……北方連合の量産艦たち…?
違う。シルエットこそ似ているが、塗装も兵装も何もかもまるで違う…
「フネ」の攻撃で「ヒト」が次々と海へと――ひざまずく。倒れ込む。沈む。
エンタープライズ:
助けないと……!
しかし体が思うように動かない。
エンタープライズ:
…夜空を駆ける――流星…か?
数え切れないほどの流星が、大きく……こっちに……
???:
…………
エンタープライズ:
?!!!
今のは……夢か…?
コンパイラー:
海霧に鏡面海域の防御システム加算。1秒で崩壊
オブザーバー、失敗
オブザーバー:
「コードG」を足止めすることすら叶わないのかしら…
よくやったわ。子プログラム
コンパイラー:
極北の氷山要塞、攻撃を受けている
オブザーバー:
…いいえ、私の計画は成功したわ。ふふふ
「コードG」の強さは、深層精神系統の外部遮断から来ているの
しかし、今は「つながっている」のよ。「エンタープライズ」と
…………しかしほかの時間軸の私もこの攻略法、簡単に思いつくはず
アクセス可能のログでは今までの全ての実験が失敗に終わっているのは、一体なぜ……
なるほど、「指揮官」の存在ねぇ…
零はあとどれだけ隠しているのかしら
興味が尽きないわ。ふふふふ…